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3/21 ニュースなスペイン語 Moción de censura:不信任決議

昨日の記事でも触れたが、ボックス党から現首相ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)に対して提案されている不信任決議についての審議(debate)・投票(votación)が今日と明日、行われる。

これまでにも、小欄で不信任決議については取り上げた(昨年3月11日〜14日 etc.)。

しかし、今回の不信任決議は、過去のものと比べ、どうも盛り上がらない。

まぁ、それもそのはずで、対立候補(candidato)のラモン・タマメス(Ramón Tamames(写真))は1ヵ月ほど前のインタビューで、不信任決議案が成功するかどうかについて、合理的な疑問 (dudas razonables de que la moción vaya a prosperar)があると言っていた。

つまり、戦う前から、すでに、負け戦の可能性を否定していない・・・、どころか、ほぼ、負けるよ、と宣言する有様。

しかも、ボックス党からの不信任決議なのに、同党は国会内で必要な支持を取り付けていない(Vox no dispone de los apoyos parlamentarios necesarios)。

タマメスの朋友であり、国民党(PP)の党首でもあるアルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)は「支離滅裂なこと(disparate)」はやめるよう説得を試みたという(intentó disuadir a Tamames de presentarse)。

そして、フェイホに近い情報筋(fuentes)によると、フェイホはタマメスに対して、「もし、あなたが私の父親なら、こんなこと(不信任決議)をさせておかないだろう(Si fuese mi padre, no le dejaría hacer esto)」とまで伝えたそうだ。

現在のところ、フェイホは審議には欠席、国民党は棄権(abstención)する見込み。

加えて、タマメスは、ボックス党のいくつかの方針に対して距離を置く(ha marcado distancias con algunos postulados de Vox)という。

極めつけは、現政権が史上最悪とは言いすぎ(ve "exagerado" decir que el Gobierno es el "peor de la historia")と、まぁ、何だか、おかしなことばかり。

何のための不信任決議で、なぜボックス党から提案されるのかが、全く、謎。

決議の大義がボロボロ、というか、芯がフニャフニャ。

対して、現政府をけん引するサンチェスこそ、2018年に、当時の首相マリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)に対して不信任決議を叩きつけ、国民党からスペイン社会労働党(PSOE)に政権(legislatura)を奪還した人物。

不信任決議の意義を十分に心得ている。

2020年にはボックス党党首のサンティアゴ・アバスカル(Santiago Abascal)からの不信任決議を突っぱね、政権を防衛した。

タマメスは御年89歳。

別に高齢者が政治に参加してはいけないわけでもないし、タマメス自身も言うように「経験(experiencias)」と「叡智(sapiencia)」に基づく政治というのも悪くない。

年を重ねてわかることや言えることもある。

ん〜、しかし、今回の不信任決議は、国民党の言うように、政治ショウ(circo(原義は「サーカス」;performance;show parlamentario))と見られても仕方ない。

しかも、面白みに欠けるショウだ。

写真はラモン・タマメス。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230320/claves-mocion-censura-vox-quien-interviene-como-se-vota-papeles-tienen-tamames-abascal/2431608.shtml  など