見出し画像

教員の働き方改革への提言(2)

定期考査の廃止と平常点作業の見直し・削減

おはようございます!
毎週ご高覧いただきありがとうございます!

教職37年、校長職6年の現場経験・肌感覚と、自分なりに得た専門的知見より、

法改正や制度設計、財源確保の議論とも並行しつつ、令和6年度新学期より即実践できる私の考える「教員の働き方改革」は、

新学習指導要領・観点別学習状況の評価の理念に基づく適正な学習評価・授業改善の取組みの推進に基軸を置いた「定期考査の廃止と平常点作業の見直し・削減」を断行することに他なりません

高校では、従来、観点別評価は積極的に行われず、
テスト点70点(若しくは80点)・平常点30点(若しくは20点)
で、学期の評価及び学年の評価(点数で算出されたものを5段階の評定に総括する)を行うことが一般的であったように推察されます
よって、令和4年度入学生を迎えるにあたり「新しい授業観の構築と適正な学習評価に学校全体で取り組むことが必要不可欠」となっていたのです

新学習指導要領・観点別学習状況の評価の理念に基づく適正な学習評価を推進するためには、
テスト点70点(若しくは80点)・平常点30点(若しくは20点)
の思考から脱却しなければなりません

先生方にとって(もちろん校長にとっても)、生徒・保護者、或いは大学等に、学習評価のエビデンスを、自信をもって示し、アカウンタビリティを果たしていくことは「学校の信頼」にとって必要不可欠の最重要事項で、ミスは絶対に許されないことです

そのような理解のもと、定期考査で総括的評価を行い、平常点を加味して5段階評定に総括すること
ここには、先生方の「適正な学習評価」を得るために、
エビデンスを求め、アカウンタビリティを果たすための、膨大な努力と時間が費やされています

定期考査は考査範囲(期間)内における学習事項の到達度を評価するものです
定期考査の作問には難易度や、複数名で教科の授業を担当する際には担当者や学級間に公平性が担保されているか、等々、何度も練り直して教科で議論して問題を作成します。採点もミスがないように丁寧に細心の注意を払って採点します

平常点に至っては、生徒たちの頑張りをできる限り幅広に評価しよう、進級・卒業単位修得のためにその変容や成果で加点してあげられる項目はないか、と、ノートやプリントをこまめに一生懸命に点検し(生徒たちへのフィードバックを毎時間丁寧にされる先生もいらっしゃいます)点数化、小テストの取組み、授業中の取組み点、果てや出席点等々、その業務量は膨大です

テスト点70点(若しくは80点)・平常点30点(若しくは20点)」の思考から脱却し
定期考査の廃止と平常点作業の見直し・削減」を断行すること

テスト点70点(若しくは80点)・平常点30点(若しくは20点)」は、業務量とミスが許されない重圧はかなりありますが、「このような根拠でこう評価しました」と表明する意味では、先生方にとってとても安心です

では、定期考査や細やかで詳細・丁寧な平常点評価に頼らずに、先生方が生徒・保護者、或いは大学等に、学習評価のエビデンス・アカウンタビリティを悩まず自信をもって示すことができるためにはどうすれば良いのか
これは次回(3)で述べたいと思います

定期考査及び平常点業務がいかに先生方の時間を奪っているか
「待ったなしの働き方改革」を実効的な取組にするためには、これらの解消(改善)が喫緊の課題だと考えています
如何でしょうか

私は、令和6年度(新学習指導要領・観点別学習状況の評価の完成年度)が好機だと、常々主張してきました
しかし、好機のはずがそれと相反する実態も見え隠れしています
この責となるところには校長のマネジメント力の在り方が大きい

観点別学習状況の評価における「主体的に学習に取り組む態度」の評価について、既に実践されている「小中学校」では「評価疲れ」の現象が報告されていて、「高校」で同じことが繰り返されないようにと教育研究者から警鐘がならされていました

「主体的に学習に取り組む態度」=「平常点」の評価と信じ込み、
先生方が、生徒たちの頑張りをできる限り幅広に評価しよう、進級・卒業単位修得のためにその変容や成果で加点してあげられる項目はないか、と、提出されたノートやプリントをこまめに一生懸命に点検・生徒たちにフィードバックして点数化、小テストの取組み、授業中の取組み点、果てや出席点等々、生徒たちの平常点評価に対するエビデンスを求め、アカウンタビリティを果たすために膨大な時間と神経を費やす 実態

「主体的に学習に取り組む態度」の評価の基本的な考え方は、
「単に継続的な行動や積極的な発言等を行うなど、性格や行動面の傾向を評価するということではなく、各教科等の「主体的に学習に取り組む態度」に係る評価の観点の趣旨に照らして、知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価することが重要である」
「本観点に基づく評価としては、「主体的に学習に取り組む態度」に係る各教科等の評価の観点の趣旨に照らし、
① 知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面と、
② ①の粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面、という二つの側面を評価することが求められる」
中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」

観点別学習状況の評価においては、
「主体的に学習に取り組む態度」の評価に対するアカウンタビリティを気にするあまり、先生方が情意も含めた平常点的な要素の詳細な記録をエビデンスやアカウンタビリティとすることがないように
生徒・保護者、或いは大学等に、学習評価のエビデンス・アカウンタビリティを悩まず自信をもって示すことができるように、
校長から先生方に説得力のある解を提示する必要があります
そこには当然、校長と教育委員会の協働が不可欠です

次回は、「定期考査の廃止と平常点作業の見直し・削減」後の、「学習評価」のエビデンス・アカウンタビリティについて論を進めたいと思います

何かのきっかけで、現場の生徒たちや先生方が幸せになっていくような議論が拡がればと願います

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?