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8/4 ニュースなスペイン語 Impresentable:人前には出せない

昨日の続報。

スペイン中央政府が打ち出したエネルギー節約のための緊急措置に対して、マドリード州が従わないと宣言した――。昨日の記事はこんな内容だった。

このイサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)マドリード州知事の「自己中心的で非協力的(egoísta e insoludario)」な態度に対して、法務大臣(Ministra de Justicia)のピラール・ジョップ(Pilar Llop)が示した見解がタイトルに挙げた「impresentable」だ。

人前に出せない――。こんな訳を付けてはみたものの、どうもニュアンスがつかみにくい。

Presentarは「参上する」とか「紹介する」という動詞。これに「可能」を意味する接尾辞「-able」が付き、さらに、「打ち消し」の接頭辞「im-」が付いた語が「impresentable」だ。  

だから、「みっともない」とか「はしたない」とか「恥ずかしい」という訳も付けられそうだし、「見苦しい」とか「目も当てられない」、こんな訳もありうる。

とにかく、スペイン中央政府としては、アジューソの「マドリードは(電気・照明を)消さない(Madrid no se apaga)」宣言に業を煮やしている。

一方、アジューソの所属政党である国民党(PP)は、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)政権は「誰にも相談することなく(sin haberlo consultado con nadie)」決めた措置を押し付けている(imponga)として、アジューソの抵抗に理解を示した。そして、各自治州(comunidad autónoma)の「独立性(autonomía)」が尊重されていないとも述べ、アジューソの全面擁護に回っている。

そして、マドリード州は、政府が打ち出した緊急措置が、自治州の権限に抵触する(choca con competencias autonómicas)として、憲法裁判所(Tribunal Constitucional)への提訴を検討している(estudia recurrir)と発表した。 

そして、国民党所属の知事が治める他の自治州は今のところ、静観の構え――。

実は、この構図は6月7日の記事でも紹介した高校カリキュラム問題とそっくりだ。

政府の方針にアジューソが抵抗すると、国民党が擁護する。一方、他の国民党議員は、見て見ぬふりをする。そうこうしてるうちに、政府方針が憲法裁判所に提訴されるという有様。泥沼化の定石。

スペインの自治州知事の権力や発言力は、日本の県知事よりも、遥かに大きい。自治州制のメリットでもあり、デメリットでもある。

写真はディアス・アジューソ。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220803/gobierno-ve-impresentables-declaraciones-ayuso-ahorro-energetico/2393947.shtml