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数学に関するメモ(2) 【数学と予測】

本メモは数学の基礎的な内容に関するメモです。


1. 確率・統計について 39項目

1-1. 同様に確からしいとは?
…人間がもつ情報・能力の限界を表している


1-2. 確率の始まり
…人間が最初に確率を認識したのは古代ギリシャ
偶然が哲学の基本的な問題となっていた

→孔子、紫式部、賭博の浸透
→偶然を定量的に捉えて分析する興味が湧く
→パスカル、フェルマー、確率を賭博に適用させる
→ラプラス、ガウス、確率を科学に適用させる


1-3. ラプラスにおける確率の定義
❶第1原理
…確率とは全ての可能な場合の数に対する好都合な場合の数の比率

❷第2原理
…❶は異なる場合が等しく可能であると前提している、そうでないならそれぞれの場合の可能性をまず決定する、これを正しく評価するのは微妙

→等しく可能な(同様に確からしい)場合の数の比率を確率で定義したものの、可能性をどう評価するかは微妙
→大半はベイズの公式を扱っている、条件付き確率


1-4. ラプラスの悪魔
…どの事象にも原因があるのは自明の原理であるため、
宇宙の全ての情報を知って分析できる存在は過去も未来も現在と同じように認識できる

→予定論、決定論、未来はあらかじめ決定されている
→人間は情報も能力も限られているから分析しようとした時に確率が現れる
→量子力学、物質の運動量・位置は揺らいでいて正しい数値を知ることはできない、宇宙の全ての情報を知ることはできない
→完全にランダムで未来は決定されていない、確率でしか決めることができない
→ラプラスの悪魔が認識できるのは既に決まっている未来の全てではなく、起こり得る未来の可能性の全て


1-5. 人間の悩み
…多くは選択問題、複数の選択肢からどれかを選ばないといけない
→悩むのは選択肢の価値が等しいからでは?
→コイントスでも問題ないのでは?
→期待値や重みを考える
→意思決定は 1 回きりの戦いだが、確率と期待値というレンズを用いて選択肢を絞ることはできる


1-6. パスカルの賭け
…神は存在するか存在しないか、神を信じるか信じないか
→確率・期待値による意思決定の始まり
❶神は存在する、神を信じる、∞
❷神は存在する、神を信じない、E’
❸神は存在しない、神を信じる、E
❹神は存在しない、神を信じない、E’’

→神の存在に賭けるべき
→ラプラスの批判、ベイズ推定を用いる、
これに従えば無限の幸福が約束されるという主張は考えられない、
信じることの期待値はその価値と無限に小さい実現確率の積なので成り立たない


1-7. ラプラスが考える価値
…精神的期待値
→無限に小さい額の相対的な価値 = その絶対値 / ステークホルダーの全財産
→相対的な価値yは絶対的な価値xの対数logx
→限界効用逓減の法則、得るモノが増えると嬉しさは減っていく
→聖ペテルスブルグの問題が解決されそう、
金額をlogx円にすれば和を有限に収めれる、確率の情報に依存しているものの
→相対的な価値はどのようにして決まるのか?


1-8. 確率と長さ・面積
…確率論の限界を超える
❶重なりのない図形に点を選ぶ確率は各図形に点を選ぶ確率の和
❷確率は多くて1
という2つを守る限り線分上に一様に点を選ぶことはできない
→線分・面積上で一様な確率を定義できない


1-9. コルモゴロフの確率空間
…確率とは長さ・面積と同じようなもの
→ルベーグの測度論を踏まえて確率とは有限測度であると言い切った

→確率にとって大事なのは
❶0以上の値をとって合計が1になる
❷可算加法性(長さ・面積の本質)、互いに交わらない数えられる個数の集合の測度の和は、その和集合の測度と等しい

→確率とは、確率測度(確率を測定するもの)と
事象(確率を測定されるもの)とをセットにして考える
→どんな集合でも確率をもつわけではなく、性質の良い集合でしか確率を定義できない
→状況が連続・無限の場合、線分上に一様ランダムに点を選ぶ
→ある1点を選ぶ確率は0、選ぶ点がどこでもいい確率は1、でも矛盾はない
→線分は非可算集合であるため可算加法性に反さない、
有理数は加算個であるため有理数を選ぶ確率は 0+0+…=0、
無理数は有理数の補集合であるため無理数を選ぶ確率は加法性より 1-0=1
→無限平面上に一様ランダムに点を選ぶ、全体の確率を 1 に抑えることができないためここではまだ一様な確率を定義できない
→確率過程と解析学の深い繋がりを指摘、確率論が爆発的に応用される
→ブラウン運動、確率空間が登場したことで全ての可能性の集合の上に有限測度を定義する
という問題に帰着、ブラウン運動が測度として定義され無限次元解析学の応用が花開いた


1-10. 確率変数
…確率空間上の可測関数
→確率空間上の問題を記述する
→問題の都合で確率変数をそのままに確率空間を取り替えることがしばしば
→確率微分方程式、解は方程式を満たすような確率変数 X というだけでない、方程式を満たすようなブラウン運動・確率空間自体の構成も含んでいる
→圏論を用いて確率変数を定義すれば良いのでは?


1-11. ミーゼスのコレクティヴ
…現象の集団・観測の無限列
❶特定の属性の相対頻度はある極限に収束、客観的な確率の定義は観察データから計算する頻度
❷どの部分を抜き出してもその極限は変わらない、予測が不可能なことに起因する一様性をもつ
→確率が定義できる対象は膨大な量のデータの集まりにあると考えた
→経験的な方法による帰納的推理、頻度論
→現象を観察し、帰納的に推理し、限定された枠組みでその本質を抽象化し、命名する
→全体はランダムで公式では表せない、公式で表せるような部分だけを考えよう


1-12. コルモゴロフの確率空間で捉えられていない確率の概念とは?
…ランダム

→計算可能とは?を考える
→帰納的関数で表せること
→自然数Nから自然数Nへの写像、コンピュータによって繰り返し計算可能、条件付きループ
→部分的機能関数、アルゴリズム、記号列で作られる
→複雑度、記号列の複雑さ
→ランダムであるとは複雑度が一定以上に高いということ


1-13. 主観確率
…確率の概念には主観的要素は含まれていた
❶形式主義による確率
…コルモゴロフの確率空間、仮定と論理法則だけで操作する

❷経験データによる確率
…ミーゼス、フィッシャー、データから計算される頻度を結びつける

❸心の中の見込みの確率


1-14. ベイズの公式
…事象Bの確率(事前確率)を新しく知った証拠Aによって条件付き確率にアップデートする
→事象Bの確率を客観的に定められるのか?
→主観確率派、主観を中心に据え置く、同一試行の繰り返しを認めない


1-15. デ・フィネッティのコヒーレンス(一貫性)
…合理的な人が従う一貫性、主観

→主観を認めながらも合理性は要請する
→サイコロで負の確率や書いていない目の確率を考えることはしない、
次に1の目が出ると信じることはできても、それに加えて2の目が出るのは 1/6だと主張するのは非論理的
→主観を確率論や統計学の理論に取り込むことができるようになった


1-16. ダッチブック論法
…ある人が一貫性に従わない確率概念を持つと、
その人が確実に損をする賭け(ダッチブック)が仕組めてしまう、だから合理的でない
→コイントス、表が出れば 10,000円、裏が出れば0円、期待値は 5,000円
→この賭けの権利をいくらで売買しますか?が一番のポイント、
20,000円と主張していれば売りつけられ損失が生まれる、
−10,000円と主張していれば買い取られ機会損失が生まれる


