5/16 ニュースなスペイン語 Cataluña:カタルーニャ州
カタルーニャ州(Cataluña)州議会が現在、迷走中だ。
何せ、2月15日にカタルーニャ州議会選挙が行われてから、今日に至るまで、知事が不在なのだ。正確に言うと、臨時知事(Presidente en funciones)がいる。名をペラ・アラゴネス(Pere Aragonès)と言う。カタルーニャ共和主義左翼(ERC)所属で、カタルーニャ独立派だ。
なぜ、それならば、ERCがアラゴネスを擁立してやらないかというと、議席数が33しかなく、単独過半数である68議席には遠く及ばない。推しても、抵抗勢力から押し返されてしまうのだ。
だから、当然、アラゴネスは連立(bloqueo)を呼びかけている。ジュンツ党(JxCat)がイデオロギー的には親和性があり、議席を32持つので、当初は一番連立の可能性があると目されていた。
だが、思いの他、ジュンツ党との交渉(negociaciones)が難航した。アラゴネスによれば、ERCとジュンツ党との溝(discrepancia)は「あまりにも大きすぎる(demasiado grande)」という。
理由はいろいろあるだろうが、ジュンツ党はかなり強硬な独立派であるのに対して、アラゴネスは、あまり、独立色は出したくない。本心は独立にあるかもしれないが、独立を前面に押し出しすぎれば、今度は独立反対派の市民や政党からの反感を買いかねない。トップに立つ者、絶妙なバランス感覚が要求されるのだ。
業を煮やしたアラゴネスは、とうとう、約1週間前、ERC単独(en solitario)で議会を治めると宣言した。しかし、やはり、これも現実的ではない。
一方、アラゴネスの政敵であるサルバドール・イジャの出方はどうか。イジャはカタルーニャ社会党(PSC)なので、独立には反対だ。PSCも33議席しか持っていないので、連立を組まなくてはならない。PSCはポデモス党(Podemos)のカタルーニャ会派(En Comú Podem)などとの左派連合を画策している。
その一方で、イジャはERCにも議会運営に協力するように要請を出しているらしい。しかし、イデオロギー的に真逆の政党に協力するようでは、政党としてのプライドが疑われるから、この要請にERCが応じるとは考えにくいだろう。
今月26日までに知事が決まらない場合、議会の規定により、再度選挙が行われる(repetición electoral)ことになる。
アラゴネス率いるERCは、いろいろなスッタモンダの末、ジュンツ党や人民統一候補(CUP)などと左派連合を結ぶことになる。各党、イデオロギー的な主張はさて置き、まずは、最低限の合意を結び、再選挙だけは避けたいとの思いがある。もちろん、だからといって、アラゴネスが安泰かというと、決して、そういうわけでもない。協力は「無償(gratis)」ではないと各党は言っている。
一時の苦し紛れから、党同士が変な取り決めを結ばなければ良いのだが。
写真はアラゴネス。今後のカタルーニャの行く末を握る人物だ。