6/14 ニュースなスペイン語 Pobleza y exclusión social：貧困と社会的排除
スペインは2023年度、EU諸国の中で、貧困と社会的排除の危機にある人口が３番目に多い国だった（España fue en 2023 el tercer país de la Unión Europea con mayor pob lolación en riesgo de pobreza o exclusión social）――。
こんな分析が欧州連合会計担当局（Eurostat）によって公表された。
データ集計の都合があるから、仕方がないけど、後からこういう事実を知らされても、とも思うが、まぁ、次年度の参考にしなさいよ、ということか。
それはさておき、はじめに、表題の用語の辞書的な定義から。
まず、「貧困」は経済的・物質的な資源に支障がでていること（privación de recursos económicos y materiales）。
そして、「社会的排除」の方は人々が、自分の属しているコミュニティに、社会的、経済的、政治的に参加したり、役割を持って活動することができずに、孤立してしまうプロセス（La exclusión social es el proceso por el que las personas son excluidas para participar o integrarse en la sociedad a la que pertenecen en el ámbito social, económico y político）を指す。
さて、EU諸国全体で見ると、貧困ないし社会的排除の危機にある人は9500万人で、これはEUを構成する全人口では、21%を占める計算。
国別に見ると、ルーマニア（国民の中で社会経済的弱者が占める割合：32%）がトップで、これにブルガリア（同：30%）、スペイン（同：27%）と続き、スペインの下にギリシア（同：26%）が来る。
これら４カ国は2022年にも上位を占めていた常連国。
一方、 チェコ（同：12%）、スロベニア（同：14%）、そして、フィンランドとポーランドが同率で16%となり、こちらは貧困と社会的排除にある人の割合が最少の国々。
ちなみに、会計担当局によると、今回問題となっている貧困とは、所得（renta disponible）が低い・物質的にも、社会的にも、極めて深刻な不足状態（graves privaciones materiales y sociales）・家族の構成員の労働時間が非常に低い家庭（hogares con muy baja intensidad laboral）のいずれか３つの状況の内、少なくとも１つに当てはまる（reúnen al menos una de estas tres situaciones）ケースを指す。
そして、EU諸国では、女性（mujeres）、若年層（jóvenes） 、教育レベルの低い人（personas con bajo nivel educativo）が最も影響を受けている（los más afectados）という。
ここに、独立していない、扶養下にある子ども（hijos dependientes）のいる家庭という要素が加わると、さらに状況は厳しくなる。
ちなみに、以下の記事によると、2021年度の日本の貧困率（正確には「相対貧困率」というらしい）は15.4%だったらしい。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/30798?layout=b
日本のデータは経済協力開発機構（OECD）によるもので、小欄で取り上げた欧州連合会計担当局の調査時期も方法も異なるので、単純比較はできないけど、数値だけを見れば、日本は、優秀なスロベニアとフィンランドの中間くらいか、ふぅ、安泰、安泰――。
と思いきや、さにあらず。
上記の記事に引用されているOECDのグラフでは、日本の貧困率は、アメリカや韓国、そしてスペインまでを抜いていることが分かる。
しかも、日本のすぐ上には、小欄の冒頭で触れた、EU諸国貧困率ワースト２位のブルガリア、そして、ほんの少し先には、貧困トップルーマニアの背中が見えている状況。
生活実感として、あまり、生活貧困者がいるようには思えないのだが、これが怖いところ。
それは裏を返せば、いかに自分が限られた空間で生きていて、自分とその周辺が恵まれているかということ。
世界的に見れば、日本はかなりの貧困国・格差の激しい国であることを肝に銘じておかなくては。
写真は生活貧窮者（本文とは関係ありません）。
なお、この写真は2019年の新聞記事から拝借したが、この時分はまだ、スペインはEU諸国内で貧困率７位だった。