1-17. ランダムウォーク
…ブラウン運動のランダムな動きを単純化して考えた式

→無限歩まで含めたランダムウォークを考えるのは難しい
→測度の拡張定理を用いて解決、有限歩まではランダムウォークの性質を満たしたまま無限歩まで確率測度が拡張できる、構成を自然に提供してくれるのは確率空間
→ランダムウォークによって先に右の目的地に到達する確率は?
→漸化式、等差数列、条件は2階差分が0になる
今いる点の値から両側の値の差を引いて平均すると0ですよ
2階差分作用素と関係
→一瞬ごとにランダムに方向を変える連続的運動はどうモデル化すればいいのか?
→ランダムウォークの連続極限をとる
→熱の現象とブラウン運動
→フーリエ級数の係数をランダム化し確率変数にする、schauder関数
→連続関数全体の空間の上に必要な性質を持つ測度の存在を証明する
→ブラウン運動に関する量・性質が正規分布の計算で求められる
→ランダムウォークを時間tの平方根でスケーリングして極限を取れば
ブラウン運動に収束させられるのでは?
→多次元化、ある点から出発したブラウン運動が初めてその境界に到達する時、それは境界上のどの場所か?いつ到達するのか?
→ランダムに動く粒子のイメージで解析学・幾何学の研究ができる
→ブラウン運動のあらゆる経路は微分不可能
→伊藤の公式、ブラウン運動と関数の合成の微分公式、2 階微分作用素と関係、ラプラシアン


1-18. エントロピー
…どれくらい無秩序かを表す
→エントロピーは増大する性質があり、行き着く先は完全なカオスと死


1-19. 情報尺度(情報学的エントロピー)
…確率分布に対して決まる実数、情報は確率分布で決まる
→コイントス、一番予想しにくいのは確率が1/2、エントロピーがlog2、
表か裏の出やすさに応じてエントロピーは小さくなる
→選択がある分布に従ってランダムに選ばれるなら、
正解にたどり着くまでの試行回数の期待値がエントロピー


1-20. 統計力学・熱力学的エントロピー
…マクロな現象をミクロな運動の統計的性質として導く
→理想気体のエントロピー、マクロな視点では温度・気圧は一定、
ミクロな視点では原子は自由に飛び回り一定ではない
→マクロな一定を保つミクロがどれくらいあるのか?
→位置・運動量を考える
→位置は一様分布、運動量は正規分布
→H関数、情報尺度と同じ形
→エントロピーとは平衡状態の分布の情報尺度


1-21. 最大エントロピー原理
…確率変数が部分的に条件付けられている時、
その確率変数は条件の下で情報尺度を最大化する確率分布に従う
→なぜ情報尺度を最大化する確率分布を選ぶのか?
→熱力学の第 2 法則、ボルツマンのH定理、H関数は常に現象する、
エルゴード性、確率分布の確からしさを時間経過の中での確からしさに転換
→H関数が小さい(情報尺度が大きい)分布ほど確からしく、
時間経過の中で多くの割合を閉めるからその方向に系が発展する
→熱力学の性質を系の状態に関する情報と確立の観点から説明しよう


1-22. もし負の確率があったら?
…2乗すると確率になるものを考えることができる

→確率の背後にある状態の世界は円周になる
→回転させることができる
→表しかでないコイン、45度の回転を加えると表裏の確率が1/2のコインになる
→もう90度の回転を加えると裏しかでないコインになる
→コインの状態はベクトルだと考えることができる、純粋状態を重みで線形変換した状態
→m 枚のコイン、2^m 通りの純粋状態に対する計算の解が得られる
→負の状態を利用して正負を打ち消して不要な状態を刈り取れる
→コインの表裏を2進法の0・1に置き換える、状態を重ねたまま計算可能、
2^m 通りの可能性を1回の問い合わせでチェックできる


1-23. 秘密の数xを当てる、N以下の自然数、何回問い合わせればいいか?
…最悪のケースはN-1回、期待値はN/2回
→負の確率を使えば1回、示す数がxである時のみ状態の符号を反転しYESを示せばいい
→負の状態を用いて不要な状態をキャンセルする、コンピュータのアルゴリズム


1-24. 統計の始まり
…17 世紀イギリス、ジョン・グラント、ペストが流行って死亡者の人数を数えることから始まる

→ロンドンの人口・動態・労働人口・死亡率の推定まで行った、平均余命表の始まり
→収集データが信用できない、ペストは不名誉であったため過少申告、診断が曖昧で誤分類
→単に数えてまとめるだけでなく比較・推理した
→比率を比較、増加率を比較すればその死因が増加しているのかのヒントを得れる
→正しい確率論・統計学の知識・独創的な分析のセンス、現代のアナリストにも求められる
→比率という概念の価値を考える


1-25. シンプソンのパラドックス
…ワインの輸入、業者A、業者B
業者Aの方が赤白ともにプショネ率が低い
赤白を合計したワイン全体でも業者Aの方がプショネ率が低いと言えるか?

→異なるグループの比率とその全体の比率を比べると存在したはずの相関が消える・逆転する、
全体の比率を部分のグループの比率に分けることで相関が現れる


1-26. 平均
…比率の中で最も重要、全体の推論につながる
→プショネ率が5%であればこの業者はいつも平均して5%がプショネなのでは?
→nカ月のプショネの本数とワインの総本数、
n→∞の値が真実のプショネ率に近いだろう
→可能性の全体とは?母数とは?
確率・統計の根幹にある謎はこの分数の意味を考えること


1-27. 仮説検定
…コインが公平かを考える

→コイントス、10回中10回表がでる、
もしこのコインが公平であれば10回表がでる確率は1/1024、
このコインが公平だという仮説は受け入れにくい、このコインは公平ではないだろう
→起こった出来事の確率がどれくらいなら非常に低いのか?
仮説を棄却するための珍しい出来事とは何か?
→表が 10 回でるにしてしまうと否定されるのは裏が出やすいことになる可能性、珍しい出来事とはそれを含む集合とすべき
→帰無仮説、
棄却するための仮説、このコインは公平である、1/2 で表裏がでる
→有意水準、
仮説を棄却する珍しさの基準、1%とする
→p値、現実に得られたデータから得られる確率、10回中10回表であれば 0.1%
→p 値が有意水準を下回る、珍しい
→このコインは公平ではないだろう


1-28. またコインが公平かを考える
コイントス、10 回中4回表がでる
表が出る確率は半々くらいでは?
→さっきの仮説検定と違って確率の値そのものを推測しようとしている
→精密な議論を必要とする

❶点推定
…確率pの値をズバリ当てる
→最尤法、現実で起きた10回中4回表がでるという事象が起こる確率を
最も大きくする確率pがもっともらしい
→0.4

❷区間推定
…確率pの値はこの範囲内にあるだろう
→確率pは99%の確率で0.3以上0.5以下だろう
→確率 p の確率分布を知らない、表がでる回数の確率分布しか知らない
→信頼区間、10 回中4回表がでるのが珍しいとする確率pの値はどれくらいの範囲か?

→危険率、珍しさの基準
→信頼係数、1-危険率、事象が起こる確率に対する基準、確率pに対する基準ではない
→確率論を用いて便利で強力な方法を作ろうという頻度主義
→推定したい量が正規分布に従っていると仮定する、期待値と分散だけわかれば良い
→中心曲限定理
どんな確率分布に従う量でも十分に大きい標本の誤差の平均は、
適当にスケーリングすると正規分布にほぼ従う
→再現性の危機、本当に推定したい量が正規分布に従っているのか?
有意水準は5%でいいのか?
→実験結果を得てから有意水準をずらしているのでは?
実験がうまく行った時だけ論文にしているのでは?
→どうすればいいのか?
→コンピュータの進化、ビッグデータを扱えるようになった、
ノンパラメトリック、平均値・分散という要約料に頼らずともデータ全体をそのまま利用できる可能性
→様々な統計的手法を満遍なく勉強してそれらの間の矛盾を承知しながら使い分ける必要


