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1/9 ニュースなスペイン語 Violencia machista:男性による暴力

昨年12月9日の小欄でも紹介したが、平等省(Ministerio de Igualdad)は、2023年に(元)交際相手((ex)pareja)の男性によって殺害された女性は55人だったと報告している。

この数だけでも十分多いなぁというのが小生の感覚だが、「実際よりも少なめに報告されている(parece más leve de lo que es)」と主張する団体がある。

この団体ー「女性運動団(Compaña Feminista)」ーは7日、マドリード州政府事務所(Delegación del Gobierno en Madrid)の前で、ある抗議運動を行った(写真)。

このグループの主な要求(principal reivindicación)は、平等省に対して、(元)交際相手によって殺害された女性だけでなく(no solo a las víctimas asesinadas por sus parejas o exparejas)、男性による暴力で殺害された女性全員を統計に入れるべきだ(se contabilice a todas las mujeres asesinadas por violencia machista)というもの。

このように不遇の死を遂げた彼女たちは、女性であるということだけで(por el hecho de ser mujeres)殺害されたという。

こうした女性たちを考慮に入れれば、殺害人数は100人に達する。

そして、平等省にカウントされない被害者は、多くの場合、名前すら分からない(Muchas veces ni siquiera se sabe quién es, no tienen ni el nombre)、売春を生業とする女性たち(mujeres prostituidas)だそうだ。

女性運動団の代表は、平等省がこうした女性たちも統計に含めることで、彼女たちは公的な犠牲者(víctimas oficiales)となり、遺族が補償などの権利を持つことができる(sus familiares tengan acceso a los derechos)ようになると主張する。

そして、運動団は、男性による暴力と戦うにはより多くの省庁が責任をもって連携すべき(más responsabilidades a los ministerios implicados en la lucha contra la violencia machista)で、 小欄にも度々登場する保護システム「VioGén」の改善(se mejore el Sistema VioGén)と裁判官たちの養成(se forme mejor a los jueces)をしっかりすべきと述べた。

平等省がこうした主張にどう対応するかはまだ分からないが、痛いところを突かれたんじゃないか・・・というのが小生の邪推。

補償するにも、現実問題として、財源が必要なのだから、平等省がどうにか捻り出したのが、(元)配偶者や(元)交際相手による殺害という線引きだったはず。

しかし、これを撤廃して男性に殺された全女性を補償の対象にせよという主張に対して、平等省が首を縦に振らなければ、その存在意義も問われそう。

かと言って、団体の主張にくみすれば、およそ倍に膨れあがる被害者らの救済のために、それなりの財源確保が問題となる。

Síも地獄、Noも地獄ーー。

写真は女性運動団の抗議運動の様子。

団体はこの運動を「追悼集会(Concentración fúnebre)」と呼び、手には殺害された女性の氏名、年齢、出身地(か殺害場所)が書かれていたプラカード(cartel)を持っている。

写真を拡大してみると「氏名不明(Nombre desconocido)」と書かれたプラカードを持っている参加者もいる。

名を抹殺された哀れな女性たちも含む100人の犠牲たちの冥福を祈らずにはいられない。

アーメン。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240107/protesta-igualdad-denuncia-casos-violencia-machista/2470562.shtml