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3/2 ニュースなスペイン語 Carlos Vermut:カルロス・ベルムト

日本では「ベルムト」で知られているスペイン人映画監督(cineasta;director de cine(写真))だが、実際の聞こえ方は「ベルムッ」に近い。

まぁ、それはともかく、ここ数日、小欄は例の「コルド案件(caso Koldo)」でもちきりだったが、実は、今回、紹介する事件もかなりのもの(のはずだが、その割には、あまり、マスコミで取り上げられていない)。

日本でも、何人かの映画監督が出演女優らに対する性的暴行(violencia sexual)の容疑で逮捕されたが、このベルムトも彼と仕事をした女性たちから同じ容疑で訴えられている(acusan)。

被害者は、少なくとも、6人。

今年の1月26日付の記事では、映画学校の学生(una estudiante de cine)、制作スタッフ(una empleada de una de sus producciones)、文化セクターの職員(una trabajadora del sector cultural)の3名が、かつて、ベルムトから合意なき(no consentidas;sin su consentimiento)性行為を強要された(forzó)と主張している。

3名は、いずれも、今の仕事を失うのではないか、もしくは、仕事をもらえなくなるのではないかという恐怖から、警察に暴行の事実を訴えることができなかったという(Por miedo a perder su empleo, o no conseguir uno, ninguna de ellas llegó a denunciar a la policía lo ocurrido)。

そして、2月27日付の記事では、さらに3人の女性が同様の訴えを起こしていることが報じられている。

ベルムトに暴行されたのは美術スタッフ(una artista)、文化セクターの職員(una gestora cultural)、そして、女優(una actriz)だ。

これら3名の女性たちは、誰も信じてくれないのではないかという恐怖から告訴には踏み切れなかった(Ninguna presentó denuncia por temor a que nadie las creyese)と主張している。

中にはより良い仕事を約束されていた(había prometido un empleo mejor)女性もいたという。

どの女性たちもそれぞれの恐怖心から被害の届けをためらっていたというから、構図は日本の案件と似ている。

しかし、当のベルムトは謝罪どころか、いかなる女性に対しても性的暴行を働いたという意識はない(no haber sido consciente de haber ejercido violencia sexual contra ninguna mujer)と開き直る。

さすがに、これは、日本の監督らより、質が悪い。

さらに、 ベルムトは、常に合意した形で「sexo duro(自主規制でそのままにしておく)」をしてきたと主張(haber practicado sexo duro siempre de manera consentida)。

ただ、女性たちは「動けなくされ、首を絞められた(la inmovilizó, la estranguló)」とか、「言葉で責められ、身体的にもひどい扱い(trato denigrante, tanto verbal como físico)」と言っているくらいだから、常人離れした性癖があったみたいだ。

ベルムトは、さらに、「家に戻って気分が悪くなったとか、多分、そうしたコトを言うのが怖くなったとか、それは別の話。そんなのは私が知るよしもない(Otra cosa es que la persona en su casa después se sintiera mal y a lo mejor en el momento tuviese miedo a decirlo. Eso yo no lo puedo saber)」などと持論を展開してる。

写真はベルムト。

どうもすみません――。

奇しくも林家三平の往年のギャグと瓜二つのジェスチャーが一層ムカツク。

一応、映画人としてのキャリアも紹介しておくと、2012年に『ダイアモンド・フラッシュ(Diamond Flash)』で監督デビューの43歳。

2014年のサン・セバスティアン国際映画祭(San Sebastián)では、『マジカル・ガール』で、最優秀賞である金貝賞(Concha de Oro)と監督賞(premio a mejor dirección)を受賞している。

ちなみに、小児性愛の男性(hombre pedófilo)が自らの欲にもがき苦しむ(atormentado por sus deseos)姿を描いた22年の最新作『マンティコア―怪物―(Mantícora)』は、少なくとも、日本で今年4月に上映予定らしい。

作品に罪はないというスタンスに、小生は賛成。

出典

https://www.rtve.es/noticias/20240126/tres-mujeres-acusan-director-cine-carlos-vermut-violencia-sexual-segun-pais/15935784.shtml

https://www.rtve.es/noticias/20240227/otras-tres-mujeres-acusan-cineasta-carlos-vermut-violencia-sexual/15987412.shtml