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経済に関するメモ(16) 【マーケットのランダムさ・非ランダムさ】

本メモは経済の基礎的な内容に関するメモです。


1. はじめに 4項目

1-1. 人間はもともと投資で負けるようにできている
…リスクを回避したいので、コンセンサスへ依存、それによって小さく勝って大きく負ける
→本当に価値のあるものを嫌がり、価値のないものに殺到し、情熱的正当化で必要以上の損失を被る


1-2. 投資はマイナスサムゲーム、プロもアマも同じ土俵で戦う
…少数派の勝ち組がごっそり利益を上げた後の巨大な損失を多数派で分け合う敗者のゲーム
→このルールを知ることから脱出は始まる
→フリーランチ、アービトラージ機会に貪欲になることが重要


1-3. 投資の学習曲線
…投資で負けるようにできている人間は知識や経験がつくともっと負けるようになる
→成功するには間違いをきちんと認識し成功に過信しない厳しい自己管理やハードワークが必要


1-4. 『確実なものはない、すべては確率の問題である』
ロバートルービン


2.ランダムウォークとマーケットのランダムさ 12項目

2-1. マーケットはランダム性に完全に支配されることはないがかなり強く影響を受ける
→何がランダムか・何がランダムでないかということは分からない
→勝ち負けが投資家の実力か運かははっきり分からない


2-2. リターンリバーサル
…ある期間にリターンが良かったものは次の期間にリターンが悪くなる

→利益を出しやすい局面と損失を出しやすい局面がある
→投資家が唯一コントロールできるのは期待リターン
→さまざまな科学が再び融合されて哲学的思考と一緒になることで限界を越えることができるのでは?
→古代ギリシャ的に言うと『投資とは科学である』


2-3. 経験論的アプローチ
…実践投資家のマーケットの経験知から投資を考える
→理論研究は経験値の後追いなのでは?
→❶実務家(落ちているお金を探す人)


2-4. 経済学的アプローチ(代数学的アプローチ)
…重要な経済指標などのデータを与えると予測ができそうな方程式から投資理論を研究する
→❷経済学者(お金探しに無頓着で本を読む人)


2-5. 物理学的アプローチ
…ランダムウォーク、複雑系、カオス理論によりダイナミックな構造を解明し投資理論を研究する
→❸物理学者(お金探しを見て楽しむ人)


2-6. 心理学的アプローチ
…行動経済学・行動ファイナンスにより相場を形成する人間心理を反映し投資理論を研究する


2-7. エコノミスト
…よりマーケットに密着した経済分析を行う


2-8. ストラテジスト
…投資で利益を上げるために経済分析を行う
→エコノミスト的ではなくストラテジスト的なスタイルを重視
→エコノミストもストラテジストも自称が多い気がする


2-9. ランダムウォーク
…ブラウン運動のランダムな動きを単純化して考えた式

→マーケットの成熟度が高ければマーケットの変動はランダムウォークに従う
→ランダムウォークは無数に重ね合わせると何のトレンドもパターンもない正規分布の動きを見せるが、一つ一つのランダムな動きを取り出すと意味ありげな動きを見せる


2-10. 効率的市場仮説
…市場が効率的であればリターンを得ることはできない

❶情報が瞬時にマーケットに織り込まれる、情報コストがゼロ
❷売買手数料がかからない、取引コストがゼロ
❸投資家が合理的

→情報化社会では情報はすぐに織り込まれる、マーケットを動かすのは予測できない新しい情報のみ
→マーケットの価格はランダムウォークに従う
→マーケットの価格変動は対数正規分布に従う
→ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析は無意味な虚無的な世界となる
→マーケットの大部分はランダムであり人が感じる以上にランダム性が高く予測が難しい


2-11. 効率的市場仮説再考
❶情報が瞬時にマーケットに織り込まれる、情報コストがゼロ
→ゆっくりとしか伝わらない情報があるとき非効率となる
❷売買手数料がかからない、取引コストがゼロ
→パニックで取引コストが上昇するとき非効率となる
❸投資家が合理的
→投資家行動に強い偏りがあるとき非効率となる
→マーケットの成熟度のサイクル、効率化と非効率化が繰り返される
→マーケットにわずかに残る非効率な部分に焦点を当てることで期待リターンを高めることができる
→ランダムウォークを超えた投資理論だけが残る
→マーケットの非効率発生の原因として現実的なのは❶❸


