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5/5 ニュースなスペイン語 Huracán Ayuso:アジューソ旋風

4日投開票が行われたマドリード知事選挙(投票率(participación)は76.2%)で国民党(PP)が圧勝し、同党候補のイサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)の再選がほぼ確定した。

各党の獲得議席(escaño)を見ておこう:

【右派連立(bloque de la derecha)】78議席

国民党:65議席(今回の選挙前までの議席:30議席)

ボックス党(Vox):13議席(同:12議席)

【左派連立(bloque de la izquierda)】58議席

スペイン社会労働党(PSOE):24議席(同:32議席)

マス・マドリード党(Más Madrid):24議席(同:20議席)

ポデモス党(Podemos):10議席(同:7議席)

過半数(mayoría absoluta)である69議席に遠く及ばない。従って、国民党1党だけで圧倒的多数を達成したので、かねてから言われていたボックス党との共闘は、別に、なくても良い。国民党としては、ホッとしているところだろう。

市民党(Ciudadanos)も同党候補エドムンド・バル(Edmundo Bal)の姿も、もちろん、どこにも見当たらない。予想通りだったとはいえ、選挙前まで26議席を保持していた市民党が1票も取れなかったのは衝撃的だった。

右派の勝利は大方の予想通りでさほどの驚きはない。しかし、ポデモス党候補のパブロ・イグレシアス(Pablo Iglesias)が政界を去ることを表明した。衝撃的だった。「 私はすべての任務を辞任する。私は政治から身を引くことにした(Dejo todos mis cargos, dejo la política)」ー。ポデモス党のかつてのリーダーはこう語った。

エル・ムンド紙は「アジューソは(ペドロ・)サンチェス(首相)をノックアウト、イグレシアスのキャリアにとどめを刺す(Ayuso noquea a Sánchez y acaba con la carrera de Iglesias)」と見出しを打った。エル・パイース紙はアジューソと彼女に拍手を送る国民党党首パブロ・カサド(Pablo Casado)の写真と共に「アジューソ、マドリードで圧勝(Ayuso arrasa en Madrid)」と簡潔で、そして大きな見出しを付けた。

一方、スペイン社会労働党の凋落ぶりを「急落(batacazo)」と評したのはスペイン国営放送(ETVE)だ。同党候補のアンヘル・ガビロンド(Ángel Gabilondo)は「結果は決して良くない。私は達成できなかった。残念だ(Los resultados no son buenos, no lo he logrado y lo lamento)」と率直に敗北を認めた。そして、同党史上、最低の議席獲得数の戦犯となってしまった。

サンチェス首相はツイッターで、アジューソは投票の結果「大きな成果(gran resultado)」と「大きな責任(gran responsabilidad)」を得たことになると指摘。「おめでとう(Enhorabuena)」と形式的に祝辞を送った。そして、スペイン社会労働党が獲得した票を「地域とそこに暮らす人々のための未来のための力(fuerza para el futuro de la región y sus gentes)」に変えてゆくと誓った。しかし、同党の重鎮であり、交通大臣(Ministro de Transporte)のホセ・ルイス・アバロ(José Luis Ábalo)は「今回の選挙はスペイン全土の総意であるわけではない(Estas elecciones no representan al conjunto de España)」とぴしゃり。

各党悲喜こもごも。今後、どのように趨勢が変わるかは分からないが、スペイン政府(Gobierno de España)がじゃじゃ馬マドリードに手を焼くことは間違いないだろう。

写真はSemana.com(5.5)。ヘノバ通り(Génova)の国民党本部(sede)で勝利宣言をしているアジューソ(左)。となりは党首のカサド。