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子育て中の話あれこれ③なんちゃってローラアシュレイ

3人目の出産を控えていた時。ふたりの娘をもつ夫の姉に「男の子ふたりのあと、もし女の子だったら子育てすっごくラクだと思うよ!」と言われた。その時既に性別がわかっていたのかもう忘れてしまったが。私はお腹の赤ちゃんの性別は特にどちらでも良いと思っていた。長男を生んだあと、ふたりめの妊娠でできた赤ちゃんを失ったからだ。


ところがどっこい、いざ生まれて来た末っ子長女は、3人の子どもの中で一番気難しく育てにくい子どもだった(当社比)。「地団駄を踏む」という言葉があるが、実際地団駄を踏む人を見たのは長女のそれが初めてだった。気に入らないことがあると、「〇〇なんだよ‼」と自己主張激しく地団駄を踏む。女の子が育てやすいなんて嘘だ。うちは、長男=比較的物分かりが良く育てやすい子、二男=頑固で昭和。気に入らないことがあると地面に大の字になって無言。長女=地団駄を踏む。という、下に行けば行くほど手を焼いた。

あれは長女が3歳の頃。

家族でショッピングモールに行き、ローラアシュレイのショップに入った。庶民の私どもは、はっきり言って「冷やかし」だった。しかし、3歳の子どもにそんな大人の事情はわかるわけがない。

長女は、小さなマネキンに着せられていた子ども用のワンピースの袖口をしっかと握り、

「これほしい!」

と離さない。

なんとかなだめすかし、夫が誘拐犯のように長女を抱きかかえて店を出たが、長女は「お父さんのバカー‼」と足をジタバタさせていた。

さて。当時私は子どもや自分、たまに夫のものまで、ミシンでせっせと洋服を縫ったりしていた。完全に独学で本を見ながらで、なんとか形にはできているという自己満足ではあった。このローラアシュレイで誘拐騒ぎ(ではないが)のあと、長女がつかんで離さなかった淡いブルーで小花模様、パフスリーブでウエスト切り替えでギャザーのワンピースを、適当に縫ってみた。

なんちゃってローラアシュレイを長女はたいそう気に入ってくれ、二男の幼稚園の送りに行った時、経緯を知らない近所のママ友に「えっ、これ自分で作ったの⁉ローラアシュレイみたいね」と言われてガッツポーズをとったのは言うまでもない。当時あのローラアシュレイのワンピースは子ども用で6千円ほどだったと記憶しているが、自分で似せて縫ったなんちゃってローラアシュレイの材料費はその半分程度だっただろうか。子どもにも、自分たちでも、当時その金額の洋服はちょっと買えなかった。

長女が大人になってからも、時々あのワンピースの話になることがある。長女は、つかんで離さなかったワンピースのことはあまり覚えていないらしいが、私の縫ったワンピースのことは

「あれね。お気に入りで砂場で遊ぶ時だって着てたし、よく袖口で鼻水も拭いてたっけ」

と言う。今なら写真を撮ってインスタグラムにアップしたりするのかな。まだ、今のようなSNSがない時代だった。ワンピースは残っていないけれど、こうして時々話題にできるほど記憶には残っているし、あの頃の光景はいまだありありと脳内で再生できる。むしろSNSにあげたら忘れてしまうのかもしれないとすら思えるのだ。

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