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アートに関するメモ(5) 【シェイクスピア】

本メモはアートの基礎的な内容に関するメモです。
読みにくい部分はこれから修正していきます。


1. はじめに 11項目

1-1. 宗教革命が起きた時代の空気感
…時代精神を汲み取りながら時代を超越した人間や社会のあり方を切り取る


1-2. 古いものと新しいものが入り乱れて併存していた時代
…中世からの継承物とルネサンスの再発見、プロテスタントが定着してきた時代


1-3. 人間が生きていくということはこういうことだよとユーモアを交えて見せてくれる
…人間を理解して人間力をつけると自分、他人、社会の立ち位置が見えてくる


1-4. 強い言葉、人間の深い洞察に裏打ちされた言葉があるだけ
…全員が主人公として会話する、一瞬一瞬に効果がある、濃密なコミュニケーション
→人生の問題に答えを出してくれるわけではない、それぞれの読み方に正解がある


1-5. 幸あり不幸あり
…運命なのか?覚悟が大事、立ち向かう時に人間の真の姿が現れる


1-6. リアリズムとユーモア
…現実を見るだけでなくドラマチックに演出する、普遍的感情、善悪あるのが人間


1-7. 英語の有名な表現の 70〜80%がシェイクスピアと聖書からのもの
…英語圏でのスピーチや会話に度々登場する、知的レベルを測られる


1-8. 哲学的でなく親しみやすい
…大学でなく劇場で役者や観客の反応に揉まれながら磨かれた才能


1-9. 細かい言葉のニュアンスや仕草を大事にして観客が想像力を使って楽しむ
…落語の面白さ


1-10. 女性の書き方がやり手、ヒロインからは特別なものを感じる
…男性は自然的で女性は超自然的、ヒロインを読み解くことで理想の女性像を考える
→個々のヒロインを見る前に全体を見た方がわかりやすい


1-11. 挿絵から役者絵へ
…アカデミーは肖像画でなく歴史画が好き、ボイデルのギャラリーはビジネス、ロマン主義


2. 歴史劇 48項目

ヘンリー6世 第1部(Henry VI part1)

…イギリスの王位継承にまつわる戦いを描いた大河ドラマ、最後に勝つのは誰か?

2-1. あらすじ
・ヘンリー5世が亡くなり、息子がヘンリー6世として即位する
→叔父のグロスター公ハンフリーが摂政となるが、ウィンチェスター司教と対立する
→フランスでは、ジャンヌ・ダルクが現れ、イギリス軍からオルレアンを奪回するが再び奪われる

→イギリスでは、ヨーク家のプランタジネットと、
ランカスター家のサマセット伯が激しく対立する
→貴族たちに、
白薔薇を摘んでヨーク家につくか、
赤薔薇を摘んでランカスター家につくかと迫る
→ウォリック伯らは白薔薇を、
サフォーク伯らは赤薔薇を選び、
イギリスを二分する薔薇戦争が始まる

→フランスではトールボットの軍隊が戦っていたが息子とともに非業の死を遂げる
→イギリスとフランスの間に和平の提案がされ、ヘンリー王とアルマニャック伯の娘を結婚させる
→ジャンヌ・ダルクは霊力を失い魔女にも助力を拒まれイギリス軍に捕らえられる、裁判の結果地獄からの使者として火あぶりの刑に処せられる
→シャルルが表面上イギリスへ忠誠を誓って和議がととのう

→一応の決着を見たイギリスであったが新たな混乱の芽が生じる、
サフォーク伯がフランス側の捕虜として捕らえたレニエの娘マーガレットを愛人にしようとする、サフォーク伯はマーガレットとヘンリー王を結婚させ王も王妃も王国も支配しようとする


2-2. ヘンリー・アーサー・ペイン
【テンプル・ホールでの赤と白のバラ選び (第2幕第4場)】


2-3. ウィリアム・ハミルトン
【ジャンヌ・ダルクと復讐の女神たち (第5幕第3場)】


ヘンリー6世 第2部(Henry VI part2)

2-4. あらすじ
・マーガレットとヘンリー王の結婚はイギリスにさらなる惨劇を呼ぶ
グロスター公はサフォーク伯やウインチェスター司教らと対立する
サフォーク伯たちはグロスター夫人エリナーを逮捕し、それをきっかけにグロスター公を処刑する
→グロスター公暗殺の噂に平民たちはいきり立ち、やむなくヘンリー王はサフォーク伯を追放する
→サフォーク伯を待っていたのは魔女の予言どおりの「水難」である

