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ちいさなブランドの、目的地の描き方

お店やブランドというのは生き物で、"現状維持" はないのだと、ノートブランド『じぶんジカン』を4年営んできて思う。

それなのにここ数ヶ月、わたしは「現状維持」を望んでしまったがゆえに、先の見えない霧のなかへと突き進んだ。

「現状維持」を望むことのもっとも大きな弊害は、熱量を失うことだと思う。わたしが熱を持てなくなることは、運営ブランドが熱を失うことでもある。わかりやすいもので、それは注文数などの数字に反映する。

とはいえ、売上を拡大したいわけじゃない。数値目標はわかりやすいけれど、「もっと売上拡大を目指そう!」なんて思えない人間なのだから、仕方がない。

じゃあ何をすれば?

どうしたら、熱を取り戻せるのだろう?

この3ヶ月におよぶ五里霧中な日々は、「目的地の描き直し」という解決策によって、晴れやかに爽やかに解消する(つまり今のわたしは燃えており、めでたく熱を取り戻したのである)。

今回はせっかくなので、悩んだ軌跡と、目的地の描き方のメモを。


必要なのは「目的地の描き直し」だった

「あ、目的地の描き直しが必要なのか」

と気づいたのは、「どうしたらブランドの熱量を取り戻せるのか」と悶々とする日々を3ヶ月積み重ねた、ある日のことだ。

ブランドの熱量が停滞しているように感じた原因は、わたしが「現状維持」を目指したせいだった。ただ実はその背景にあったのは「目指していたこと、おおかた達成したなー!」という気持ちだった。

やりたいこともできている。無理も一切していない。生活もできている。有難いことに「こうありたい」の80%ぐらいは叶っていたのである。

だから、現状維持でOK。これ以上売上を拡大したいわけじゃない。もうじゅうぶん楽しいし。今の活動を、続けていけばいい。


しかし、なぜだか霧が晴れない。


なんだろう、何がひっかかっているんだろう?


……ああ、それじゃあ、つまらないのか。
現状維持では、自分がおもしろくないのか。


でもさ「もっと上を」って思えないんだよな。売上を増やすとか、もっと多くの人に届けるとか。今でじゅうぶんなんだもん。


……あ、そうか。

上じゃなくて、横に広がるってこともできるのか!

上ではなく、横を。数値による目標ではなく楽しそうだから目指したい場所をイメージすれば良いのだと気づいてからは、早かった。わたしは次にやることさえ明確になれば、「よっしゃあ!」と燃えてくるのである。

ということで、ここからはわたしが描きなおした『じぶんジカンの目指す方向』を。

もっと自分達が楽しく、そしてユーザーのみなさんにとって心地よい時間を届けるために。

よかったらお付き合いください。


じぶんジカンが目指す方向、実現したい場所

『じぶんジカン』のミッションは、心地よく自分を生きる人を増やすこと。

そのために、「自分と向き合う時間」をコンセプトとしたプロダクトをお届けすること。それは、これからも変わらず。

その上で、まずは現在地。今の活動をざっくり書くと、こんな感じだ。

【じぶんジカンの現在地】
ものづくり
思考のきっかけとなるノートを制作して、お届けする。現在は少なくとも月200点以上のプロダクトを発送している。

場づくり
問いを届けたり、自分の心の動きを見つめたりする場所をつくる。今はnoteメンバーシップがメイン。たまにワークショップイベント開催。

言葉を届けること
noteをはじめとしたSNSやメディアでの発信。

この現在地は継続した上で、もっと楽しく、わくわくする方へと舵を切るために、とにかく「やってみたいこと」「楽しそうなこと」を書き出した。

そしてその中で「これは、実現したいな」と思うことを、これからの目的地としてまとめたのが、こちら。

【じぶんジカンの目的地】
●ものづくり

・ノートの制作とお届けは引き続き。現在のお届け数を保って、毎月新しいユーザーさんと出会えるように。
・ノート以外にもつくってみたいプロダクトがたくさん!一緒につくってくれる人を見つけて、新しいブランドラインをつくってみたい。

●場づくり
・noteメンバーシップはとても大切な場所なので、守り育てていく。続けること。
お店を持つこと。ノートを書いたり、考え事をしたりしにきてもらえる場所。土日OPENで、1日8名ぐらいのお客さんと会えるようにしたい。まずは店舗探しを継続。

