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【政策⑧】なぜ、日本の実質賃金は下がり続けているのだろうか?

こんにちは。

これまでお話してきた【政策①〜⑦】で、既存の与野党の、主に経済・金融政策に関し「場当たり的」そして「無責任」と評し、その理由を説明してきました。

それでは、私たちの政策はどのようなものか?それが下図で表される、「一新循環」です。

一新循環

一新循環とは、簡単に言うと①最低賃金の引き上げ、②消費税率引き上げ、がメインの政策です。

この2つをメインに、経済の好循環を作り出し、30年間停滞を続けていた日本経済を再生していこうと言う政策です。

では、なぜ一新循環により新しい好循環が生まれるか。特に②消費税率引き上げ、は、景気を冷やすものだとされてきました。そこでこれからその内容を解説していくにあたり、まずは①最低賃金の引き上げから見ていこうと思います。

日本の賃金の実態はどうなっているか?

今までの記事でもお話してきたように、日本の実質賃金は1997年をピークに低下傾向となっています。日本はモノづくり、そして輸出の国だと思われている方もいるかもしれませんが、実はGDP(国内総生産)の半分は個人消費です。

筆者作成

貰っている給料が増えなければ、人は少しでも節約しようとし、消費が減るのは当然でしょう。

そして日本は現在どんどん人口が減少しています。人口が減少する中、賃金が上がらないと、ますます国全体の消費も減ってしまいます。結果国全体の儲けをあらわすGDPの増加も他の国と比べ冴えないものとなってしまいます。

総務省ホームページより
社会実情データ図鑑より

ではなぜ実質賃金が上がらずむしろ低下しているのでしょうか?

賃金の上昇を妨げる要因、①非正規雇用労働者の増加

これにはさまざまな原因が言われていますが、その中の一つに、非正規雇用者の増加が挙げられると思います。

下図のように非正規労働者人口は、確認できる限りでも2002年から増え続けてきました。対照的に正規労働者人口はほぼ横ばいです。

非正規労働人口と正規労働人口の推移
筆者作成

割合で言っても1989年から労働者に占める比率は増えてきています。

厚労省ホームページより

非正規労働者は時給ベースで働く人も多く、実質賃金低下の要因になっているのは想像しやすいのではないでしょうか。

下図は、実質賃金指数、名目賃金指数、消費者物価指数を1990年を100としてグラフにあらわしたものです。

名目賃金指数(青)
実質賃金指数(赤)
消費者物価指数(緑)
でそれぞれ表したものです。1990年を100としています。
筆者作成

先ほど説明した非正規雇用労働者の増加に伴う賃金の低下が起こったのは、この図で言う①の部分に該当します。この頃は、日本はデフレ経済で、名目賃金も実質賃金も低下傾向となっていました。

賃金の上昇を妨げるの要因、②インフレーション

次に、それとは別の現象が起きていると思われるのがアベノミクスの期間(②)です。

その解説の前に用語の説明ですが、名目賃金とは実際に私たちが貰う給料の額、消費者物価指数とは物価の変動を、実質賃金とは、物価の変動を考慮した給料の額を言います。

仮に給料が100円から105円に上がっても、物価が10%上がってしまうと今まで100円で買えてたものが110円出さないと買えなくなってしまいます。つまり、賃金が物価以上に上らないと、私たちは貧しくなってしまいます。それを考慮して計算したのが実質賃金です。

実質賃金の考え方
実質賃金=名目賃金/物価上昇率
105/1.1=95.6

つまり、実質賃金は名目賃金を物価上昇率で割れば求められます。

上図を例にとると、名目賃金が100円から105円となっても、物価が10%上昇すると、実質賃金は95.6円と、前年より下がってしまいます。

①の期間とは異なり、アベノミクスが始まった②の期間からは、図を見ていただければお分かりの通り消費者物価指数は明確に上昇傾向となりました。そして、名目賃金指数も上昇傾向です。つまり、見た目の上での賃金は上がっているけれど、それ以上に物価の上昇がひどく、私たちが貰う実質的な給料(実質賃金指数)が低下したのだと考えます。

このように20年以上、実質的な賃金の低下が起こっているのに、消費が活性化するわけがありません。これからも賃金が下がり続ける可能性が十分に予想されるため、みんな少しでも節約して、将来に備えようとすることは自然な姿ではないでしょうか?

私たちは何よりもまず、賃金の上昇が必要だと考えます。

これは最近、政府や連合、企業側でも認識されるようになってきました。ただインフレ率以上の賃金の上昇は難しいとも言われています。ではどうすれば賃上げは達成できるのか?それに関し次回以降お話していこうと思います。


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