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【所感】ロシアのウクライナ全面侵攻から一年になるにあたって

 プーチンによるウクライナへの全面侵攻開始から、2月24日で一年が経過しました。当初三日でウクライナの敗北で終わると予想されていたこの戦争は、ウクライナのゼレンスキー大統領のリーダーシップと、ウクライナ国民の英雄的な継戦と、そして西側諸国による軍事支援のおかげで、今日もウクライナは敗北することなく自分たちの土地に立ち続け、頑強に抵抗を続けています。

 ウクライナでの戦争に関しての私の考えは、前に下記の記事(2022年注目ニュースランキング、第1位)でご紹介したので、今回新しく何か意見するわけではありません。

 今回は、ウクライナ侵攻から一年になるのをきっかけに、今後日本の取るべき道筋を考えてみたいと思います。

ロシアの生命線、エネルギー輸出

 IMFが先日予想を発表したロシアの昨年のGDPは、−2.2%と、当初予想より上方修正されました。

世界経済のネタ帳より

 目立った工業・農業輸出品を持たないロシアにとり、戦争を継続させるお金を得るのに一番大事なのがエネルギー輸出です。

 現在ヨーロッパ諸国は、戦争開始前50%近くに及んでいたロシアへの天然ガス輸入を急速に減らしています。もしこれをさらに減らし続けることができれば、アメリカがイランに課しているような、第三国をも巻き込む強力な経済制裁が可能になるでしょう。

 2014年のクリミア半島併合後、ロシアが自国経済に対する他国への依存度を徐々に減らして対策を講じていたとしても、強力な経済制裁は必ずロシア経済にダメージを与えるはずです。

 そしてその経済制裁は、現在ロシアに融和的な姿勢を示している中国やトルコ、インドなどにも影響を及ぼすに違いありません。

日本のロシアに対する姿勢

 日本はエネルギー調達先の多様化の観点から、ロシアからのエネルギー権益の撤退に極めて及び腰でした。今でもサハリン1、2への権益を維持しており、結果としてロシアを利する状況を作っています。

 先日ロシア侵攻一年を前に、アメリカのバイデン大統領が初めてウクライナの首都、キーウを訪問しました。それに対し、G7首脳で唯一キーウ訪問を果たせていない岸田首相に焦りが見られるとの報道もありますが、首相に求められているのは、バイデン大統領のようなキーウ訪問でしょうか?

 もちろん、今年のG7議長国として、キーウ訪問ができればそれに越したことはありません。

 しかし、自由と民主主義を擁護すべき立場にある西側諸国の一員として、今一番求められることは、この瞬間も懸命に自国を守るために武器を取り、1センチでも多くの領土を取り戻そうと命を懸けるウクライナ国民にとって最も役立つことを行うことです。

 そしてそれは、ロシアの経済力を削ぐことです。それこそが、憲法の制約で武器支援などを積極的に行えない日本ができる、ウクライナの勝利への確実な一歩です。

 つまり日本が、岸田首相が、まずやらなければならないことは、「サハリン1、2の権益放棄」です。

 これにより、日本のエネルギー価格は多少負の影響があるかもしれません。しかし、この戦争におけるロシアの勝利は、まさに力による国際秩序の変更が許される世界となってしまい、中国など権威主義国家が力をつける東アジアも無縁ではいられません。ロシアへの制裁強化は、日本の安全保障のために、防衛費増額以上にメリットとなる政策だと信じています。

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