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3/3 ニュースなスペイン語 Bolígrafo:ボールペン

ボールペンを一本、持ってきてくれ(Tráeme un bolígrafo)

こんな風に使われていたそうだ。

これで「例のカネを持ってきてくれ」という意味になるのだというのだから、まぁ、符丁(合言葉)というのは、部外者には、まったく、お手上げだ。

ここ数日、メディアには「Caso Mediador(仲裁人事件)」という文字が踊っている。

これは、この度、明らかになった(恐らく、かなり、広範囲にわたる)汚職事件(fraude;corrupción)のコードネーム。

まだ、調査中で分からないことも多い上、今、明らかになっていることだけでも、とても、一回や二回の小欄の考察では、全貌はつかみきれないので、今回は、取っつきやすいところから始めよう。

舞台はカナリア諸島州。

冒頭のような隠語で、業者にカネを要求していたのが、元スペイン社会労働党(PSOE)の下院議員(diputado)のファン・ベルナルド・フエンテス・クルベロという人物(Juan Bernardo Fuentes Curbelo(写真))。

フエンテスは仲裁人事件の中心的人物(cabecilla de trama) のひとりと目されている男だ。

日本でも、そして、スペインでも、政治家のセンセが、これ程、露骨にワイロ(cohecho)を要求したり、職権を乱用(tráfico de influencia)するのは、最近では、珍しい(まぁ、かつては、洋の東西を問わず、この種の汚職劇はあったけど)

フエンテスは、すでに、議員を辞職し、身柄も拘束されて(いたようだが、現在では、釈放(quedó en libertad)されているみたい…)、カナリア諸島州の高等裁判所(El Tribunal Superior de Justicia de Canarias)が諸々の調査を始めているところ。

いろいろな登場人物が出てくるので、さしあたり、フエンテスを中心に、事件の概要をつかむのが得策かも。

今回はフエンテスが「ボールペン(=賄賂)」を要求した企業について。

本社はマドリード、支社はテネリフェ島にある、クリーンエネルジェネティック(Cleanenergetic)という企業で、再生エネルギー事業(energía renobable)を手掛けているようだ。

この企業の経営者であるアントニオ・バウティスタ・プラド(Antonio Bautista Prado)に対して、「ボールペン」を持ってくるよう指示していた。

しかも、この問題のやり取りが行われていたのが、カナリア州下院議会(Congreso de los Diputados)だったというから驚き。

まさか、行政のお膝元で、白昼堂々、賄賂を要求していたとは……。

さらに、フエンテスによれば、議会でのこうした「会合(reuniones)」は「日常茶飯事(habituales)」だったというから、またまた、驚き。

灯台下暗し――。

続々と検証記事などが出てきたので、追々、紹介していこう。

写真は渦中のファン・ベルナルド・フエンテス・クルベロ。

仲間内では、ティト・ベルニ(Tito Berni)の愛称で呼ばれていたようだ。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230301/caso-mediador-mordidas-exdiputado-psoe/2428614.shtml