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【書籍紹介】日本銀行 我が国に迫る危機

 今年4月、日銀の黒田前総裁は退任し、新たに植田新総裁が就任しました。このタイミングで、かねてより日銀の金融政策に警鐘を鳴らしていた河村小百合さんの新著、「日本銀行 我が国に迫る危機」が出版されました。(以下リンクです。日本銀行 我が国に迫る危機 (講談社現代新書

 詳しい内容は書籍を読んでいただければよく分かりますが、アベノミクス以降のとち狂った日銀の金融政策、そして財政規律をほとんど意識することのなかった安倍政権の残した時限爆弾、腫瘍細胞が、いかに今後の日本を危険な状態に陥れるか。豊富な図とともに初学者でも分かりやすいよう、平易な言葉で書かれています。

 安倍政権と黒田日銀がいかに今後の日本にとって危機的な状況をもたらしえる状況を作ったかは、私達の【政策】ページでもご紹介してきました。

 今回とくに、私の印象に残った本書の内容は以下の言葉でした。

(中略)にもかかわらず、我が国内では、この事態をどれほどの危機感をもって受け止めることができているでしょうか。世界第3位の経済大国であり、極めて勤勉な国民性を有するはずの我が国が、なぜ、こうした事態に陥ってしまったのでしょうか。私はその原因は、
 ①私たち一人ひとりに、社会を、国を支えるのは私たち市民であり、国民である、という意識や自覚が希薄なこと。具体的には、我が国でも税を追加的に負担する余力のある層は相応に存在するのに、社会全体として、その"追加的な税の負担"に関する合意の形成ができないこと。
 ②財政再建に関する議論はもっぱら、毎年度、そしてせいぜい目先数年間の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の幅をどうするか、にとどまり、国全体、私たち全体として、過去の借金(国債残高)を国として返済していかなければならない、という意識が欠けていること。
 という2点にあると考えます。そしてその背景には何よりも、私たちの"甘え"と"無理解"、"無責任"があると考えます。

日本銀行 我が国に迫る危機
第8章 我が国の再生に向けての私たちの責務p247-248

 私たちは恐ろしいくらい、自国の金融政策や財政状況に関して無知です。これは何かあったときのお上頼みの性質、自分たちの国のことは自分たちで決めるという「民主主義」の本質がいまだ浸透しきっていない影響もあるのでしょう。しかし、日本は中国や北朝鮮のような国ではありません。議会制民主主義な以上、議会の指導者を選ぶのは自分たちであり、自国の状況に関しては、本来国民一人ひとりが責任を持たなければなりません。

 日本は1965年に赤字国債を発行して以来、ほぼ一貫して国債残高を増やしていました。実に60年近くの間、"甘え"、"無理解"、"無責任"な状態で過ごしてきたわけです。

 もちろん、日本の財政・金融政策に疑問を感じている心ある人も大勢いるでしょう。しかし、既存の政党でこの問題に真剣に向き合っている政党は、残念ながら一つも見受けられません。財政再建など訴えても、議席を得られるほどの票にならないと思われているからです。そして実際にそうなのでしょう。

 こんな現状はおかしい。少なくとも、真っ当な財政政策を主張する政党が一つは世の中に必要なのではないかと、私は考えました。かりに自分の思いと一致する政党がなければ、それは自分の意見が政治に届かないということとなります。そして、この思いを抱いているのは私だけではない。同じような考えを持つ心ある国民も、本当は少なからずいるのではないか?それなら、その受け皿を作ることができたら!という気持ちで、「時代革新」を立ち上げました。

 本書でもあった通り、積み上がった債務による日本の破綻は遠からぬところまで迫っています。破滅的な国民生活の破壊を招く前に、理性を持って状況を理解し、責任感をもって事に臨んでいきましょう。時代革新の政策「一新循環」は、日本の現状への唯一解だと思っています。ぜひ一人でも多くの皆さまの参加をお待ちしています。


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