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第10話 この物語が、ジストニアから回復する手助けとなれたら

今後の生き方を考えるために、過去の整理をしてみた。
そこで、ジストニアになってからの症状は、幼い頃からのそれが強まっただけだと気づいた……。

これが前回までのお話です。

そして、今回で最終話となります。


第10話 この物語が、ジストニアから回復する手助けとなれたら


私は、2011年から、都内にある脳神経内科にも通っています。
特に治療をするわけではありません。
ただ半年に一回、症状の経過を話しているだけ。
でもそのたびに先生は、私の変化を喜んでくれています。

「ジストニアは治ることが難しいと言われています。
けれど永松さんは、時間をかけながら、少しずつ回復されていますね。
ご自身で、何が理由でここまで良くなれたと思いますか?」

ある日、先生がこう尋ねました。
改めて訊かれると、理由はなんだろう。

2014年から今の治療院に通ったことは、間違いなく大きい。
けれど、治療とは別に、私個人がしたことで何が一番効果的だっただろうか。

思い返してみると、結局もっとも変化を感じたのは、過去の症状記録や日記を振り返ったことだと思います。

もちろん、書くことで少しずつ気づきが増えて、何をしたら体は安心するのか、何をしたら体は喜ぶのか、考えるようになりました。
それにより瞼への執着がなくなり、顎や首の治療、今の治療院にも出会えたのだと思います。

だから書くことは、とてもおすすめ。

けれど、よりたくさんの変化をもたらしてくれたのが、振り返る時間でした。
過去の自分を他人ととらえて、新たな視点で冷静に言動を振り返ることができました。
それにより、自分への誤解が減り、行動が変わり、自分から否定されない安心感が生まれたのだと思います。

人にも伝えられることが増えて、見守られている安心感を少しずつ感じられています。

孤独とは、理解者が少ないほど感じるものなのかもしれません。
自分からも他人からも理解されない不安が、人を孤独にさせるのだと思います。
一人かどうか、愛されているかどうかよりも。

「ご自身で、何が理由でここまで良くなれたと思いますか?」

今、先生に質問されたら、私の答えはこうだろうか。

「自分自身とジストニアを客観的に理解して、安心できたことだと思います」と。

この物語も、そのような役割を担えたらと思っています。

今、ジストニアで困っている人たち、そしてそのご家族が、他人である私の文章を通して気づきを増やしていけるように。
ジストニアを理解していけるように。
それにより、自分への誤解、患者さんへの誤解、そして病気への誤解が少しでも解けてくれたら嬉しいです。

理解することは、安心感につながる。

回復するエネルギーにつながると、私は信じています。


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頑張りたい理由がある人へ | ジストニア体験者・研究家 永松ひさこ
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