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2/23 ニュースなスペイン語 Paciente de Düsseldorf:デュッセルドルフの患者

デュッセルドルフはドイツ連邦共和国の都市のこと。

この街の出身の男性患者に対して、世界で3例目(tercer caso)となる、ある治療が成功したと発表があった。

この画期的な治療に、カタルーニャ州に拠点を置く国際的なコンソーシアム(consorcio)が関与していることもあり、複数のメディアで大きく報じられている。

この患者(53歳)はヒト免疫不全ウイルス(西:VIH;HIV)に感染していたが、幹細胞の移植(trasplante de células madre)によって、完治した(se ha curado)という。

男性は2008年にHIVウィルスに感染(infección)しているとの診断を受けた(fue diagnosticado)ことから、多剤併用療法(terapia antirretroviral)を始めたが、4年後、急性骨髄性白血病(leucemia mieloide aguda)を発症したため、幹細胞の移植を行った。

普通の幹細胞を移植しても、あたり前だが、なんの意味もない。

だから、研究チームは、「CCR5Δ32」という、ヨーロッパを中心に一定数いるとされている、変異遺伝子(mutación)を保有しているドナーを探したという。

このCCR5Δ32は、ウィルスが細胞内に侵入することを妨げる(impide la entrada del virus en las células)働きを持つ変異だそうだ。

門外漢の小生が分かったのは、ここまで。

結局、2018年、男性は多剤併用療法を止め、4年経った現時点でも、HIVウィルスが血液中にも、内蔵組織にも再発していなかった(el virus no ha reaparecido ni en sangre ni en tejidos)ことが判明したという。

しかも、免疫システムにも拒否反応の兆候も見られていない(tampoco queda rastro de respuesta del sistema inmunitario a la infección)ことから、「完治(curación)」と認定された。

HIV患者には朗報で、この治療法によって、さぞかし、完治率が高まるかというと、コトはそれほど単純ではないようだ。

というのも、そもそも、今回の施術は大変危険を伴い(La técnica es muy arriesgada)、このような荒治療をわざわざ患者に施すことは倫理的に望ましくない(no es ético someter a los pacientes a estos agresivos tratamientos)とのこと。

多剤併用療法などの、HIVウィルスを制御する(mantiene a raya el VIH)方法があるので、こちらの治療方針を原則とするようだ。

今回は「ベルリンの患者(Paciente de Berlín)」ことティモスィー・レイ・ブラウン(Thimothy Ray Brown)と「ロンドンの患者(Paciente de Londres)」ことアダム・カスティジェッホ(Adam Castillejo)に次いで、3例目。

「デュッセルドルフの患者」については、現在のところ、氏名などの素性(identidad)は伏せられている。

写真は「ベルリンの患者」ことティモスィー・レイ・ブラウン(享年54歳)。2020年9月に、白血病で亡くなっている。

HIV由来の白血病ではないため、ブラウンはHIVが完治した最初の人という扱いになっている。

2/25加筆
読者の川上さんからのご指摘により、一部、加筆修正しました。川上さん、毎度、ありがとうございます。

出典
https://elpais.com/salud-y-bienestar/2023-02-20/tercer-paciente-en-el-mundo-curado-de-la-infeccion-por-vih-tras-un-trasplante-de-celulas-madre.html