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3/21 ニュースなスペイン語 Un giro histórico(2):歴史的転換(2)

昨日の記事の続き。

アフリカ大陸のサハラ砂漠の西側にある、西サハラを巡り、スペインが「歴史的転換」をしたと昨日の記事で紹介した。

これまで、スペインはこの問題に中立(neutro)の立場を貫き、西サハラの支配権を巡り対立しているモロッコ(Marruecos)とアルジェリア(Argelia)の2カ国を刺激しないようにしてきた。

しかし、スペインは17日、この方針を突然変え、モロッコに肩入れをする表明をした。

モハメド6世モロッコ国王に宛てた書簡の中で、ペドロ・サンチェス首相は、「スペインは、2007年に提示された、モロッコによる自治の主導権を熟考している(España considera la iniciativa marroquí de autonomía, presentada en 2007)」と述べた。つまり、「あなたを支持します」という外交上の表現だ。

そして、スペインとモロッコは「愛情の念、歴史観、地理、関心、友好関係によって、離れられないほど、しっかりと結びついている(están indisolublemente unidos por afectos, una historia, una geografía, intereses y una amistad compartida)」とも述べ、両国の友好な関係を強調した。

モロッコも「スペインの我が国に対する前向きな立場と建設的な約束を高く評価する(aprecia altamente las posiciones positivas y los compromisos constructivos de España)」と応じた。

スペインからの突然のラブコールの背景には、モロッコがスペインにとって、EU諸国を除くと、第3の取引先(tercer socio comercial)で、国内には8万人を超えるモロッコ人を抱えている、懐事情がある。

だから、外交上の安定(estabilidad diplomática)を一刻も早く確立したかった――。これが、スペインの偽らざる本音だろう。ウクライナのことで頭がいっぱいのスペインだ。ひとつでも悩みのタネは潰しておきたい。

これは、別の言い方をすれば、スペインとモロッコとの外交は決してうまく行っていなかったということ。これについても、どこかの機会で、触れよう。

4月2日から、イスラム国家であるモロッコではラマダン(Ramadán)が始まるので、それまでに、スペインは外務大臣(Ministro de Asuntos exteriores)を送り込む。続いて、サンチェス首相もモロッコ入りを予定している。

こんな具合に両国は蜜月関係を着々と進めているが、面白くないのが、アルジェリアだ。

実際、今後のアルジェリアとの関係を考えると、今回のスペインの方針転換は「深刻な失敗(grave error)」と見る専門家もいるくらいだ。この辺りも大切な問題だ。

写真はモハメド6世(右)に出迎えられるサンチェス首相。2018年に撮影されたもの。

出典
〈本文〉
https://www.rtve.es/noticias/20220318/marruecos-espana-sahara-conflicto/2316861.shtml

〈写真〉
https://atalayar.com/en/content/pedro-sanchez-recognises-moroccan-plan-sahara-most-serious-realistic-and-credible-basis