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3/11 ニュースなスペイン語 Terremoto político:政治的激震

10日から11日にかけて、スペインの政治に激震が起こった。当分、長引きそうだが、まずは、今わかっていることだけを整理しておく。

震源地はムルシア州(Murcia)だ。同州はスペインの南東に位置する州で面積は秋田県とほぼ同じ1万1000㎢、人口は沖縄県や滋賀県よりやや多く、鹿児島よりやや少ない約150万人。地中海に面した、温暖な地だ。

そのムルシア州の議会で、10日、動乱が起きた。

これまで、ムルシア州を牛耳ってきたのが、国民党(PP)のフェルナンド・ロペス・ミラス(Fernando López Miras)州知事。このロペス・ミラスに対して、10日、不信任決議動議(la moción de censura)が提出されたのだ。提出したのは、スペイン社会労働党(PSOE)と市民党(Cs)だ。この結果、市民党が推すアナ・マルティネス・ビダル(Ana Martínez Vidal)が新州知事に就任し、PSOE陣営が市役所(Ayuntamiento)、つまり、ムルシア市の市政の指揮を執ることが確実となる。長年にわたり、ムルシアを治めてきた国民党が締め出された形だ。

驚くべき方向転換(un giro sorprendente)ー。ある新聞は不信任決議提出をこのように表現したが、市政では動議のうわさ(rumor)が立っていたことも確かだ。関係者によると、水面下の「交渉は一か月以上続いていて(las negociaciones han durado más de un mes)」、昨夜、「急きょ全てが決着した(se ha precipitado todo)」 ようだ。

ムルシアでの振動がマドリードまで到達した。マドリード州知事イサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)がこの動乱を黙ってみているはずがない。マドリード州議会では、アジューソが国民党、副知事イグナシオ・アグアド(Ignacio Aguado)は市民党。つまり、マドリード州議会は現在、国民党と市民党の連立政権なのだ。

アジューソは、数時間前、この連立を「一方的に(unilateralmente)」破棄し、議会の解散(disolver la Asamblea)と5月4日に総選挙を開催することを発表した。この発表の直後、PSOEはアジューソらに対する不信任決議を提出した。

およそ1年半続いたマドリード州連立政権は終焉に向かう。ジューソは肉を切らして、骨を断つー。刃は当然、PSOEと市民党(と、もしかしたら、ポデモス党)ののど元に向けられている。返す刀で国民党を封じることができるのか。

写真はVanguardia紙(3.10)より。自らの辞任と議会の解散を発表するアジューソ マドリード知事。