8/18 ニュースなスペイン語 Agricultura:農業
先日、スペインの農業統計(Censo Agrario)が公表されたので、スペインの農業を数字で確認してみよう(ただし、統計処理の都合上、2020年度現在のデータ)。
まず、農地面積(superficie agraria)は2390万ヘクタール。広大すぎて実感がわかないかもしれないが、日本は約440万ヘクタール前後なので、約5倍。国土全体から考えれば、約半分が農地面積という計算になる(日本は約10〜11%)。
農地面積の内の約半分(48.7%)が小麦や大麦などの穀物(cereal)を作るための耕作地(tierra arable)に当たる。
そして、耕作地に続くのが、永久牧草地(pasto permanente)で、31.5%を占める。牛や豚、羊などの飼育に用いる。
オリーブ畑(olivar)は農地全体の10.3%なので、世間一般でイメージされている程、広い面積は当てられていない(しかし、オリーブオイルの産出高は、堂々たる世界1位)。真偽の程は不明だが、世界のオリーブオイルの半分は、スペイン、中でもアンダルシア州産、とも言われている。
果実園(frutal)ではイチゴ(fresa)、メロン(melón)、スイカ(sandía)などのフルーツ用地。全体では5.3%を占める。
そして、ぶどう畑(viñedo)は主にワイン用のぶどうを栽培する。全体では3.6%を占める。
下の地図を見ると、スペイン全体でどのような農地利用がされているかが一目瞭然:
フカミドリ色の「cultivos leñosos」とあるのは、「樹木栽培」という意味。南側で樹木栽培と言えば「オリーブ」だし、地中海側の樹木栽培は「オレンジ(naranja)」だろう。
そして、イベリア半島の右下にひときわオレンジ色の地域がある。これは「ハウス栽培地(invernadero)」を表し、アンダルシア州のアルメリア(Almería)にほぼ限定されている。これはトマト(tomate)、ピーマン(pimiento)、玉ねぎ(cebolla)などのためのハウスだ。なお、宇宙から見ると
こんな具合に見えるらしい。白いところは、全て、ハウス栽培。「白いビニールの海(mar de plástico blanco)」などと評される。
あと、スペイン全土に広がっているわけではないが、ここ5年ほどで急上昇してきたのが、菜種(colza)とピスタチオ(pistacho)だ。
スペインは四方が海に囲まれて海の幸が豊かなのはよく知られているが、フランス、イタリア、ドイツなどに続く、ヨーロッパ屈指の農業国でもある。しかも、各地方の気候に合わせるように、農地の利用方法も変え、自然に翻弄されながらも、巧みに恵みを享受してきた。
これからも、自然はスペインに容赦ない牙を向けるだろうが、したたかなスペインだ、きっと、新しい農地利用を思いつくはずだ。
写真はピスタチオの実。日本でよく食べられる種はドライフルーツ(fruto seco)は最も完成されている(más completo)と評される。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20220817/mapa-espana-agricola-cultivos/2396185.shtml など