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1/18 ニュースなスペイン語 Protocolo antiaborto:反中絶ガイドライン

タイトルは違うが、昨日の続報である。

ん〜……何かがおかしい。

このガイドラインはカスティージャ・イ・レオン州で成立が目前とされていて、先週、同州の副知事、フアン・ガルシア・ガジャルド(Juan García-Gallardo)が、その悪趣味な骨子を説明した――。

そんな話を昨日の記事で紹介したのだが、その後のいろいろな反応を見ていると、どうも、よく分からないことが多いのである。

「解決なき疑問(dudas sin resolver)」とのタイトルの記事が出るのも無理ない。

第一、カスティージャ・イ・レオン州知事のアルフォンソ・フェルナンデス・マニュエコ(Alfonso Fernández Mañueco)が、今週に入って、反中絶ガイドラインの導入を否定した(ha negado que se vaya a implantar un protocolo antiaborto en la región)のが何とも妙である。

しかも、断固として(de contundente)、と報じられる程である。

つまり、州のトップふたりの見解が真逆なのだ。

しかし、昨日参照した記事には、このガイドラインは厚生協議会との合意の下、去年の3月10日に国民党とボックス党で交わした約束の進展の結果(que supone el desarrollo del pacto de Gobierno entre PP y Vox firmado el 10 de marzo del año pasado)とある。

となると、今、小生に考えられる可能性はふたつ。

ひとつは、国民党所属のマニュエコがこのガイドラインの成立を知らなかったわけがないのだから、今になって、その導入に断固として反対を表明するのは、あまりにもガイドラインへの反対が多すぎたために、  ガルシア・ガジャルドとの心中を避けた。

政治家としての信念が問われる事態で、これはこれで情けない。

もうひとつの可能性は、ガルシア・ガジャルドの暴走だ。

上でも言及した昨年3月にボックス・国民両党が交わした約束は、スペイン語では「pacto」とあるが、その内容は本当に公開に足るものだったのか。

まだ構想の段階の草案か何かを、功名心からか、勇み足からか、それは分らないが、根回しも無しに、ガジャルドの一存で、発表してしまった。

だとすれば、ん〜、それもそれでまずい。モノゴトに順序があるのは、洋の東西を問わない。

さて……。

ガルシア・ガジャルドによれば、今週の月曜日にガイドラインは発効(las medidas tenían que entrar este mismo lunes en vigor)するとのことだったが、カスティージャ・イ・レオン州の官報(Boletín Oficial de la Junta)は今のところ、何の動きもないらしい。

官報に掲載されないことには、効力もなにも、お話にならない。

しかも、このガイドラインで重要な役割を果たすことになる医師たちも、差し当たり、何の指示も受けていない(ni los médicos de Castilla y León han recibido instrucción alguna)という。

厚生大臣(ministra de Salud)のカロリナ・ダリアス(Carolina Darias)が、ついには、本ガイドラインを停止せよのと要請書(requerimiento)を送ったというのだから、もうグチャグチャだ。

問題のガイドラインは、女性の中絶の権利を保障している、現行の法律「中絶法(Ley del aborto)」に明らかに矛盾しているのだから、ダリアスの行動もうなずける。

とても、1本の記事で混乱の全貌をつかむのは無理だ。また、稿を改めよう。

写真は副知事ガルシア・ガジャルド(左)と知事フェルナンデス・マニュエコ。

象徴的な一コマ。

ガジャルドは32歳。一方のマニュエコは58歳。

親子ほどとは言わないが、政界でのキャリアが全く異なるふたり。

先輩が後輩に何かを教え諭しているのか。

それにしても、ガルシア・ガジャルドのキョトンとした顔が、事の重大性を理解してない子供のようにも見えなくもない。

このときのふたりの会話を聞いてみたいものだ。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230116/dudas-sin-resolver-matices-guerra-partidos-claves-plan-antiaborto-castilla-leon/2416002.shtml