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師匠の「ベース」がもう聞けない喪失感。

私には、
「師匠」と呼ばせていただいている方が
います。

その方は、現在
訳があって隠遁生活を送られていますが
エレクトリックベースの達人であり、
自分の名を冠した知る人ぞ知る
エレクトリックベースの制作者です。

私も音楽を囓っていた身として言えるのは

「4弦パッシブの最高峰。
ボディーも重いが音もしっかり重い」

師匠とこのベースの良さを広めたいと、
このベースを一緒に販売していたことがあります。

ベース雑誌の取材にも
答えたりしたのが良い思い出です。

師匠の弾く
ジャコ・パストリアスの「CHICKEN」
これは、本当に身体が勝手に動き出す様な
躍動感のある演奏で、
滋賀県で演奏された師匠のライブでは
その演奏しているホール全体が
うねるような感覚でした。

久しぶりに電話があり、
久しぶりに演奏が聴きたいと話したところ

「ジェッツ、俺ベースやめてん
もうええかな思て」

えっ!?

「納得する指の動きが
できなくてなぁ」

もう、師匠の演奏が聴けない。
頭が真っ白になりました。

いずれ、来るとはわかっていたが
ついに来てしまって。

「ジェッツに1台渡すわ」

「俺が持ってても
ベース弾かない人には
ゴミやから
楽器がわかるやつに渡すわ」

とのことでした。

師匠とベースを売ろうとしたあの青春の日々。
そして、もう聞くことのできない師匠のプレイ。

この喪失感、
感じる時の流れ。

やりたいことをやるなら、
身体が動くうちに

そんなことを
考えさせられた夜でした。

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