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こころの引っ掛かりがようやく形を成してきた④

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わたしが頻繁に学校を休むようになって、度々訪問してくるようになった人物とは、M川さんという方。

M川さんは正座をして、寝ているわたしの横に正座し、合掌した。

それからわたしにむかって、手をかざした。

そして母に一言。

「あぁ、これはしんどいわね」


どうやらM川さんが体調に問題がある人間に手をかざすと、相手の血流がよくなり、回復するということらしい。


母はいつの間にか、救世教という宗教に入信していた。
キリスト教ではないが、イエス様の教えを尊重しているらしかったし、
M川さんがわたしに手をかざした“お浄霊”は、いわゆる洗礼のようなものを受けるとだれにでもできるものだった。

後にわたしも何の疑いもなく洗礼を受け、丸いペンダントを授かり、その力によってお浄霊をするようになるのだが…

最近問題視されている莫大な金額を献金するような宗教ではないし、たしかに誰かに手をかざすと体が熱くなる感覚があった。
今になって救世教やお浄霊を否定するわけではない。
わたしはもうやらないけど。

そもそも転勤族で、母は友達が少なかったんだと思う。
世話好きでお人好しで気が弱い母にとって、誰かと関わることは生きる意味だった。
それなのに何年かごとに知らない土地に行かなければならないことは、母自身無自覚だろうが、孤独で辛いことだったのだ。
しかし救世教を通してたくさん友達ができた。それも全国に。
文字通り、救世教は母を救う教えだった。

ただ、その影響はじわじわとわたしを侵していったんだと、今になって思う。


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