1-29. 暗号解読、換字式暗号
…ホームズの踊る人形、文字の頻度に着目、頻繁に現れるのはe、次にt・a
→記号に鍵(文字を割り当てる方法)を見つける
→文字がN種類、N!通りある置換の1つを見つける、当てずっぽうでは終わらない
→内容に関して仮定が必要、正解へのコンパスのようなもの
→暗号文を変換して出た文章がどれくらい通常の英語の文章に近いかを考える
→文字の頻度ではなく連続する文字の頻度に着目、e の次に t がくる確率
→マルコフ性、
事象の後にどんな事象が起きるかは直前の事象だけに依存する、
事象1・事象2・事象3 の場合、事象3は事象2だけに依存

→マルコフ連鎖、マルコフ性から生成される事象の列
→ランダム性、文字はランダムウォークしている
→文章Xの確率P(X)を用いる、作った鍵を暗号文に当てはめてできた記号列の出現確率を考える、正しい鍵にどれくらい近いかがわかる


1-30. マルコフ連鎖モンテカルロ法、MCMC 法
…確定的な問題を乱数を用いて確率的に解くシミュレーション
→鍵の可能性の全体(置換の全体)の上をランダムウォークして鍵を探す、自然言語処理の始まり
→場所を勝手に選ぶ、
次に踏み出す一歩の方向を適当に選ぶ、
コンパスを使って一歩進む方が進まないよりマシかを調べる、
マシなら進む、繰り返せば正解に近づく
→局所最適解という問題点、正解(全体で確率が一番大きい場所)に到達する前にその周辺で確率が一番大きい場所に到達してしまう可能性
→ランダム性を利用して回避、
マシじゃなくてもコンパスに逆らって進むという選択肢を残す、
表が出れば進まないで選択肢を選び直す、
裏が出ればコンパスに逆らって進む
→知能の本質もランダム性ではないか?ランダムさがあるから前に進める


1-31. 世界の現象を説明しようとする物理学理論は複数の定数を含む
…他の値だったかもしれない自由なパラメータ
→これらのパラメータが大きくずれていれば今の世界にはなっていない
→今の世界を作るこの絶妙な調整は偶然なのか?神の見えざる手か?
→人間原理、絶妙だったから、驚くことも説明することもない
→胡散臭い、私がいるから私がいる的な主張
→私が自動的に標本になっていることを論拠としている
→私が存在しない場合は観測できない
→観測者選択問題では?確率的推論のための情報を持つものの正しい推論をするのが難しい
→人工知能は私を標本にせずに確率的推論をすることができるのか?


1-32. 世界は完全に因果的なのか?
…無知な人間が世界に対処するために確率的推論がある
→量子力学的に確率的で世界はランダム
→人間の自由意志は何らかの制御である以上、ランダムの外にある概念


1-33. 箱Aに1万円、箱Bの中身は神によって決められている
人間は箱AB の両方を受け取るのがいいか?
箱Bだけを受け取るのがいいか?

→神に選択肢がある
❶人間の選択を予測して
人間が箱ABの両方を受け取ると予測すれば何も入れない
人間が箱Bだけを受け取ると予測すれば箱Bに1 億円入れる

❷人間が選択してから
人間が箱 ABの両方を受け取ると選択すれば何も入れない
人間が箱Bだけを受け取ると選択すれば箱Bに1 億円入れる

→預言者の言葉
人間が箱ABの両方を受け取ると選択すれば神は❷の選択をする
人間が箱Bだけを受け取ると選択すれば神は❶の選択をする
→この状況で人間は箱ABの両方を受け取るのがいいか?
箱Bだけを受け取るのがいいか?


1-34. 自分が並んだ列がいつも長くなるのはなぜ?
…長い列には多くの人が含まれる以上、確率の世界ではあなたが長い列に含まれていることの方がずっと多い


1-35. 自分だけがこんな目にあう
…自分を特別な人間に思っているかもしれないが偶然はこれを否定する、
あなたも人間全体も確率の要素でしかない
→偉大な発見・業績も偶然の産物でしかない


1-36. 偶然の出会いがなければ人生はつまらないものだっただろう、その偶然は幻想かもしれない
→人間を好きになることによって出来事を偶然・運命という中に取り込みはじめる


1-37. ストア派の哲学者
…不確実な未来への恐れは世界を理解することで打ち消せると考えた、
起こるべくして起こると考えれば怖くない、
無関心であれば不運や不幸に対して強くなれる
→頑強性、世界のランダムな事象に影響されない・壊れない
→ニコラス・タレブ、反脆弱性、世界のランダムな事象を味方につけて利益を得る


1-39. 成功の秘訣は存在しない
…成功した理由、自信過剰で愚かな人間がたくさんいて自分と同じことをしてくれたから
→未知の世界で何をするべきか迷うのは辛いかもしれない
→ランダムに選ぶことにしておけばいい


2. 常識に頼るな 4項目

…常識で推論するから間違いが起きる、常識による直感は抑えられないが
→結果の予測はできないが確率の測定はできる


2-1. 常識の特徴
❶極めて実践的、どうすれば答えが得れるかよりも問いに答えを与えることを重要視
❷命ずるままに個々の具体的な状況に対処できる
→それは正しい、物事はそういうものだと知るだけで十分


2-2. 常識による推論のほとんどは循環論法
…証明すべき結論を前提として用いている
→Xが起こったのは人間が望んだから、
なぜ人間がXを望んだとわかるのかというと、X が起こったから

→個人間の影響や社会的ネットワークの重要性を認識することで循環論法を乗り越えれるかも


2-3. 常識による推論による誤り
❶自分の知っているインセンティブ・動機・信念という要因だけで個人の行動の理由を推論
❷集団への推論はもっとひどい、架空の代表者に組織を代弁させる、解釈は実態を覆い隠す
❸自分で思っているほど歴史から学んでいない、それによって未来への見方が歪められる
→悲惨なことが起こるたびに説明を探す、しかも興味があることだけ
→起こってもおかしくなかったことよりも起こったことの説明に偏る
なぜ起こったかではなく何が起こったかしか説明できない
→その時は知らなかったが後から考えれば自明であるように目に映る
→ただの物語でごまかしているだけなので世界への理解を妨げる


2-4. インフルエンサー
…他の人より影響力のある人、影響は感染の過程で大きく強められ爆発的な社会伝染を生む
→個人の特性よりもネットワークの構造に大きく左右される、想像よりも複雑かつ平等
→インフルエンサーは99%タイミングと状況の偶然で生まれる
→みんな平等、だが特別だと信じないと説明できない
ネットワークの構造はどう影響するかという問題を特別な人を動かすのは何かにすり替える
→多数のインフルエンサー候補を用意し平均効果を利用すれば個人のランダムな変動を抑制できる


3. 不確実性 9項目

…将来の結果の予測はできない、現在か直近未来の確率の見積もりはできる
→不確実性によりリスクが生まれる、マイナスもプラスも、リスクをとらないことのリスクが発生
→どのようなリスクをどれだけとるべきかを決定することが不確実性の中では求められる
→予測・コントロールではなく測定・対応が必要

3-1. 不確実性
…目的を達成するために行動し、その実現状態がランダムに変動すること
→様々な要因とつながることで正負のフィードバックをランダムに受ける

❶因果関係は存在しない、ただ確率だけがあってその確率に従って結果が生まれる
❷個々の結果に対して確率は意味を持たない、結果を積み上げると集合体には再び確率が現れる
❸自分にはほぼ起きないことが誰かに起きる


3-2. 予測
…未来のことを観測データなどに基づいて前もって推測すること


3-3. 予測できること
…その事象を含むシステムが安定している現象

→できるとしても確率的な予測、どの場合の確率がどれくらいかという確率分布の安定性
→確率的に記述できる不確実性は期待値で物事を考える
→1 回1 回の結果ではなく長期的に見たトータルの結果で判断しなければならない


3-4. 予測できないこと
❶カオス的現象
…それぞれのクセやバイアスが連鎖する、ランダムな動きから不意に

❷極小確率で起こる現象
…テールリスク、見積もりが甘いのではなくそもそもない、思考の外側


3-5. ブラックスワン
…知識・経験からは予測できないような極端な事象

→事象だけでなくそれを中心に起こった事件や社会的・文化的・政治的な影響も含まれる


3-6. 常識からしたらできそうな予測は実際にはできない理由
❶常識はたった一つの未来だけが起こると教えて、人々は予測できそうと錯覚するため
→複雑なシステムではある事象が起こる確率をなるべく正しく見積もるくらいしか望めない

