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7/30 ニュースなスペイン語 Begoña Gómez(1):ベゴーニャ・ゴメス(1)

パリ五輪真っただ中だが、実は、政治で大きな動きがあった。

ベゴーニャ・ゴメス(Begoña Gómez(写真右))は小欄ではすっかりおなじみだが、一言で言うならば、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相の妻であり、いくつかの疑惑の渦中にいる人物。

主に6月5日の小欄でも紹介したように、世界がまだコロナ禍にあった頃、いくつかの公的入札において、ゴメスは、首相の妻であるという優越的地位を濫用(tráfico de influencia)し、何らかの汚職(corrupción)に関与したのではないか(つまり、優越的地位を利用し、幾ばくかの金銭をフトコロに入れたのではないか)との容疑がかかっている。

実は、7月に入ってから、ゴメス関連ではいろいろな動きがあったのだが、どたばたしていて、見て見ぬふりをしていた。

簡単に振り返っておくと、まず、今月19日、ゴメスは優越的地位の濫用と汚職への関与について、調査対象となることを宣言しない権利(su derecho a no declarar como investigada por un presunto tráfico de influencias y corrupción)を行使した。

ということは、つまり、検察(Fiscalía)の調査にも、裁判官(juez)や、一連の疑惑を最初に告発した市民団体などからの質疑にも応じないということ(だと思うのだが、このあたりの裁判手続きの詳細がいまいちよく分からないので、とりあえず、いったん、放置しておく)。

続いて、今度はサンチェス自身に白羽の矢が立って、野党であるボックス(Vox)などから、本件について、証人(testigo)として発言するよう求められ、サンチェスは今月24日、口頭ではなく、文書(por escrito)での発言を裁判官に求めた。

しかし、26日、裁判所はサンチェスのこの要望(petición)を拒否。

それどころか、何と、事件の担当裁判官であるフアン・カルロス・ペイナド(Juan Carlos Peinado)御自ら、本日30日、首相官邸に出向き(acudirá a Moncloa)、サンチェスから直接、証言を得る(tomar de manera presencial declaración al presidente del Gobierno)ことになった。

これは、スペイン民主主義史上、類を見ない出来事(un hecho inédito en la historia de la democracia española)とのこと(日本に当てはめて考えるとすごいことだよなぁ・・・)。

そして、重要なのが、サンチェスがこの度、政府の長としてではなく、ゴメスの夫として証言することになる点(que lo hará en calidad de marido de Begoña Gómez y no de presidente del Gobierno)。

日本でも、政治家の言動が「私人としてか」それとも「公人としてか」が問われることがあるが、これに似ているややこしさ。

担当判事(juez instructor)であるペイナドによると、もし、サンチェスが、ゴメスの諸々の疑惑について、首相の職務上、知り得たことであれば(el presidente del Gobierno tenía conocimiento de alguno de los hechos en calidad del desempeño de su cargo)、その時は(entonces sí)、新たな証言を書面によって行うことができる(pudiese hacer una nueva declaración por escrito)という。

しかし、まぁ、ひとりの人間が、しかも、身内の言動について、公人(首相)と私人(夫)を区別して、証言できるものなのかーー。

ペイナドが首相官邸に乗り込むという前代未聞の行動について、当然、与野党からは様々な反応が出ているのだが、これは、稿を改めた方が良さそう。

写真はベゴーニャ・ゴメス(右)とペドロ・サンチェス。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240729/caso-begona-gomez-semana-clave-declaracion-pedro-sanchez/16201714.shtml