ひいばあの風船
祖母が亡くなり、半年が経ったころ。
スーパーでもらった風船が
息子の手からふわっと離れて、
秋のスカッとした青空に吸い込まれていった。
「 もうひとつ もらう? 」
息子に聞くと、
遠ざかる風船をじっと見つめながら
『 ひいばあがもらってあそぶから
いらない 』
そして、
『 みてみてっ!
ひいばあが わらってるね 』
青空を指さし、ほほえむ息子。
「 ほんとだ、笑ってるね 」
一瞬、
わたしにも祖母の笑顔が見えた。
わたしは
やさしくも凛とした
祖母の笑顔が大好きだった。
祖母は
息子の風船を受け取ってくれたかな…
祖母はもういない。
けど、
わたしと息子のこころの中で
いつまでも生き続けてほしい
と強く思った。
息子が指さした青空に
ひこうき雲が
まっすぐ伸びていた。