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アートに関するメモ(7) 【万葉集】

本メモはアートの基礎的な内容に関するメモです。


1. 万葉集の感情表現と帝国的世界 8項目

…文化によって感情が形成される、
感情表現をさせることによる間接的な統一
→感情を表さない方が得な世界だったのでは?

1-1. 令和の由来
【初春の令月にして、気淑く風和らぎ、梅は鏡前の粉を抜き、蘭は珮後の香を薫らす】
…新春のよい月、空気や風もいい感じ、梅は白粉(当時のファンデーション)の香り、酒を飲みながら大自然を前にして赴くままに過ごすのは最高、今も昔もこの気持ちは同じだろう、さて今日も歌作りますか

・メッセージは『こんな先の見えない時代だからこそ親しく盃を交わそう』
大伴旅人はが激しい権力争いの中、家で宴会を開いた時の一言

・令…よい、和…調和


1-2. 万葉集への感動
❶昔も今も変わらない感情を歌う
❷和歌の前では身分を問わない(世界的に特異)
→一般はそうだが、研究者は距離を置き価値はどこにあったかを考える


1-3. 天皇中心の帝国の一員としてのアイデンティティや文化の形成、あくまでも貴族中心
…現代ではアイデンティティは無くなってきているが、インスタなどやっていることは変わらない


1-4. 背景は文字リテラシーの拡大、大宝律令の公布、平城京建設
…唐からもたらされた


1-5. どのように統一していくと考えられているか
…景色への感動は天皇による空間的支配、四季への感動は天皇の時間的支配、そこに感情が乗っかる
→景色や四季が貴族の感情(恋愛、喜怒哀楽)を訴える場になるほど、
天皇が支配しているものの一部として表現され、歌の文字文化が天皇の治める世界に広がる
→地方の貴族は天皇に代わって行政する地方に対する感情的な関係を作る


1-6. 文字の使用は貴族の能力の証明
…様々な階層に帝国的世界を広げる(文化的・感情的現実として意識)


1-7. 現代では日本人が変わらずにあることの証明に万葉集は使われるが、万葉集の作者と全く同じ感動ではない
…自然◎、恋人◎、天皇?、アイデンティティ?
→アイデンティティまで掘ろうとすると天皇の世界の中で生きる「われ」にたどり着くのか?
→当時の人々はともに天皇に使えている(組織重視、忖度する)「われわれ」だから感動し合えた


1-8. 不確実な世界でアイデンティティを探す人に読まれる
→読まれるから残る
→時代を経て不確実な世界でまた読まれる
→読まれるから残る……のか?


2. 万葉集の「われ」 6項目

…「われ」に関する歌が他に比べて多い
→万葉集(39.5%)、古今和歌集(12.7%)、新古今和歌集(0.08%)
→個人個人の役割や立場が自覚されるようになり「われ」が新しい角度から照らされた

2-1. 背景は文字リテラシーの拡大、大宝律令の公布、平城京建設、交通網整備、貨幣登場、消費者の出現
…唐からもたらされた


2-2. 「われ」は自身と非日常のつながりを表す
…宴、旅、魂


2-3. 宴における「われ」
・宴では所属によってわれが制限される
…共通の話題である季節の歌

・宴という虚構の現実を通じることで感情の報告を公の場でできる

・遊行女婦(うかれめ)の歌は「われ」が控えめ


2-4. 旅における「われ」
・旅は危険なため外と内の回路を作ったり安全を期したりする
…❶自然を讃える歌❷家を偲ぶ歌❸滅びたものを哀傷する歌
→外を詠む歌はマイナス、内を詠む歌はプラスのものが多かった

