5/18 ニュースなスペイン語 Antonio García：アントニオ・ガルシア
小生の知り合いに実在する人物ではない。
が、スペインには、統計上、最もいそうな男性である。
国家統計局（Instituto Nacional de Estadística）がこの度、スペインにおける名前（nombre）と苗字（apellido）に関する報告書をまとめた。
これによると、スペインで今、最も多い苗字がタイトルに挙げた「ガルシア」で、約145万人いる。1000人のスペイン人がいれば、約30人がガルシア姓という計算だ。
苗字に関しては、以下、「ロドリゲス（Rodríguez）（1000人当たり約19人）」、「ゴンサレス（González）（同、約19人）」、「フェルナンデス（Fernández）（同、約19人）」、「ロペス（López）（（同、約19人）」などお馴染みの苗字が続く。
ところで、日本にはいない苗字としては、例えば、「Iglesias（教会）」さんや「Reyes（国王）」さん、などがある。
一方、珍しいながらも、日本にもある苗字としては「Cano（白髪）」さんがある。もっと珍しい苗字としては、「Calvo（禿）」さんがあり、日本では「かむろ」さんと読むらしい。両方とも髪にまつわる苗字というのが面白い。
「Flor」さんはスペインではポピュラーだが、日本では「花」さんは珍しい。苗字検索してみると、日本のどこかにはいるらしい（が、一度もお目にかかったことはない）。「Cruz」は「十字架」の意味で、さすがに日本にはいないが、「十文字」さんなら、確かに、いる。
「Nieto」さんは「孫」という意味だが、日本にも、少なくとも、「ソン」さんはいる。
ちなみに「Torres」さんは17万人ほどいて、ランキングとしては22位。かなり上位だが、これを日本語にした「塔」さんは、全国に、わずか40名。ランキングは52,067位ということで、珍名中の珍名だ。
さて、名前はどうか。
2020年に生まれた新生児たちの名前で多いのが、男子は「ウーゴ（Hugo）」、「マテオ（Mateo）」、「マルティン（Martín）」、「ルーカス（Lucas）」、「レオ（Leo）」がトップ５。何となく、新しい感じがする。
一方、「ルシア（Lucía）」、「ソフィア（Sofía）」、「マルティーナ（Martina）」、「マリア（María）」、「フリア（Julia）」が新生児女子の名前のトップ５。
これが、もう少し、年齢層を広くすると、ガラッと様相が変わる。おじさんである小生の知り合いにもいる名前がたくさんランクインする。
男性のトップがタイトルにも挙げた「アントニオ」。これに「マヌエル（Manuel）」、「ホセ（José）」、「フランシスコ（Francisco）」、「ダビ（David）」が続く。
一方、女性のトップは「マリア・カルメン（María Carmen）」で、これに「マリア（María）」、「カルメン（Carmen）」、「アナ・マリア（Ana María）」、「マリア・ピラール（María Pilar）」が続く。
やはり、「マリア」の人気は根強い。新生女児のベスト５にもランクインしたが、中年・後年にも人気があり、人気100位の内、約25個が「マリア」が入るダブルネームだ（María Dolores, María Teresa, María Ángeles, María Luisa, María Nieves, etc.）。
1950年代以前の男性のトップは「ホセ（José）」だった。それが、新生児の名前ランキングでは35位までに落ちてしまった。こんな具合に名前の流行（modas de los nombres）は変わっていく。
あと、お年寄りの名前の統計も載っていて、「アシンディノ（Acindino）」とか「フルメンンシオ（Frumencio）」は70歳より上の男性にそれぞれ20名以上いたそうだ。女性では「アフロディシア（Afrodisia）」や「アクラシア（Acracia）」が80歳を超える女性にやはり20名を超えていたそうだ。いずれも、聞いたことも、会ったこともない、珍名さんだが、長寿にあやかれそう。
写真はどこかのアントニオ・ガルシア氏。「Antonio, García, España」で画像検索すると、大勢のアントニオ・ガルシア氏が出てくる。