❷常識は興味を引かない予測・重要でない予測を無視する
→どの事件が未来に多大な影響を与えるかを予想するのは不可能

→それでも確率を相手よりも相対的に把握していれば時間をかけて負けより勝ちを増やせる
→信頼性のある予測を立てられなくてもどこまで可能か知るだけで計画の立て方が自ずと変わる
→過去のパターンに一致するものは大量のデータで表せて測定可能


3-7. 失敗のパターン
…これらの考えは仕方がない、太古はバイアスや自己正当化が機能していた
確率を考えるより因果関係を決めつけてパターン化して瞬間的に捉えたほうが有利だった
→不確実性による成功に対しても自分の貢献度を過大に評価し失敗から抜け出せない

❶成功体験と自信過剰
…過去の成功体験が邪魔して新しい環境に適応するのが遅れる
→成功ではなく失敗から学ぼうとする

❷サンクコストと自己正当化
…計画通りに進めることが目的となる、すでに投じた費用がもったいない、失敗を認められない
→時価で考える、再度選択に意味があるのかを考える、過去は関係ない

❸希望的観測と神頼み
…苦しい状況になるほどすがりたくなる、抜本的な対策には痛みが伴うので先延ばし
→都合の良くない予測や将来への警鐘を聞き芽を摘み取る、最悪のシナリオ

❹異論の排除と意見の画一化
…組織の本能には異論を排除しようとする傾向が備わっている、集団極性化、人は関係ない
→感情的にならずに反対意見や選択肢をできるだけ用意する


3-8. 人間はランダム性を過小評価
…何か明確な因果関係があるに違いないと探し続ける、左脳の後付けが大好き
→頑張れば予測できると思っている、ラプラスの悪魔、全知全能、決定論
→量子力学が否定、素粒子は観測されない限りある場所に特定の状態で存在するのではない、
観測して初めて場所や運動がランダムに決まる
→将来の状態を現時点で特定することは原理的に不可能
→結果の予測はできないが確率は見積もれる、ランダムな挙動も繰り返されると確率分布が現れる
→期待値(どこに分布の中心があるか)、標準偏差(どのくらい分布が広がっているか)


3-9. 将来を現在の延長線上に捉えがち
…大きな利益を得た人はたまたまかもしれないにも関わらず先見性に満ちた存在だと思い込む
本人だけでなく周囲の人間もそう思い、嫉妬と欲望まじりに自分も乗っかりたいと願う
→今の状況がそのまま続いていくとイメージする、同じ条件でも起きないこともあるため
→渦中にいると姿がぼやけてはっきり見えない


4. 不確実性をもたらすもの 11項目

…不確実性をもたらすのはフィードバックというネットワークの構造

4-1. フィードバック
…結果が原因となって結果が再生産される、結果が結果を生む
→ファットテールを生む、不確実性を生む


4-2. ファットテール
…稀にしか起きないと考えられている極端な事象が、実際には頻繁に起きていること

→正規分布では捉えられない、ランダム性とは別の要因


4-3. 歴史上の事象にはそれらしい原因が列記され現在の観点からの意義が添えられる
…然るべくして起き然るべき結果をもたらしたとされる
→偶然の積み重ねと結果が結果を増幅するプロセスにより予想外の事象が次々生まれ、誰も予想してなかった極端な結果をもたらしたと考えるべき


4-4. 結果を増幅させる正のフィードバック
結果を抑制する負のフィードバック
→どのフィードバックが優勢になるかは予測できない
ランダムな変動がフィードバックをランダムに引き起こす、フィードバックのせめぎ合い
→あるフィードバックが優勢になればしばらく続くがいつまで続くかは予測できない
→個々のプロセスは予測可能だが全体のプロセスは予測が不可能
→グローバル化・ネットワーク化は負のループを強める


4-5. ランダム性を過小評価したまま正のフィードバックに乗ると才能と努力のおかげだと思い込む
…悪いことではないが過剰になると自分のやり方を人に押し付ける
→今までのやり方に固執すると逆回転のフィードバックのなかで致命的な失敗を犯す
→悪いことが悪いことを生む


4-6. 測定より対応に重点を置く
→過去のデータがない時は集団のリアルタイムの状態を利用して対応する
→測定だけで終わらせずに実験する、解決せずにブーストラップする


4-7. ブーストラップ法
…標本からランダムに何度もリサンプリングすることで母集団の特徴を推定

→現在で何が有効かだけでなく、直近の未来で何が有効になりそうかも考える事ができ


4-8. 数学が使えるときは徹底的に使え
→数学だけではほとんどの場合の未来は予測できない、手軽なマニュアルはない
→常識・知識・先入観にとらわれず、結論を急がず、感情にとらわれずに考え続ける
→ブラックスワンは予測できない根拠もない、大事なのは予測でなく想定以上時の対策


4-9. これさえ覚えればいいと考えるのは時間の無駄
…とにかく答えを覚えてたくさん問題を解けという勉強法は考える力を低下させる


4-10. 自分は特に信じない
…人間はある問題に関係しそうな要因を見抜けるが、
その要因が他の要因に比べてどれほど重要か相対的に考えることができない
→インプットは人間、評価は AI


4-11. VaR
…1年後に〜円以下になって〜円以上の損失が生じる確率を計算

→最悪のシナリオで生じる損失額をリスクとする
2標準偏差では「97.725%の範囲内での」という条件がついている、想定済み
→リスク管理の失敗とは損失の発生確率を過小評価すること、損失が発生することではない
→コントロールできるのは確率だけ、結果はコントロールできない


5. 予測と確率・統計 28項目

5-1. 起きるか起きないかだと50%なのか?
…無差別の原理、何事も等しい可能性を持つ
→実際は違う、今日死ぬか死なないかという確率は50%?


5-2. なぜ統計が必要か
…たくさんあるデータを分類して判断材料にできる、人々と違うものの見方ができる
→そもそも人間はどのように判断しているか?
→アナログとデジタル


5-3. アナログ(連続的)
…私たちが見ている自然な世界
→数値を長さなどのある量で表す


5-4. デジタル(離散的)
…コンピュータの内部の世界
→数値を基本信号の組み合わせで表す、コンピュータは2種類の電気信号 0・1で情報を表す
→コンピュータの情報処理は徹底的に不自然


5-5. 身体は無数の感覚細胞があり入ってくる光を電気信号に変える、インパルス
→刺激の強さを表す方式はコンピュータと異なる、脳に送られて意識を引き起こす
→脳の情報処理
❶大量の情報を同時並行的に処理する
❷とりあえずの判断を総合的・直感的に素早く下す
→直感的な判断は誤ることが多い
→言語が役に立つ、アナログ的事実からデジタル的に切り取って伝える
どうなったか、なぜそうなったか、どうしてそうしたのかを記録、誤りを直して防げる


5-6. 誤りのない数学に必要なこと
❶話の前提を明らかにする、言葉の意味をはっきり、現実世界を理想化・単純化してモデリング
❷粘り強く考える


5-7. 記述統計
…経験を要約して数字にすることで本質を人々が理解できるようにする

→平均などの要約統計量を計算して分布を明らかにしデータの傾向・性質を知る


5-8. 推測統計
…要約された事実に基づいて全てを調査できないものや他の状況の結果を推計・予測する

→分布と統計量から将来の傾向をシミュレーション、2種類


5-9. 客観確率
…事象が起こる頻度に依存する、数学的確率
→過去のある時期のある環境下での事象から導かれた確率にすぎない
→想定外の事象に対して適用できない


5-10. 主観確率
…主観的な確率に依存する、ベイズ確率、心理の中にあるものを確率として捉える
→多くのデータを集めなくても環境が変化しても適用できる
→思い込みを確率とするためいい加減だと批判される


