見出し画像

8/19 ニュースなスペイン語 Pluralidad:多様性

昨日の続報。

この度、下院議長(presidenta del Congreso)にフランシナ・アルメンゴル(Francina Armengol(写真))という、スペイン社会労働党(PSOE)所属の人物が選出された。

アルメンゴルは2015年から今年までバレアレス諸島州の知事を務めていた。

得票数は178票で、対抗馬の国民党(PP)公認のクカ・ガマラ(Cuca Gamarra(以下の写真))に40票近く差をつけて、ぶっちぎりの当選だった。

アルメンゴルは、 自治州での諸公用語(lenguas cooficiales)を下院で使うことを認める(permitirá el uso)ことを議長として表明したのだったが、その方法が、中々ユニーク。

政治は社会の発展に寄与しなければならない(contribuir al progreso)とし、その際、議論と合意(el debate y el acuerdo)、そして、対話(diálogo)が不可欠とする。

その対話は「話すこと(De hablar, falar, hitz egin… de parlar)」によって成されるとした。

その際、「話す」という動詞を、カスティーリャ語(スペイン語)、ガリシア語、バスク語、カタルーニャ語の各言語で表現したのだ。

まぁ、小手先のレトリックかもしれないが、アルメンゴルの根底にある多様性重視の姿勢を分かりやすく示した形。

なお、議長戦に敗北したガマラは、これらの言語について、自らの見解は述べなかったが、これまでの現状を踏まえ、議場(Hemiciclo)でこれらの言語は「何の問題もなく使用されてきた、ただし、限度を超えないかぎりにおいて(sin problema, siempre que no se superaran ciertos límites)」と指摘。

アルメンゴルは「スペインは多様性の中で、常に発展してきた。この国の豊かさは多様性に根ざしている(España siempre avanza cuando se reconoce en su pluralidad y diversidad. Porque la riqueza de este país reside en su carácter plural)」と述べ、「我々を貧しくする統一性を避けなければならない(escapar de posiciones uniformes que nos empobrecen)」と主張した。

ところで、アルメンゴルの発言の一部を、冗長的になってしまうので、「多様性」と訳したが、実際は「pluralidad」と「diversidad」というふたつの語が使用されている。

前者は「複数あること」、後者は「いろいろなものがあること」という意味。

様々なものがひとつずつではなく、たくさんあること――。アルメンゴルの言わんとする多様性だ。

小生も画一的なスペイン像よりも、多様性の豊かなスペインの姿が好きなひとりなので、アルメンゴルの言うふたつの意味を含意した「多様性」には大賛成。

写真はアルメンゴル。

この人物の経歴を見ると、バレアレス諸島の生まれだから、名字は、多分、カタルーニャ語読みの「アルンゴル」の方が近いかなとも思いつつ、正議長選出を告げる場面を見ると、「アルメンゴル」と聞こえるので、今回はこれに倣った。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230817/armengol-pluralidad-lenguas-cooficiales-congreso/2454094.shtml