・内の拡大によって旅の危険は少しずつなくなる
…貴族はそうであるが庶民は違う
→外を詠む歌はプラス、内を詠む歌はマイナスのものが多くなった


2-5. 魂における「われ」
・代作は自身「われ」を抑制し他人「われ」になりきることで新しい表現を生んだ

・反歌は嫉妬する「われ」を見つめるもう一人の「われ」が存在

・火葬は人をヨミガエリのない死生観へ変えた
…葬歌(ヨミガエリのある死生観、誰にでも繰り返される歌) から
挽歌(ヨミガエリのない死生観、その人のためだけの 1 回きりの歌、今ここを歌う歌) へ変わった

・死者は生者に見られることを恥とした
…死という言葉は使わない配慮

・恋は(孤悲)と書いた、恋をして初めて孤独を知る
…会えない相手への切ない情動で離れた相手に心引かれる、会えないというマイナス状態を脱却したい

・恋(孤悲)は受動的なもの、何かに取り憑かれたかのような「われ」をコントロールできない状態
…一目惚れ


2-6. 【われ思ふ 人を思はぬ むくいにや わが思ふ人の 我を思はぬ】
…自分を想ってくれる人を思わない報いかな、自分が思う相手が自分を想ってくれない


3. 万葉集と大和ごころ 19項目

…日本人は喜怒哀楽を抑制してしまう、そんな日本人が唯一公の場で感情表現できる方法が歌だった
→感情を自分の言葉で表現して人を動かす力を学ぶ、古代への心の旅で「われわれ」の今ここを問う

3-1. 政治家の公(国会)・私(料亭)
…話は料亭で決まる


3-2. 万葉びとは心をコントロールできるものとしなかった
…タマの存在、体から抜け出して会う(タマアイ)、直接会う(タダアイ)
→タマゲル(タマ+消える)はびっくりしてタマが抜け出す、タマノヲは繋ぐ紐で切れると死ぬ


3-3. 【恋は今は あらじと我は 思へるを いづくの恋ぞ つかみかかれる】
…今ではもう恋とは無縁だと思ってたのに、いったいどこのどいつの恋だよ、つかみかかってくるのは


3-4. ❶結婚、栄誉
・鎌足は采女(つねめ、天皇の妻となるはずの女)を手にした
…禁断の恋であった、噂が立つだけで地位が危うく死罪にもなるが天皇に許された
→単純な喜びではない、天皇に対して失礼のないようにという事情


3-5. ❷雪
・雪が降るだけで大はしゃぎ、空間的・時間的隔たりを楽しむ

・天皇と夫人のじゃれあい
…天皇(雪が降ったよ、大原の古ぼけた里に降るのは後だろうがな)
→夫人(この丘の竜神に降らせてもらったのよ、かけらがそっちにいっただけよ)
→それほど2人で雪見がしたかったのでは?


3-6. ❸恋人がやってくる
・俗信はまじないへ
…蜘蛛の動きが激しい、くしゃみが出る、アゴの下にニキビができる

・歌は恋を映す鏡
…自信があれば自信ある歌に感じる、自信がなければ自信ない歌に感じる

・宴会でのかけあいの歌
…デュエットソングのような


3-7. 【真木の上に 降り置ける雪の しくしくも 思ほゆるかも さ夜問へ我が背】
… 木の上に降り積もる雪のように重ね重ね思い募っていくの、ねえ今夜来てくれない


3-8. ❶相手に厚意を無視される
・気配りで和らげる、嫉妬

・ツバを吐くのは悪い夢を見るなというおまじない
…呪術的、日本の神は怒って相手を呪うということから

・磐姫は待つ女の先駆け、激しい嫉妬の皇后に待つ女の情熱的な歌
…プロパガンダ(宣伝)に使用、意外性があると広まりやすい、本当は別々の人の歌


3-9. 【君待つと 我が恋居れば 我が宿の 簾動かし 秋の風吹く】
…あなたを待って恋しく思ってたら、家の簾が動いた、だけど秋の風が吹くだけだった


3-10. 【我が心 焼くも我なり はしきやし 君に恋ふるも 我が心から】
…嫉妬で焼き尽くすのも私の心、どうしようもなくあいつを恋しく思ってしまうのも私の心なんだよな