 5-11. なぜ期待値が低くても行動するのか?
…行動したすべての人にとって当たる確率は平等に0〜1の間になる
→行動した人は当たる確率が1に近いと思いこむ
→これを取り入れるのが主観確率

→公理系を満たすものはなんでも確率という、主観確率も満たすから確率で良い


5-12. コルモゴロフの公理
❶確率とは0〜1の間をとる関数である
❷すべての事象を集めれば確率は必ず 1 になる
❸同時に起こり得ない事象の場合、確率は個々の確率の足し算になる


5-13. M8の地震が30年以内に起こる確率は87%
…M8の地震が1年以内に起こる確率pは6.6%、(1-p)^30=1-0.87
→M8の地震が1ヶ月以内に起こる確率pは0.57%、(1-p)^360=1-0.87


5-14. 統計にはバイアスがかかる
…回答が前後の問題・回答者の心理に影響される、母集団から標本が適切に抽出できない


5-15. シミュレーション
…現実に起こっていないことを周辺データから具体的に推測する

→経過がなくわからない時にこそ意味がある
→シミュレーションが正確かどうか議論するのは無駄
シミュレーションは正確なわけがない、
現実に起きていないことを推測しているため

→前提が全然違う・意味のない前提を立てていると批判するのは無駄、
現実と違うことをシミュレーションするからこそ現実の前提がわかることもある


5-16. 正規分布(ベルカーブ)
…ランダムを表す分布
→ランダムネットワーク


5-17. べき分布(ロングテール)
…ファットテールを表す分布、対数正規分布とパレート分布
→スケールフリーネットワーク

→背後にどんなルールがあるのか、シミュレーションでみる、ルールに基づいて推定、ノイズをネットワークに入れると出力はパレート分布
→構造がどうなっているか?書き換えられるか?


5-18. 1000万円稼いで1000万円クラブに参加
…その中の1%は10倍の1億円稼いでいる
→1 億円クラブに参加、やはりその中の1%が10倍の10億円稼いでいる
→それがどこまで行っても終わらない
→貧乏人はランダムを含んだ対数正規分布
→景気がよい時に勝負をかけなければチャンスない


5-19. 現実の複雑ネットワークでは
❶成長
❷優先的選択
という 2 つの特徴が共通して見られ、
それらによって複雑ネットワークには普遍的にスケールフリー性が出現する
→格差は埋めれない、逆になくなった時は成長が止まっている


5-20. 統計学的に有意とは?
…確実とは言えないが偶然ではないと言える


5-21. P値
…外部の影響を一切受けない状況である結果が出る確率
→5%以下であれば、外部の影響で結果が出たと言える


5-22. 第1種の誤り
…実際は正しいのに、正しくないと判断してしまう誤り


5-23. 第2種の誤り
…実際は正しくないのに、正しいと判断してしまう誤り

→第 2 種の誤りを減らそうとすると第 1 種の誤りが増える
→ベイズ確率、確率を情報によって更新し誤りを修正する


5-24. 1000人が薬を飲んで41人が死亡
他の1000人が新薬を飲んで32人死亡
…絶対リスク表示、0.41%から0.32%、新薬では死亡率が0.9%減少
→相対リスク表示、(41-32)/41、新薬では死亡率が22.0%減少
→相対リスク表示は信用しない、実数から説明すべき


5-25. ベイズの定理
…確率は新しいデータを得るたびに更新される

→リアルなビジネスの世界で実用化されている


5-26. コロナにかかっている人を検査すると98%の確率でコロナ陽性、
コロナにかかっていない人を検査すると5%の確率でコロナ陽性、
全体のうちコロナにかかっている人は3%、
陽性の時にコロナにかかっている確率は?
P(コロナ|陽性) = P(陽性|コロナ)・P(コロナ)/P(陽性)
P(陽性) = P(陽性|コロナ)・P(コロナ) + P(陽性|コロナじゃない)・P(コロナじゃない) = 0.779
→P(陽性|コロナ) = 0.38、38%


5-27. 信頼性、安全か危険か
…安全と考える時の主観確率、無事故(99.9%)、事故(0.1%)
危険と考える時の主観確率、無事故(50.0%)、事故(50.0%)
→無事故の時に安全だと思う確率、事故が起きても安全だと思う確率
→無事故が繰り返されるほど確信が出てくる、1 回でも事故が起きれば信頼性は落ちる、元に戻すのは難しい・時間がかかる
→擁護する人間には他にメリットがある


5-28. 確率過程
…ランダムな過程、1秒ごとにランダムに移動する物体のような
→100%の確率で最初の場所に戻ってくる、同じ方向に100歩行くかもしれないが


6. ギャンブルと確率・統計 6項目

…初歩的な確率の問題であれば数学で未来を予測できる
→何でもすぐに信じるものは滅び、納得できなければ信じない者は救われる

6-1. 宝くじの期待値
…総収入、1 枚300円、1,000万本、より30億円
賞金総額、2億円(1本)、1億円(3本)、100万円(10本)、10万円(100本)、
1 万円(2万本)、3,000 円(10 万本)、300 円(100 万本)、より10億3,200 万円、1 枚132円
→1 枚あたりの期待値、132–300 = −168円


6-2. ルーレットの期待値
…300円、偶数に賭ける
300円(2 から 36 の偶数が当たり、18 通り)
−300 円(1 から35 の奇数と 0 が外れ、20 通り)
→期待値、300×18/38 + −300×20/38 = −15.7円
→一人が少数回参加すればプレイヤーが儲かるが、大勢で多数回参加すればディーラーが儲かる


6-3. マルチンゲール法
…当たれば倍、外れたら全額没収、負けたら賭け金を倍額を賭ける
→負けが続くと支出が増える
→お金も時間も無制限に使える悪魔には成り立つ
→お金も時間も限られている人間では成り立たない


6-4. ペテルスブルグのパラドックス
…50%の賭け、最初に当たれば 1 円、最初がハズレで次に当たれば2円、
外れるたびに賞金は 2 倍
→参加費 100万円では誰も賭けない、期待値は∞じゃないの?
→金額が増えても効用(感じる価値)の増え方は小さくなる、期待値は 100 万円よりずっと小さい
→お金も時間も無制限に使える悪魔には成り立つ、逆説でも何でもない
→お金も時間も限られている人間では成り立たない


6-5. ビギナーズラック
…最初に上手くいかなければ残らない、上手くいった人が深みにハマり損失
→ハマった人だけで考えればビギナーズラックが実証されるが、
一度でも参加したことがある人で考えればビギナーズラックは実証されない可能性


6-6. 見通しが正確に立たない時にはやたらと手を出さないことが必勝法


7. データマイニングと確率・統計 5項目

…初歩的な確率から高度な問題に進むにはデータをどう読むかが重要
→観測された相対頻度から区間推定することに限れば数学は未来を予測できる
→確率分布・期待値・標準偏差から

7-1. 回帰分析
…様々な要因がどんな結果につながるかを計算する

→購買行動や顧客属性などの大量データが必要
→回帰分析ではデータが偏ったりデータが不十分で結果もわかりにくい
→無作為抽出テスト、十分に大きな母集団を用意してそこから無作為に人を選び AB テスト


7-2. 専門家とデータマイニングではデータマイニングが勝つ
→人間は大量の情報に重みづけができない、感情や先入観に左右されがち
→人間は中央で行われるデータ分析のための仮説立案が中心となる


7-3. 医者は誤診で多くの医療事故を起こす
…インターンを終えたら勉強しないので古い情報、したくても新しい論文に全て目を通すのは無理
→データマイニングによる単純な手続き改善で医療現場の死者は大きく減る
診断も治療法もソフトを使えばミスがない
→裁量の多くをコンピュータに任せたほうがいいが医者は抵抗する


7-4. コンピュータの手法は昔からあったが周辺の条件が整ってきて容易に使えるようになった
→人間は裁量を奪われマニュアル通りの入力だけ
→完璧ではない、検証、監査できるシステムが必要