2-12. マーケットの効率化
・合理的投資家が参入してくる、マーケットに非効率な部分があるため
→合理的投資家はリターンが高く勢力を拡大する、マーケットの効率性が上がる
→マーケットは効率化され、合理的投資家のリターンは低くなる


2-13. マーケットの非効率化
・合理的投資家が撤退し始める、リターンが低くなったため
→合理的投資家は勢力が縮小する、マーケットの非効率性が上がる
→マーケットは非効率化される


3. 行動経済学とマーケットの非ランダムさ 19項目

…❸について考える

3-1. 全ての人間が合理的に行動するはずがないというのは効率的市場仮説への反論とはならない
…全ての人間が合理的であることが前提なのではなく全ての人間を平均すれば合理的であることが前提
→全ての人間を平均しても合理的にならない場合を考える


3-2. ギャンブラーの誤謬
…ある出来事の発生頻度が高いとその後にはその出来事の発生確率が低くなる、逆にある出来事の発生頻度が低いとその後にはその出来事の発生確率が高くなる、と判断をしてしまう傾向

→トレンド継続の可能性を過小評価する、上昇が続くと次は下落するはずと思い込む
→ギャンブラーの誤謬によってマーケットはカオスとなりトレンドが発生する


3-3. カオス
…一定の法則に従っているもののわずかな動きが増幅されて予測不可能な動きをする事象 、完全なランダムとは異なる

→初期値がわずかに異なるだけで結果が大きく異なる、初期値のわずかな違いを拡大して折りたたむ性質がある


3-4. トレンドの発生
❶新規投資家が145円で買い、約定消滅、売りは146円に上昇
❷144円以下で買いを出していた投資家が焦って146円で買う、売りは147円に上昇
❸同様に投資家が焦って147円で買う、売りは148円に上昇
❹142円以下で買いを出していた投資家が注文価格を引き上げる
→ここでギャンブラーの誤謬に陥る、新しい情報がないのに上昇したため次は下落するはずだと考えて売るが上昇の連鎖が止まらない
→下落するはずと考えて売った投資家は止まらない上昇の連鎖に恐怖し損切りの買い
→損切りの買いはさらに別の上昇の連鎖を生む


3-5. 過小評価と過大評価の循環
・トレンドの過小評価、上昇が続くと次は下落するはずと思い込む
→トレンドの過大評価、上昇が意外と長く続くと次は上昇がさらに長く続くのではないかと思い込む
→そのトレンドがさらに続くとまた過小評価に戻る、上昇が続くと次は下落するはずと思い込む
→人間心理の保守性によるもの


3-6. 保守性
…人間は新しい事態に直面しても従来の認識を柔軟に変えることができない

→過小評価していたトレンドが続いたとしても頑なに過小評価を続ける
→遅れて修正する必要に迫られると過小評価の蓄積を取り戻そうとして大幅な認識修正を行う
→今度は過大評価が続く


3-7. プロスペクト理論
…不確実性の中でどのように予測・行動するかを考える理論

→価値関数(損失回避性・感応度逓減性)・確率加重関数(主観的確率)


3-8. 損失回避性
…利益・損失を比較すると損失を極端に嫌って判断をしてしまう傾向

→損失回避人間は投資に向いているのか?


3-9. 限界効用(満足度)の歪み
❶利益増加による満足度増加より、利益減少による満足度減少の方が効果が大きい
…利益が出れば小心になってすぐ利食いをしようとする

❷損失増加による苦痛度増加より、損失減少による苦痛度減少の方が効果が大きい
…損失が出れば大胆になって損切りではなく保有をしようとする

→小さく勝って大きく負ける
→大きな損失の苦痛によってさらに損失回避傾向が強くなる
→身を引いてしまい永遠に負け組で終わる


3-10. フレーミング効果
…同じ内容でも表現の仕方で異なる判断をしてしまう傾向

→フレーミングによりリスクプレミアムが発生する


3-11. デフォルトしなければ利回りを得れる、という枠組み
…デフォルトしないということが標準
→デフォルトは起こってはならない緊急事態
→デフォルトによる損失は通常以上の苦痛を与える
→クレジットスプレッドでは割に合わないと感じる


3-12. リスクをとれば期待リターンは高くできる、収益機会となる
→リスクプレミアムは理論的に説明できるが存在するかどうかを知るのは難しい
→マーケットのサイクルを知りリスクプレミアムを織り込んだ局面か、
リスクプレミアムが剥げた局面かをざっくりにでも見当をつけることが重要