●言葉を届けること
・現在のSNSの発信は継続。
・自分たちが選書した「ゆっくり生きても良いじゃない」と思えるような本をそろえた書店をOPENしたい。Web shopも開くけど、実店舗にも並べたい。お客様からの推薦本も、紹介文つきで置きたい。生き急いじゃう人が「ゆっくり生きてもいいんだ」と思えるきっかけを増やしたい。
・書いた文章たちをエッセイ集としてまとめていきたい。紙で届く遅い言葉は特別。

書き始めると止まらなくなってしまうので、この辺で。

実際はA4のノートの見開きに、思いつくままに言葉とイメージが並べてあって、びっしり埋まった。

つまりわたしは「現状維持でよいのだ、拡大なんて目指さなくていいのだ」と自分に言い聞かせすぎて、自分自身の想像力とか、わくわくする気持ちに、蓋をしてしまっていたんだと思う。

「木は、根っこの広がり以上に枝を広げることはない」みたいなのを聞いたことがあるんだけど、まさにそんな感じ。根っこを狭いところに押し込めていたせいで、じぶんジカンの広がりを、わたしが妨げていたのかも。

やりたいことが、どんどんと溢れてくる。熱量が溢れ出す。

おのずと、次に何をするのか決まっていく。やることがたくさん!これほど嬉しい悲鳴はない。わたしは「次はこれをする」と決まっている方が、燃えてくるタイプだ。


ちいさなブランドの、目的地の描き方

せっかくだから、今回わたしが目的地を描き直すにあたって、意識したことをまとめておく。

いつかまた迷ったときの自分のために。そして、もし同じように悩む誰かがいたら、参考になったらいいな。

【方向性として大事なこと】
●三方よしの関係をつくること

・まず自分たちが楽しく無理がないこと
・ユーザーさん達が心地よいこと
・いっしょに作ってくれる人達に無理がないこと
→どこかに無理が生じると、長続きしない。絶対三方よしの事業をつくる。

●どうなったら楽しいかをまず考える
・まず「どうなったら楽しいか」を考える
・必要な売上からやることを逆算するとつまらなくなる
→数字はあとから "頭" で考える、まずは楽しそうという "心" から始める

●こうなりたくないを明らかにしておく
・「こうなりたくない」「これはやりたくない」を明らかにしておく
・それをやらなくて良いための仕組みを考える

【目的地の描き方】
1)現在地を把握する

・満足している部分を洗い出す(継続したい点)
・改善したい部分を洗い出す(目的地の再設定が必要)
・事業内容、ブランドイメージ、売上などの数字すべての現在地を書き出す

2)やってみたいことを書き出す
・ここは箇条書きで思いつくままに
・やった方が良いことじゃなくて、やってみたいこと!
・夢物語でOK、ここは無邪気に
・自分のテンションが上がってくることが大事!

3)目的地を描き直す
・やってみたいことの中から「これは本当にやりたい」と思えるものを具体的に考えてみる
・現在地で出てきた「改善点」に対する策を考える

【大事な視点】
●他のやり方ないかな?も考える

・ひとつの方法にこだわってしまいがち
・違うやり方や届け方も考えてみる
・誰かの視点でアドバイスもらうのも良い

●事業の広がりをつくる方法
・商品のラインナップを増やす
・拠点を増やす(実店舗・販売店など)
・これまでとは違う層の人に届ける
→すべてはビジョンやコンセプトに沿って。売上が出やすいとか話題になりやすいとか、そういう短期的な理由でこじつけの事業をすると、全部台無し。

●たいていの場合「伝える」が不足している
・プロダクトやサービスが良くないっていうのは、一生懸命考えて誠実につくったものならば、あまりないと思う
・だからまず見直すのは、発信方法!
・自分では気づきづらいので、第三者視点をもらうことも重要

と、いうことで。

わたしは今、これからの『じぶんジカン』が楽しみで仕方なく、わくわくしっぱなしです。

それは、目的地を描き直したから。

自分がわくわくできる「目的地」を持つことが、これほどにも重要なんだと実感する経験となりました。

『じぶんジカン』を大切に思ってくださっているユーザーのみなさま、見守ってくれている方々にも、楽しみにしてもらえたら嬉しいです。


おわり



こちらのnoteもどうぞ!

じぶんジカンの事業内容や売上推移は
こちらにまとめています↓



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