7-5. 単に知識があるだけでなく経験や直感と統計を相互参照できる事が必要
→常に疑って修正していく


8. 経済と確率・統計 39項目

…時間経過とともにどう変化をするか予測する

8-1. 詳細な現実のデータを物理学の手法で詳しく分析
…一つ一つの取引ごとのデータを解析
→ニュースに反応する・一息ついてる・パニックになっている様子がデータに刻まれている
→光学顕微鏡で見えないウイルスが電子顕微鏡で見えるようになって伝染病の研究が発展した感じ
→経済学が見落としていたものを考慮、取引者の非線形な相互作用により生まれるカオス効果


8-2. プレイヤー
❶実務家(落ちているお金を探す人)
❷経済学者(お金探しに無頓着で本を読む人)
❸物理学者(お金探しを見て楽しむ人)


8-3. ランダムウォーク
…一定時間ごとにランダムに動く運動、時間を離散的に捉える

→全体の変動はランダムで互いに関係のない小さな変動の重ね合わせ
→t 秒後の変化は出発点から「ルート t」までの範囲に 68%の確率で収まる


8-4. ブラウン運動
…一定時間ごとにランダムに動く運動、時間を連続的に捉える
→無限に細かいランダムウォーク


8-5. ブラックショールズの偏微分方程式
…金融工学におけるオプション価格の変化を記述するために使用される偏微分方程式

【仮定】
❶価格変動 = 定常的変動 + 確率的変動
❷定常的変動 = ct、c はドリフト
❸確率的変動 = ランダムウォーク

→これを連続的な時間tに拡張して価格と微小な時間変動と価格変動を表す
→ブラウン運動は微分できないので微小変動という形で書く
これを含む方程式を確率微分方程式という、積分方程式ともみれる


8-6. マルサスの人口論
…人口は等比数列的に増加するが食糧生産は等差数列的にしか増加しない
→経済は放置すれば貧困と腐敗が必ず生じる


8-7. ミクロマクロ問題
…下の階層を支配する法則から上の階層を支配する法則は引き出せない
→個人のように行動するものとして組織を論じることはできない
→ミクロ経済学とマクロ経済学がつながる、くりこみという物理的な手法を適用
→ミクロな価格変動を表す確率的動力学方程式
マクロな極限で価格変動を表す方程式
を導ける
→取引者のトレンドフォローという戦略がインフレの原動力となる
→一人一人の行動は予測不可能でも集団行動が生む市場の解析には物理学が有効


8-8. アダムスミス
…神の見えざる手、需要と供給による価格決定、ニュートンなどの影響、
見えない力の存在を想定して人間の行動まで説明しようとする
→効用最大化、均衡・等分配則・最大値原理・エントロピー、熱力学の影響、時間が経つとある量が最大値を取る形でシステムが均衡しそこでは等分配則が成立
→経済物理学、ランダムウォーク・カオス・フラクタル、量子力学の影響、原子の発見、お互いが合意できれば取引できるという取引の性質によりカオスが発生し価格は安定しない
→価格変動はべき分布に従いフラクタルになる


8-9. 線形な方程式
…単調に増大・減衰する場合、一定周期で振動する場合
→自然現象・経済現象を記述できない
→非線形な方程式、コンピューターによる計算、初期前提が少し違うだけで答えが全く違う


 8-10. 複雑系
…なんでもありで予測できない

→因果が成立しないというより常識的でない因果、机上の空論も机上の真実となる
→ハブ&スポーク型のネットワーク、ハブ(金融機関や取引所)、スポーク(通貨の流れ)


8-11. カオス
…一定の法則に従っているもののわずかな動きが増幅されて予測不可能な動きをする事象
→初期値がわずかに異なるだけで結果が大きく異なる、
初期値のわずかな違いを拡大して折りたたむ性質がある、完全なランダムとは異なる


8-12. 自己組織化
…ランダムな状態にある要素が要素間に働く相互作用により自発的に特定の秩序構造を形成する

→複雑なものを生み出そうとすれば一度できた組織を次のステップでまた使うほかないため、自分の中に自分を取り込んだり、自分の一部を外に押し付けたりして成長する


8-13. エントロピー増大、秩序から無秩序へ、崩した砂山は元には戻らない
エントロピー減少、無秩序から秩序へ、崩した砂山を立て直す

→転換点、相転移がいつ起こるか
→砂を注ぎ続けると砂山が崩れるという因果関係あるが、どのようになるのかは予測不可能
→歴史は繰り返すのではなく一度きり、螺旋状であれば繰り返し起こるようなことは可能


8-14. 相転移
…ミクロレベルでパラメータを連続的に変える時に、マクロレベルで性質が突然変わる

→氷→水→水蒸気、境目で最も揺らぎが大きい、需要が多いという相、供給が多いという相


8-15. くりこみ理論
…ミクロレベルで無数に繰り返される複雑な反応を、マクロレベルで粗くひとまとめにする

→ミクロレベルで性質が違ってもマクロレベルで性質が同じになる、大部分の細かい情報は相殺
→くりこみをしていくとどちらの相かがわかる
→どこが相の境目かがわかる、臨界点


8-16. セルオートマトン
…同質の要素が配置され局所的に情報を交換しあって自らの状態を変えていくシステム、臨界に達すると秩序が生まれる、水と氷


8-17. 遺伝的アルゴリズム
…遺伝子が進化していく仕組みをモデル化したもの

→最適値を与える手法、サプライチェーン、チェーン店舗にどのように供給するか、どこからどこまでどういうサイズで運送すれば良いか
→結果を出すプランをいくつか作ってそれを遺伝子とする、
乱数を使ってコンピューターでシミュレーション


8-18. 市場
…買い手と売り手が合意すれば取引できる
❶不連続的、パラメータである市場価格を変化させると突然取引となる
❷不可逆的、買い手と売り手が同じ価格で逆向きの取引はしない
→地震・破壊行動に近い、前兆現象に基づいて変動を考える
→買い手から売り手に入れ替わるプレーヤーがいれば価格にカオスが生まれる、価格は確率的に動き予測できない、フラクタル性を示す
→暴騰・暴落といった大きな変動は生まれない
→頑張って先読みをして流れに乗るプレーヤーがいれば暴騰・暴落が起こる
→ニュースによるゆらぎより自発的な揺らぎが重要


8-19. 市場は自己組織臨界現象
…相転移点は不安定、破壊現象が起きない程度に臨界点で反応を持続
→自動的に臨界状態になるシステム、歪みが蓄積、臨界点を超えると解放され破壊現象が起きる
→要素が不均質であれば破壊現象は起きない
歪みが弱い場所に集中し破壊現象が起こる
その歪みは解放されまだ破壊現象が起こっていない場所に分散
破壊現象がギリギリ起こらない、フラクタル性を示すようになる

→自由市場はマクロ的に需要・供給の境目で釣り合いを保っている、
ミクロ的には需要・供給で小さな揺らぎが生じている、
これに集団心理が働くと小さな揺らぎが大きな揺らぎに増幅される
→日々の市場の変動に理由をつけようとするのはナンセンス、人間の性


8-20. 全員が独立にランダムに取引をする場合
…ポアソン過程、取引の間隔は指数関数に従う

→実際は指数関数とは少し異なる、プレーヤーの動きが独立でなくお互いに影響している
→どれくらいの長さの時間が相関を持っているのか?
→取引の間隔をT分間の移動平均で割る
→T=3の移動平均で割ったとき取引の間隔が指数分布に従う、
直近 3 分間を見て取引している、
頻度が高くなると後れを取らないように、頻度が低くなると一息つく
→10分遅れたデータは情報の価値が0、無料で手に入る
→3つの通貨で考えると裁定機会が生まれる
数分以内で見るとランダムに近い
数十分以内で見ると連動性が確認できる、矛盾が続く時間
→最低機会はあってはならないと古い経済学で考えるのではなく、
金融の現場をそのまま記述できる新しい経済学が必要
→裁定機会が発生しないような取引の仕組みができるかもしれない、
集団心理に左右されないように補助するコンピューターができるかもしれない