3-13. マーケットでのサイクル
…大手の機関投資家に放置される、リスクプレミアムが厚くリターンが高い
→注目が集まり参入が増え価格上昇、リスクプレミアムが潰されリターンが低くなる
→もともとリスクが高いマーケットなのでリターンが低くなると資金が逃げだす
→価格が下落しリスクプレミアムが回復


3-14. リスクプレミアムは人間が嫌がることに対する対価、自らの心理的満足を犠牲にする
→リスクヘッジ手段であるオプション取引などの価格は割高な可能性がある
→損失回避人間が有利な買いにばかり回り効率的均衡価格より割高な分だけ期待リターンを下げる、売りに回った投資家が期待リターンを引上げることができる
→本能に従ったリスクヘッジはコストが多額


3-15. イリュージョンオブコントロール
…自分がよく知らない対象に関しては積極的な評価をしたがらない、知っているものを過大評価

→自己関与人間は投資に向いているのか?


3-16. 自己関与人間
…よく知らないことに対しても口出しせずにはいられない、部下に仕事を任せられない、特定の分野で専門家を雇うよりも自力でやりたがる傾向にある
→あまり役に立たない結論を導くために多大なコストをかける
→いつも見ているマーケットでしか考えない、理解できないものに投資しない
→勝てるチャンスをみすみす逃す


3-17. 自己責任バイアス
…自己に対する評価を甘く判断をしてしまう傾向

→無責任人間は投資に向いているのか?
→負けていても勝っていると勘違いしてしまう
→気がつかないまま負け組へ、いつまでたってもマーケットや投資を理解できない


3-18. 自己高揚バイアス
…成功については偶然であっても自分の能力・努力で実現したと判断をしてしまう傾向


3-19. 自己防衛バイアス
…失敗については自分の能力・努力のせいであっても偶然そうなったと判断をしてしまう傾向
→みんなダメだったよねと考える


4. マーケットの非ランダムさによる罠 15項目

…❶について考える

ファンダメンタルズの罠

4-1. ファンダメンタルズの罠
・経済指標を重視しても意味がない
…経済指標の情報コストは低い、トレンドを生み出さない

・事実分析を重視しても意味がない
…事実性が強いほどマーケットを動かせない

・慎重に間違わないようにしても意味がない
…答えを出したときにマーケットは終わっている

→マーケットの波に出遅れて裏目に
→コンセンサスの誤謬・通説のパラドックス


4-2. トレンドの認識
❶ランダムだが人間がトレンドと認識してしまうもの
❷ギャンブラーの誤謬とカオスにより自然発生するトレンド、将来の動きを予測できない
❸ランダムではないトレンド、将来の動きを予測できる、なんらかの原因により発生
→瞬時にあまねく伝達されることのない情報は何か


4-3. 経済指標
…解釈の余地小さい、コンセンサス形成容易
→情報コスト小さい
→トレンドへの影響小さい


4-4. 先行系経済指標
…解釈の余地小さめ、コンセンサス形成容易め
→情報コスト小さめ
→トレンドへの影響小さめ


4-5. 金利、株価
…解釈の余地大きめ、コンセンサス形成困難め
→情報コスト大きめ
→トレンドへの影響大きめ


4-6. コンセンサスに反する仮説
…解釈の余地大きい、コンセンサス形成困難
→情報コスト大きい
→トレンドへの影響大きい


4-7. 予測の線形性
…将来の状態を現在と近い状態・過去から現在までのトレンドの延長線上の状態で捉えがち
→そこから離れる必要


4-8. コンセンサスの誤謬
…コンセンサスに従って判断をすると求めていない結果に陥ってしまう傾向


4-9. コンセンサス
…多数派による意見の一致

→マーケットのコンセンサスは既に多数の支持を得ている情報でありマーケットのエネルギーにならない、小さくしか勝てない
→マーケットのコンセンサスに反する流れはマーケットのエネルギーになる、速くちょい動き、大きく負ける
→コンセンサスに従うと小さく勝って大きく負ける
→知識レベルが市場平均より優れている人間から形成されるコンセンサスが
マーケットのコンセンサスより優れるという考え方は危険
→人数が増えるとグループのコンセンサスがマーケットのコンセンサスに一致する確率が高まる
→上には上がいるという考えが大事


