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11/5 ニュースなスペイン語 Tres C:3つのC

スペイン語には「3つのB( las tres B)」という表現がある。

Bueno(品質が良い)、Barato(安価な)、Bonito(見た目がかわいい)の頭文字を取った造語で、「Esto tiene las tres b(これは三拍子揃ってるね)」のような使い方をする。

ここにきて、新しい「三拍子」が登場した。それがタイトルにもあげた「3つのC」だ。こちらは、3つのBと比べると、あまり、無邪気ではいられない。

3つのCは、Cabeza(頭)、Corazón(心臓)、そして、Cánceres(癌)の頭文字を取ったもので、高齢者が気にかけなくてはいけない疾病(mal;enfermedad;demencia)の代表だという。

今、スペインではベビーブー厶世代(generación de babyboom)が徐々に高齢化し、特にアルツハイマー病(Alzhéimer)の患者が増加し始めている――。こんな記事を今日は紹介する。

前提として、スペインでベビーブーム世代というとき、各見解によって多少の誤差はあるが、概ね、1950年代の中頃から1970年代の中頃にかけて生まれた人たちを指す。

日本の団塊の世代とその子供たちである団塊ジュニアにほぼ相当する。

日本ではベビーブームを第1と第2に分ける傾向があるが、スペインはひとまとめにする説明をよく見る。

小生は団塊ジュニア世代なので、他国のこととは言え、はやり、他人事とは思えない。

老人医療の専門家(geriatra)はこんな予測をしている:

医師や看護師、それに、高齢者をケアするための代替システムを適切に配備しないと、医療体制は崩壊する(El sistema va a colapsar si no se dota adecuadamente de médicos, enfermeras y de sistemas alternativos de apoyo a las personas mayores)

スペインでは、人口比率で考えると、2037年には4人にひとりが65歳以上となる(現在は5人にひとり)。

そして、65歳以上の10人にひとりがアルツハイマーの危険性(riesgo de padecer)があるという。

アルツハイマーは5歳老いると共に、発症数が2倍になる(La prevalencia se duplica cada cinco años más de edad)ことを考えると、「アルツハイマー・エピデミック(epidemia de Altzhéimer)」という表現もあながちオーバーではないだろう。

エピデミックは、コロナのようなパンデミック(pandemia)の前段階。

老人医療の専門家たちは、アルツハイマーは3つのCの内、「頭」に関わるわけだが、その治療費(gasto)は「癌」や「心臓(病)」を合わせた治療費を上回る(encima)との試算があると述べる。

スペインでは、アルツハイマー病の治療に年間に3万ユーロ(約435万円)かかるという。これは、当然、家族にも本人にも大きな問題となる(Es un gran problema)。

こうした経済的負担をふまえ、専門家たちは次のように説く:

同じお金を使うなら、疾病を治すより、罹患しないように用心したり、予防するのに投資するほうが、余程、モトが取れる(Cada euro invertido en cuidados y prevención saldrá mucho más rentable que gastar en curar)。

予防に勝る治療なし、ということだろう。

加齢は避けられないとなると、やはり、病気の訪れを少しでも遅らせるしかないみたいだ。

さてと……。

写真は国際アルツハイマーデー(9月21日)の啓発ポスター。ポスターの下に書かれているメッセージが心に響く。

私たちをつなぐ絆は心にあることを覚えておいて(Tan sólo recuerda que los lazos que nos unen están en el corazón)。

肉親がどんなに変わっても…ということだろう。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20221104/envejecimiento-sanidad-coste-alzheimer-cronicos/2406963.shtml