8-21. 価格変動の分布
…縦軸は累積分布、横軸は変位の大きさを標準偏差で割ったもの

→正規分布、シックスシグマ、標準偏差の6倍の変位まで抑えておけばよい
そこからはみ出る事象が起こる確率は100万分の1
1分刻みで考えると3年に1回

→べき分布
はみ出る現象が起こる確率は1000分の1
1分刻みで考えると1日に1回
標準偏差の20倍の変位が起こる確率は1万分の1
1分刻みで考えると1週間に1回起こる

→数としては5%でランダムと同じだが規模は全然違う
95%の動きはランダムと同じ
→岩を粉々にした時の破片の分布をイメージ、
大きな破片は数個、中くらいの破片は多い、
目に見えない小さな破片は無数でそれより多い、
小さな破片の数が多すぎて平均は 0 に近い、
標準偏差は無限に近い、大きくみても小さく見ても同じに見えるフラクタル的性質を持つ
→べき分布に従う現象を考える上で重要なのは大きい破片、集めると元の原型が推定できる、平均・標準偏差を真っ先に考えるクセが機能しない
→価格の予測可能性は経済学では理論的にないとされているが実際にはある

❶長い時間スケールでの価格変動
→インフレが発生している時、物価の上昇率・通貨価値の下落率は先まで予測できる
→バブルが発生している時、地震現象の研究と似ている、歪みのエネルギーが溜まっている
懸念が広まって妙な下落があってなお上昇がある程度続いてその後に暴落が起こる

❷非常に短い時間スケールでの価格変動
→トレンドが発生している時、取引一つ一つをみるレベルで価格の上昇・下落を予想する
→1分以内ではトレンドが発生したように見えても価格は戻される、
1 分以上同じ方向に動けばさらに同じ方向に動きやすい

❸非常に短い時間スケールでの価格変動
→指値の注文の分布を見る、潜在的な需要・供給、5%の差、
価格変動の時系列データを高次元にプロット、アトラクター、
N番目のデータを x 軸・N+1 番目のデータをy 軸として点をプロット、
3次元・4 次元にして形を出して特徴量を考える
→絶えずシステムを改良し続けなければ勝てない
→どのように改良するかをテーマにすれば良い
→株式・国債・コモディティ
→商品・エネルギー供給、わずかに超過供給にする必要、
高い値段でも購入しなければいけない、いつ売るかが問題になる


8-22. デリバティブ
…ボラティリティ・変動幅が値段になる
→ボラティリティの相関を利用することで正確な値に補正、保険の見積もりとほぼ同じ
→人々がリスクに合わせて投資をできるようになる


8-23. 確率的動力学方程式
…パラメータは市場価格・プレイヤーの平均的な期待価格
→解は市場の状態を表す

⑴市場価格が期待価格に引き寄せられる効果を記述する方程式
$${p_{t+Δt}-p_t=-A_tp_t - p^*_t + f(t)}$$

⑵市場価格の変動が期待価格を動かす結果を記述する方程式にランダムなノイズに加えたもの
$${p^*_{t+Δt}-p^*_t- (-B_t) (p_t - p_{t-Δt}) + f^*(t)}$$

❶安定
…市場価格は一定値の周りをわずかにゆらぐ状態
→市場価格が期待価格に惹きつけられお互いが漸近していく

❷バブル・暴落
…時間とともに指数関数的に市場価格が変動する状態
→市場価格が期待価格に惹きつけられ市場価格の変動が期待価格を増幅させ正のフィードバック、継続時間は 1 時間、取引が活発

❸減衰振動
…振動しながら新しい安定した市場価格に収束する状態
→市場価格の変動が大きく期待価格を通り越す、
取引が少なく少しの取引で価格が大きく動きやすい、ニュースに市場が反応するなど

❹振動発散
…振動しながら市場価格の変動幅が次第に大きくなる状態、バブルと振動が同時に起こる
→期待価格が過敏に反応するバブルが持続し市場価格が大きく変動すると、
様子見のプレイヤーが増加し取引が少なくなり振動状態に入る


8-24. 市場の時間スケール
…最小は1秒、1日は8万秒、1年は3000万秒

→ディーラーモデル、ディーラーの行動、離散的、カオス、金融工学へ
→移動平均、非線形確率的動力学、連続的、
確率極限で金融工学の確率過程へ
くりこみでインフレの動力学方程式へ


8-25. くりこみ理論
…スケールの変換をパラメータの変換で近似

❶ミクロレベルで市場価格を記述する方程式を、
現実のミクロレベルの特性と合うパラメータを選んでシミュレーション
❷得られた時系列データを時間スケールを粗くして見る、10 個おきのデータを利用
❸粗くしたデータから変動と同じ統計性を示すパラメータを探す
❹この新しいパラメータを使ってシミュレーション、
最初のシミュレーションより 10 倍大きなスケールでシミュレーションできる

→マクロレベルでは単調に価格が急上昇するハイパーインフレであっても、
ミクロレベルでは市場価格は乱高下している、臨界状態を維持していれば同じ
→インフレの場合はマクロレベルの極限では滑らかな変動、
ランダムなノイズを表す項は定数に漸近、
ノイズの入らない非線形なマクロレベルの方程式が得られる
→マクロレベルの方程式を解くと経験則として導いた 3 つの解が得られる

❶臨界点を超えるとインフレ
…$${e^{at}}$$、指数関数的に物価が上がり通貨価値が下がる
→第二次世界大戦後のハンガリー、物価が$${10^{30}}$$乗倍上がる、
お金を手にしたらすぐものを買うのが合理的、ますます物価が上がる、
いらないものでも買っておいて欲しいものがあれば売ってお金にする
→ハイパーインフレへ

❷ハイパーインフレ
…$${e^{b_1e^{b_2t}}}$$、超指数関数的に物価が上がり通貨価値が下がる、
もっと酷いインフレになるのではないかという予想が実際にそうなり続ける、人間の集団心理による、警察・軍隊・医師・公務員の給料が事実上 0、
治安・医療が悪化し暴力が支配する社会になる、民族問題が抑えられなくなる、通貨が弱くなることはその国の信用がなくなること、国民がお互いを信じられなくなる


❸インフレが止まり始める
…$${e^{-c_1e^{-c_2t}}}$$、金の価値に結びつけた通貨を導入、ものが十分にあったとわかる


8-26. インフレ肯定派
…インフレが起これば借金が目減りするので借金を簡単に返せるという安易な考え
→通貨の価値がなくなる、国の信用がなくなる、自分たちの当たり前の生活がなくなっていく、自分たちの築き上げた資産の価値を下がっていく
→日本では食料・エネルギー輸入が心配、
自給率が低くてもやっていけるのは円の信用があり輸入に払うお金に困らないため

→インフレで円の価値が下がれば新しい通貨を発行すればいいという安易な考え、海外の人が受け取ってくれるわけがない、信用は簡単には得れない、
日本の国としての信用こそが今の日本を支えている
→年寄りの蓄えているお金がインフレの起爆剤になる可能性、
円の価値がなくなれば外貨預金に切り替える、ものを買わなくていいから
→年寄りの持つ 100 兆円が外貨に変われば 1 ドル100 円くらい動いてもおかしくない
→マスコミが外貨預金をすすめ円の価値がますますなくなる


8-27. 企業所得変動の分布
…企業所得は規模に関わらず激しく変動
→全体としては安定している、傾きが-1のべき分布、業種は関係ない、
傾きが 1 は発展状態・衰退状態の境目、1より小さければ発展状態、1より大きければ衰退状態
→所得を物価・地価を基準に見直す、所得が増えても物価が上がれば増えたことにならない
→地価を基準にすると30年間ほぼ同じ分布、日本経済は土地本位制、
バブル崩壊後の経済は成長していない、地価が上がっていただけ
→パイの食い合いしか行われていない、大企業が食べて中企業が食べて小企業が食べる、どこかが大きくなればどこかが小さくなる、全体として定常的