4-10. 通説のパラドックス
…支持の高い通説ほど有効性が失われていく
→必勝法などない、生き残るにはマーケットの基本構造・原則を踏まえ臨機応変に対応すること


テクニカルの罠

4-11. テクニカルの罠

・パターンを重視しても意味がない
…ランダムウォークの誤認

・フィボナッチ・黄金比を重視しても意味がない
…法則化は不可能

・パターン出現・ブレイクアウトをトレンド変換のサインとしても意味がない
…ランダムウォークの誤認

→分析者の解釈にすぎないのに真理だと勘違いする
→妥当性の誤認


4-12. 妥当性の誤認
…原因と結果を取り違えて判断をしてしまう傾向

→ブレイクアウトされるとトレンドが発生するのではなく、トレンドが発生すると自然とブレイクアウトされているだけ
→ランダムな動きの中に勝手に法則を見出そうとすることになりがち


4-13. フラクタル
…一部が全体と同じような形になっている図形、自己相似な構造を持っている

→ある現象を大きなスケールで眺めても一部分を取り出して眺めても同じように見える
→自分を次々と複製することにより自己組織化してラフネスを生み出す
→そこには必ずベキ分布が生まれる


損切りの罠

4-14. 損切りの罠
・有利な情報を過大評価

・不利な情報を過小評価

・当初目的の事後修正

→認知的不協和、情熱的正当化、損切りによりマーケットは反発


4-15. 認知的不協和
…理想と現実の間に負のフィードバックが発生すると自分を強く正当化してしまう傾向

→価格が上昇するのではと思って買って価格が下落した時の矛盾の解消

❶価格が下落しているという認識に統一、価格は上昇するのではという認識を捨てる
→売らなければならず買っていることは矛盾
→買ったという行動を伴った認識を変更して矛盾を解消するのは難しい、自分の行動を否定されることを嫌がる

❷価格が下落しているという認識を見ない、価格は下落しているがすぐに上昇し始めるだろうという解釈をつけて矛盾を解消する
→短期的な売買で利益を狙おうと始めた取引でも、長期的に見れば上がるだろうと投資目的や投資期間を修正してしまう
→トレンドの中で急反発がなければ状況はどんどん悪化し矛盾も大きくなる
→より強力な自己正当化が必要になる
→情熱的正当化、無謀と思える説に飛びつき自分に不利な情報に異常な反発を示す
→自己正当化しきれずに損切り
→マーケットは反転する、人間の行動はパターン化されやすく他にも同じような投資家が多かったため


5. 効率的市場仮説再考と投資手法 14項目

5-1. 効率的市場仮説再考と投資手法
❶情報が瞬時にマーケットに織り込まれる、情報コストがゼロ
→ゆっくりとしか伝わらない情報があるとき非効率となる
→ランダムでないトレンドやミーンリバージョン
❷売買手数料がかからない、取引コストがゼロ
→パニックで取引コストが上昇するとき非効率となる
→リスクプレミアムにフォーカス
❸投資家が合理的
→投資家行動に強い偏りがあるとき非効率となる
→価格の歪みをとるアービトラージ


ランダムでないトレンドとミーンリバージョン

…ヘッジファンド、経験と知性にあふれた専門家が大胆にリスクをとる

5-2. ミーンリバージョン
…ランダムでないトレンドがカオス的トレンド増幅により行き過ぎの状態となり適正水準へ戻る

→ランダムでないトレンドを捉えるために良いアプローチは何か


5-3. スタティックアプローチ
❶事実性の強いデータを分析し経済をより正確に把握しようとする
❷生産から貿易まで経済の各側面を分析し結果を総合することで全体像を把握しようとする
❸絶対的に正しい正解が存在し努力によってそこに到達できると考える
→罠に陥りやすい


5-4. ダイナミックアプローチ
…キーファクターがこう動けばマーケットがこう動くというシナリオを作って、経済指標・ニュースで検証する

❶マーケットアプローチ、先行性や速報性の重視、データ間の食い違いなど僅かな兆しに注目、マーケット情報を最大限に活用
❷キーファクターアプローチ、キーファクターの特定、徹底分析、キーファクター中心のシナリオ分析
❸シナリオアプローチ、あくまでも仮説であって事後の検証や修正が不可欠、複数のシナリオが併存する、蓋然性が見積もられる
→主観的であるが、キーファクターの変化の確率を出せれば、各仮説の確率を出せる
→経済指標はシナリオの蓋然性を検証するためのツール
→求められるのは経済的・政治的・哲学的・歴史的に幅広い知識


