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「このモチーフってどういう意味があるんですか?」と質問されたら、ちゃんと説明できますか?

(背景画像の出典:SPUR https://spur.hpplus.jp/jewelry_watch/news/201908/12/M1JGVmg/  )

今週も勉強記録をシェアしていきます。

さて、今週の課題本はこちら。

著者の鶴岡真弓先生は、西洋美術史の専門家、装飾美術に関する著書が多数あります。

今週は鶴岡真弓先生の本を4冊読んだのですが、この本が一番カラービジュアルも豊富でわかりやすかったので、お勧めです。

なぜ装飾文様の意味を知る必要があるのか

ジュエリーの歴史(宝飾史)を勉強していると、やはり美術史全体との密接なつながりがあることがわかります。

特にアールヌーヴォー、アールデコ、バウハウスあたりから、現代ジュエリーにも強い関連性がありますよね。

中でも、「あるモチーフ」が、もともと欧米ではどういう意味があるかをしらなければ、本当にそのジュエリーに込められた意味を理解することはできないと思うのです。

鶴岡先生も著書の中で次のように述べています。

「装飾/文様」には、それを運だ人々のさまざまな「世界観」や「自然観」や「死生観」などが、折り畳まれている。正確にいえば、歴史のこちら側にいる私たちがそれらの想念を「装飾/文様」を見る(視覚する)ことによって直観させられている、ということです。(「装飾の神話学」44頁)

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つまり、あるモチーフを使っているというとき、それは単なる装飾的な効果にとどまらず、歴史や宗教などの物語を言葉以外の方法によって語る装置になっているということです。

安直なところでいいかえると、ジュエリーの接客や販売のときに、

こちらの○○というモチーフは、古代から○○の象徴として重宝されてきたものですよ

と意味付けを添えるためにも使えるかもしれません。

そういえばクロスも、日本では簡単にシルバーアクセに使われてしまっていますが、もとはキリストが磔刑に処された十字架ですからね。

イコノロジー(図像学)から見るジュエリーのデザインモチーフ

今回の課題本では、60近いモチーフを、

①起源、②歴史的展開の双方から多くのビジュアルとともに紹介されています。

ここでは、本書で解説されているもののうち、ジュエリー分野でも見かけることがあるモチーフを紹介します。

ロゼット

意味:円の中心から放射状に花弁を配した文様

起源:アッシリア文明の愛と戦の女神イナンナの象徴、古代エジプト文明の太陽の象徴

展開:キリスト教美術で多様された、太陽とも関連

こちらはハリー・ウィンストンの2019年の新作「ウィンストン・ゲート・コレクション」


起源:古代エジプトの聖蛇ウラエウスは王を守護する護符、ギリシャ神話のヘルメスの杖にからみついた2匹の蛇は商業の象徴

展開:キリスト教では邪悪の象徴(イヴをそそのかして智恵の実を食べさせたのが蛇)

アルフォンス・ミュシャがサラ・ベルナールに贈ったブレスレッドはとても有名ですね。

現代ジュエリーでいえば、ヘビのジュエリーといえばやっぱりブルガリのセルペンティですよね。


ロータス

形状:睡蓮の模様。

起源:古代エジプトにおいて死者や神々への供物に使われた植物であることから、永遠の生命の神ネフェルテムの象徴

展開:ギリシャ、ローマ時代の神殿でも採用され、化粧入れや手鏡などの工芸品に取り入れられていった

近・現代でも、特にモネの睡蓮などのイメージから、しばしば用いられてるモチーフのようです。

こちらはVan Cleef & Arpels「ロータス 」シリーズ


渦巻き(スパイラル)

起源:中世蹴ると・キリスト教時代の彩飾写本の特徴である古代ケルト美術(ラ・テーヌ様式)

意味:霊魂不滅、自然を変容的なものとして見るケルト伝統の生命観

展開:その神秘的で有機的なフォルムから、19世紀末、アイルランドやスコットランドでリヴァイヴァルし、アール・ヌーヴォーのデザインにも取り入れられた。

渦巻きデザインも、ジュエリーにたびたび用いられているモチーフです。

たとえばティファ二ーの18KYGの渦巻きシリーズ。

また、ポーラからも渦巻きモチーフが出ていたのを見つけました。


ユリ(フルール・ド・リス)

起源:紀元前2600~1400年頃のギリシャ、ミノア文明

意味:ローマ神話のユピテルの妻で出産の神ユノの象徴、

 キリスト教では聖母マリアの処女性と受胎のシンボル、

展開:五世紀後半の初代フランク国王のクローヴィスがキリスト教に改宗した際にユリを王家のしるしとし、十四世紀後半にブルボン王家の紋章(フルール・ド・リス)となった。この三枚の花弁は、「信仰・智恵・騎士道」の三徳を表す。

現代ジュエリーでは、やはりフランス王家のイメージへのあこがれからなのか、

フランス系ブランドよりも、むしろアメリカのブランド(ティファ二ーや、ハリーウィンストン)が積極的に用いているのが興味深いと思いました。

ティファニーのフルール・ド・リス シリーズ。

リリー・クラスター バイ ハリーウィンストン


まとめ

いかがでしたか?ブランドジュエリーに用いられているさまざまなモチーフも、元を辿れば古代文明や神話などに起源があるものが多いのですね。

もちろん、購入する側からは、

なんとなくかっこいい

から入ってもちろんいいと思います。

ジュエラーとしては、お客様がなんとなくデザインに目がとまってショーケースから出して、「これってどういう意味が込められているンですか?」と聞かれたとき、

何も答えられなかったり、「ちょっと確認しますね」っていちいちデザイナーに電話しているようでは買う気にはなりませんよね。

そのほかにも、

・アカンサス

・フェストゥーン

・インターレイス(組紐)

・ロカイユ

・ペイズリー

・メダイヨン

・ポルカ・ドット

など、「ああ、そういえば見たことある~」というモチーフが詳しくカラー写真入りで紹介されていますので、おすすめです。

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人形町のジュエリー弁護士⚖️ ジュエリーコーディネーター(JJA-JC2/GIA-AJP)💍 ウオッチコーディネーター(CWC) パールエキスパート(SA) 法律サービスの面から宝飾文化の発展に貢献する💎 https://jewelryandlaw.com
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