8-28. 企業所得のシミュレーション
…くりこみ理論を使う、詳細な経営は無視、
考えるお金の流れは企業同士・企業と顧客・企業と税務署、周囲を平均化
→企業は年度所得だけで特徴づけられ年度所得の成長率はランダムに与えられる
→シミュレーションの時間を延ばしても日本の分布は同じ、
アメリカ・イギリスの分布は成長が継続、発展途上にあると言える、
そのまま未来につながるならアメリカにはもっと大きな企業が次々と現れる

→投資の最適化、どの規模の企業に投資するといいのか?
→企業所得 1 億円・売上 10 億円を境目にする、ミドルリスクミドルリターン
それより大きい企業の標準偏差は影響を受けない
それより小さい企業の標準偏差は影響を受ける


8-29. 個人所得変動の分布
…99%は対数正規分布、1%はべき分布
給与所得者・富裕層は明確に二分できる
→1億の金融資産を持つ人間が100万人
10億の金融資産を持つ人間が1万人
100億の資産を持つ人間が100人
→日々の生活に必要なレベルのお金・それを超えたレベルのお金には明確に異なる性質がある、大きなお金の流れには国・時代を超えた普遍性が潜む
→消費税より相続税の制度を見直した方が良い、金融資産の相続税率を上げる、困るのは土地の課税率が高いこと、富裕層の子供にとって望ましいのは親が早く亡くなること
→金額の控除を設ければ 95%の人間には損はない、土地は相続できる
5%の人間は期待していた金融資産をもらえないものの恵まれた環境を維持できる
→金融資産を相続させたい人間が海外に脱出する可能性
→相続のためだけに海外に住むということは考えにくい?
→土地の課税を軽くすると地価が上昇しバブルが再発する


8-30. 貨幣
…額面は線形、価値は線形ではなく非線形

→1 万円+1 万円+… =1億円、
1億をまとめて持っていれば企業設立・投資で価値が増える可能性、
1万人がバラバラに1万円持っていても価値を増やせる可能性はない

→仕事を分担・専門化し組織を作る、分業で効率が良くなる、
労働を減らして生活の質を高くできる
→貨幣は社会の信用を数値化したもの、偽造が弱点、最先端の技術を駆使した貨幣がその時代の貨幣として適している、今は電子的なお金、
アメリカでは紙幣を扱うのは取引の足跡を残したくない人だけ、貨幣の偽造はしやすい
→エクアドルでは自国通貨がインフレを起こすためアメリカドルを採用、
インフレ・自国の為替リスクはなくなる、金融政策が自国の判断でできない、貨幣の流通量を調整して自国の経済を制御できない、民間レベルで偽造貨幣が出回る


8-31. 貨幣の機能
…交換・尺度・保存

→これらの性質を持つのは個人レベルの額面のみ
大きいレベルの額面ではこれらの性質を失う
→自己増殖、4つ目の機能、投資・投機で増えていく、額面が大きいほど強く働く

→どうやってリスクを少なくして貨幣の自己増殖機能を高めていくかを考える、為替は一番大きいレベルの貨幣を使いやすい、流動性が高い
→予想されるリスク・自己増殖率の兼ね合いでお金の流れる方向が決まる、
判断する人によって異なるため色々なお金の動きが起こる
→貨幣は大きいレベルの額面になるほど人間性がなくなって物質とにた振る舞いが見られる


8-32. 通貨
…流通貨幣、経済的な価値尺度、メートル・ヤード・フィートのような
→同じ通貨を使う社会で生活すればものの価格が身について多くの人間の価値尺度が似てくる
→この変換率が一定ではない、物質では当たり前のことが経済では当たり前ではない

→CF としてドルが増加・円が増加、
合わせればプラスになるはずが為替レートを加味するとマイナスになる、
現在、100 万ドル・1 億5000 万円、1 ドル 150 円、円換算で 3 億円
1 年後、110 万ドル・1 億6000 万円、1 ドル 100 円、円換算で2億 7000 万円
→円換算でマイナス、ドル換算でプラス、お金が価値尺度としての役割を果たしていない

→国・言語が異なっても価値観は似てきている、世界共通の通貨を使っても良い環境が整っている
→価値観を無理に統一しようとしても歪みが生じる、多様性を失うことはシステムとして危険
→賃金の安い地域の人間は物価も安い中で満足できる、
何十倍も収入の多い人間が自由に入ってきて安いものを買い占めるようになると混乱を招く、通貨によって生活・文化が守られている国もある、言語と同じような


8-33. これからの社会には単調に増大していくものはない
…地球の定員が満杯、経済成長に限界がある、開拓できるものがない、
子供が 1 年に10 センチずつ身長が伸びても 20 年後に身長が 3 メートルになると想像できない
→ニーズのない公共施設をたくさん作るのは国が借金を抱える原因
→古いものを壊してより人間が欲しがるものを再構築する必要
→戦争は無駄、壊すだけで再構築できない
→固定した金利をつけることは集団心理で上昇するバブルと同じ、インフレと通貨価値下落
→イスラムの金融観、金利をつけない、代わりに投資から得た利益を分配して預金者に還元する


8-34. 人間の集団規模に関わらず意思決定には誤りがある
…未来を予測することはできない
→大切なことは適応力を高めること、現在の基準でベストな方法 1 つに固執しない、代替案をできるだけたくさん持って選択の可能性を広く持つ


8-35. 貨幣の流れのネットワーク全体を解明したい
…経済の解明につながる、個別の特定ができないよう名前を隠す、
銀行として顧客のオーダーを取りまとめた上で行う
→どういう流れがあるか性質があるか、ネットワークの安定性、
システミックリスクに対してどう対策すればいいか

→500の銀行、ペアは30万通り
実際に関係のあるペアは 7000通り、2%
ほぼ毎日取引があるペアは 2000、0.6%

→ほぼ毎日取引があるペアが、
4〜80の銀行はべき分布に従う、スケールフリーネットワーク
80 以上の大銀行は大銀行同士も密につながり合う、完全グラフ
4以下の小銀行はハブになる銀行としか関係を持っていない


8-36. ゆらぎは VUCA の世界で重要
…ゆらぎの中から予測可能な情報を抽出、予測不可能な部分をリスクヘッジ
→金融工学は市場の大変動を見逃しているが経済物理学ではそれを補う分野を研究、天候に関わるリスク、天候は産業の 70%に影響を及ぼす


8-37. 無形資産の評価
…研究開発など、基礎的な幹・専門化した枝・さらに細かく専門化した枝・葉・花・実
→幹の価値をどう評価するか?
→収穫量から枝より先の価値を引く、線形的な発想、
幹自体は何も生産しないため価値が低いものとして評価される


8-38. リアルオプション
…シナリオを全て書き出しどのような確率でどのようなことが起こるか・その時のコストを概算
→最適な撤退時期を考える、撤退した場合の損失・うまくいった場合の利益を推定、遅れによるリスクも考慮
→お金の流れがべき分布になる性質を取り込んでいない、
無形資産の利益の分布はべき分布の可能性、運が良ければ一つが大きい利益、大体は損失
→試行回数を増やせば大きな利益を当てる確率が高くなる、
リスクの高い高額の投資を少しやるよりリスクの低い少額の投資をたくさんやる
→大きい利益も先人の発見・発明の枝の先に実った幸運な果実
→無駄をなくすために同じ失敗はしないよう記録、失敗事例をたくさん揃えることが重要


8-39. 消費の変化
…大量生産方式、30%がゴミになるという前提で過剰生産されている、
局所的に手に入らない人が出てくるため
→セル生産へ、質の良いもの・環境にやさしいもの・他の人とは違うもの、流れ作業は足手まとい
→理想的な需要供給はインターネットの中であれば実現できる


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。

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