リスクプレミアムにフォーカス

…個人投資家、一部のヘッジファンド

5-5. 社債
…デフォルト確率とデフォルト時損失額からクレジットスプレッドが計算できる
→それぞれ測定が困難
→格付けを参考にする


5-6. 株式
…PERから計算する
→長期国債金利r、リスクプレミアムp、利益成長率g
$${PER=\frac{EPS}{(r+p+g)}}$$
→gが測定困難、同じような成長ステージやカテゴリーの企業を比較する方法も考える


5-7. 分散投資
…リスク分散により損失確率は増えるが損失幅は小さくなる
→損益幅は小さくなりリスクプレミアムが浮かび上がってくる
→期待リターンがゼロのものに分散投資する場合は博打性を薄めるだけの効果しかない、大きなリスクプレミアムのあるものは分散投資する必要がない


5-8. 長期投資
…リスクプレミアムにはサイクルが存在
→サイクルがどうなるかを当てるのではなく、リスクプレミアムに地道に投資を続ける
→サイクルに関わりなく利益を残そうとする、長期投資は1サイクル以上、3~
5年


価格の歪みをとるアービトラージ

…ヘッジファンド

5-9. 国債アーブ
…7y、7.5y、8y
→そのうち7.5yが想定より低い
→7.5y空売り
→金利が下がると損をするため7yと8yを買い
→歪みだけを収益化、金利が上がっても下がっても歪みが直れば利益が出る


5-10. 他国債アーブ
…利回りが高くなりすぎたものを買い、利回りが低くなりすぎたものを売る
→金利間の相関と変動幅の違いをどう考慮するか


5-11. 先物アーブ
…先物が現物より割高なら先物売り、割安なら先物買い


5-12. 同発行体アーブ
…エクイティからデットの資金調達にまたがる
普通株式、優先株、優先証券、永久劣後債、劣後債、普通社債で市場が分断され価格がバラバラ
→カテゴリー上で隣り合っている証券の価格差を見て割高を売り、割安を買う
→転換社債では普通株式を空売り、転換社債を買う


5-13. 異種発行体アーブ
…A社株を空売り、B社株を買う
→投資家層の違いから価格の形成原理が必ずしも整合性がとれたものではなくなる


5-14. リスクアーブ
…企業の合併や買収の情報をいち早くつかむ
買収側を空売り、ターゲット側を買う
→白紙になる、第三者の参入、法的トラブルのリスク


6. ヘッジファンド 8項目

アービトラージタイプ

…マーケットの方向性ではなく価格の歪みにフォーカスしたファンド

6-1. CBアーブファンド
…株価の大きい価格変動にフォーカス、方向は関係ない
→普通株式空売り、CBを買う
→ガンマトレーディング、デリバティブを使って株式のオプションと社債に分解してそれぞれがかなり割安である機会を掴む


6-2. CB
…株式のコールオプション・社債が組み合わさった債券


6-3. 金利アーブファンド
…金利が割高か割安かにフォーカスしたファンド、金利の上昇・下落ではない
→国債アーブ、他国債アーブ、先物アーブ、同発行体アーブ、異種発行体アーブなどを組み合わせる
→リスクが低い戦略はデリバティブを活用して取引量を膨らます、レバレッジをかける


6-4. 株式マーケットニュートラルファンド
…株式にフォーカスしたファンド
…割高で下落しそうなら空売り、割安で上昇しそうなら買い


イベントドリブンタイプ

…マーケットに影響を及ぼすイベントにフォーカスしたファンド

6-5. リスクアーブファンド
…M&Aというイベントにフォーカスしたファンド
→M&Aに関する価格の歪みを捉える
→ビディング企業側を空売り、ターゲット企業側を買う


6-6. 不良債権ファンド
…経営危機・破綻といったイベントにフォーカスしたファンド
→債券などが大きなリスクプレミアムを織り込むことに注目
→集中型のプレミアム投資


ダイレクションドリブンタイプ

…マーケットの方向性にフォーカスしたファンド

6-7. グローバルマクロファンド
…マクロ経済にフォーカスしたファンド
→主要な金利、為替、株価のトレンドを予測してリターンが見込める対象を組み合わせてミーンリバージョンをとる
→ポンド切り下げというシナリオ
→ポンド売り、イギリス株買い、ドイツ株売り、ドイツ国債買い


6-8. ロングバイアス/ショートバイアスファンド
…マーケットの上昇・下落にフォーカスしたファンド
→ロングバイアスはマーケット上昇に特化、レバレッジをかけ価格変動の大きいものに投資
ショートバイアスはマーケット下落に特化、レバレッジをかけ価格変動の大きいものに投資


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。

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