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こだわりのあるあの子がキレた時
こだわりのあるあの子には、仲良しがいた。
仲良しの子は、誰ともうまくやっていたように見えた。
あの子にとっては、特別な仲良し。
お互いにとって、大切な友達だと聞いていた。
そんな仲良しの子が転校していっちゃって、
あの子は、ひとりぼっちになった。
ある時、わたしはあの子がどうしても気になった。
授業中、鼻水が出ているのに、かまないでいる。
下を向いて、じっと耐えている。
鼻水は、もういまにも、ポトンと落ちて、机に付きそうだった。
(・・・・?ティッシュを持ってないのかな?)
わたしは、まるでこっそり授業中にともだちに手紙を渡すかのように、ひとづてにその子にティッシュを渡した。
その子は、ティッシュを渡したクラスメートを見て、クラスメートが指をさした、わたしの方を見た。
わたしは、うなづいた。
(うん。ティッシュあげるから、使っていいよ)
そんな気持ちでいた。
でも。
その子は、結局ティッシュを使わなかった。
使わないまま、机の上に、受け取ったティッシュを置いて、またさっきと同じポーズで、落ちそうな鼻水に耐えた。
わたしは、
(どうしてだろう?)
と思った。
理由が、わからなかった。
そんなあの子が、本気でキレたのは、中学生の時。
ちょっとその子にいつも絡んで、その子をバカにしていた数人組がいたんだ。
その子は、耐えて、耐えて、耐えた後、ある時突然、数人組のボス格の子のぶ厚い教科書を、突然目の前で、ビリビリに引き裂いた。
わたしは、
(あー・・・・とうとう、か)
と思った。
ボス格の子は、呆然として、
「な、なんだよ・・・・」
としか、言えなかった。
その後も、別になにがあったわけでもなく、その子は地味に卒業していった。
でも。
もしかしたら、あの子の中では、何かが変わっていたのかもしれない。
だって、あれっきり、あの子が数人組に嫌がらせをされたという話は、聞かなくなったもの。
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