3-11. ❷金
…経済の論理が浸透した
・金の切れ目が縁の切れ目、結局金次第、金がなくなると見向きもしなくなる
…母親が大学出の息子に借金したが返すことができなくなり息子は母親を責めた
→周りの人間は『教養あるのになぜそんなことする?君は金に困ってないだろう?』と言う
→息子は『余計なお世話だ』と言った
→結局周りの人間が返済をした
→この時の母親の気持ちはいかほどか?を詠む
→『育てた時は忙しくて日夜休む時もなかった、他の人は恩に報いているがあなたは稲の代価を求めた、なら私は乳の代価を請求しよう、母と子の道は閉ざされた、悲しきかな痛きかな』と母は嘆いた
→結局息子はアイデンティティを失い自殺

・安物買いの銭失い、お賽銭の返金の怒り
…恋愛と経済は相容れない、安物でも恋人からであれば大切にする
→当時は下着を送る風習、別れれば返した


3-12. 【ちはやぶる 神の社に 我が掛けし 幣は賜らむ 妹に逢わなくに】
…神様のお社に捧げたお賽銭は返してください、好きな人に会えないなら


3-13. ❶フラれる
・歌垣は今で言う合コン
…自由に共寝できる、ルールは歌でかけあい気持ちを探り相手を見つける
→柳田國男『恋愛をするのにもかつては学ぶべきルールがあった』
→あぶれた男のボヤキ、俺だけがひとりぼっち、イヌビエを抜く田の草とりと二重写し
→労働生活と恋愛生活の実感


3-14. 【打つ田には 稗はあまたに ありと言へど 選らへし我ぞ 夜ひとり寝る】
…田んぼにたくさんヒエはあるのにな、偶然取り除かれたヒエみたいに俺だけが 1 人で寝るのかあ


3-14. ❷慈悲の心
・かなし
…「いとおしい」と「かなしい」は表裏一体
→恋(孤悲)は他人をいとおしく思い、孤独にかなしむ

・聖徳太子の行いから考える
❶姓名を問う、相手の人格を尊重する
❷食事・衣服を与える、生命の危機を救い思いやりを示す
❸歌を与える、歌は人と人の心をつなぐもの、癒すもの、歌は伝えようとする限り伝わる(永遠)
→孤独な死は現代にもある


3-15. 【家ならば 妹が手まかむ 草枕 旅に臥やせる この旅人あはれ】
…家にいたなら妻の手枕で寝てたんだろうな、旅先で倒れてしまってどんだけ哀しいことなんだろう


3-16. ❶郊外で過ごす
・万葉の宮廷びとは香具山で船遊び

・年中行事で季節の「うつろひ」を知る
春…花見(梅、桜)、野遊び、若葉摘み、打毱
夏…花見(藤)
秋…花見(萩)、野遊び、紅葉狩り
わからない…狩り、月見

・木票(しめ)
…野遊びの場所取り

・機会を通じて深い仲になるカップル

・打毱に興じて職務怠慢に、雷の時に集合していなかった
…軟禁される


3-17. 【春過ぎて 夏来たるらし 白たへの 衣干したり 天香具山】
…春が過ぎて夏が来たっぽいね、真っ白な衣が干してあるじゃん、あの天の香具山に


3-18. ❷宴会
・祭りで神を迎えて接待し送る
…終わったら「打ち上げ→うたげ」
→盛り上げなければ、歌や芸能の母胎

・大喜利(言葉を連ねて一首作る)は即興性と意外性が大事
…最初の挨拶で場の空気を掴む、わざとハズして笑いを取る


3-19. 【一二の目 のみにはあらず 五六三 四さへありけり 双六の頭】
…一二の目だけじゃないよ、五六三、四まであるんだから、サイコロの目は


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
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修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。


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