→密かに王位を狙うヨーク公爵はジョン・ケイドという男にイギリスで暴動を起こすよう仕向ける
→起こされた暴動は勢いを増すが鎮圧されケイドは孤立無援となり逃亡先で殺される
→ヨーク公が強大な兵をアイルランドからイギリスへと向かわせる、表向きの目的はケイドの討伐と逆臣サマセットの排除で、真の目的は王権である
→ソールズベリーやウォリック親子も加わり薔薇戦争が始まるがヨーク側が圧勝する


2-4. 『オレらは全然整ってない時が一番整っているんだ。』 (第4幕第2場)
…ヨーク公に依頼され暴動を起こす前にジョン・ケードが言う、
無秩序・無統制な趣


2-5. エドウィン・オースティン・アビー
【グロスター公夫人エリナーの悔悛 (第2幕第4場)】


2-6. ジョシュア・レイノルズ
【ボーフォート枢機卿の死 (第3幕第3場)】


ヘンリー6世 第3部(Henry VI part3)

2-7. あらすじ
・ヨーク側はヘンリー王に退位を迫り、愛想をつかした王妃らはヨーク公に対して兵を起こす
→ヨーク側もヘンリー王と交わした誓約を破り王位を奪う策略を立て再び激しい戦いが始まる
→ヨーク公は王妃の軍勢に捕らえられ、幼い息子ラットランドと共に処刑される
→ヘンリー王は王妃をただ見守るしかなく嘆き、さらにこの世界の悲惨を目の当たりにする
→ヨーク側が勝利しヨークの息子エドワードが新たな英国王として即位する

→ウォリック伯はエドワード王とフランス王ルイの妹ボーナとの結婚を勧める、ルイも賛成するがエドワード王がエリザベスと結婚したという知らせが入り激怒する
→ルイは王妃に力を貸すことを決めウォリック伯もランカスター側へと寝返る
エドワードの弟ジョージもランカスター側へとつく
→ランカスター側はロンドン塔に幽閉されていたヘンリー王を救い出し再び彼を王位につける

→エドワードは捕らえられるがすぐにリチャードに救出され再び王位を要求して兵を起こす
→コヴェントリーの会談を行うが決裂する
→ウォリック伯は戦死し、マーガレットは捕らえられ、息子エドワードは目の前で殺される
→野心にあふれたリチャードはロンドン塔に幽閉中のヘンリーを刺し殺す
→ヨーク公エドワードはエドワード4世と名乗って王位につき、平和を満喫する
→リチャードはイエスを裏切ったユダと同じ思いだという不気味な言葉で血の歴史を暗示する


2-8. 『ああ、女の皮を被った虎の心か!』 (第 1 幕第4 場)
…王妃マーガレットに捕らえられ子を殺されたヨーク公が怒る、
外面如菩薩・内面如夜叉


2-9. 『ブヨは日の当たる方へ飛んでいくものと決まっている』 (第2幕第6場)
…クリフォード卿が首に矢を刺さしたまま言う、
権力の強い方に群がる民衆、生き抜くエネルギー


2-10. 英国人の作家
【ヘンリー6世 第3部 (第2幕第1場)】


2-11. ウィリアム・ダイス
【タウトンのヘンリー6世 (第2幕第5場)】


リチャード3世(Richard III)

…マキャベリズムの権化、良心を捨てて手に入れた王位も皮肉なことに馬一頭の価値に落ちる

2-12. あらすじ
・エドワード4世が平和を満喫する中、奇形に生まれたリチャードは王位を奪う策略を実行する
兄のジョージは謀反の疑いで捕らえられる身の潔白を訴えながら牢獄へと向かう
先王ヘンリー6世の死体にすがって泣いているアンは言いくるめられて利用される

→エドワード4世が息を引き取ると貴族たちを牢獄へ送り込み処刑し王位への足場を確保する
→リチャードは摂政となり王位継承権をもつ 2人の王子を幽閉し悪い噂をばらまかせる
→伯爵領を餌にバッキンガムをいいように操り、いい見え方がするように王位を受諾する
→リチャードは邪魔な王子の殺害を命じるが、バッキンガムは即答を避け伯爵領を要求する
→要求をはねつけられたバッキンガムは危険を予感しリチャードのもとを離れる
→リチャードは刺客を雇い2人の王子と妻のアンを殺害し、先王の娘エリザベスと結婚する、リッチモンド公ヘンリーの軍勢に攻められ処刑した者たちの亡霊にさいなまれながら戦死する
→ヘンリーはヨーク家のエリザベスと結婚してヘンリー7世となりテューダー朝がはじまる


2-13. 色恋とグロテスク
…悪人が主人公で最後に滅びる(マクベスと同じ)
ためらいを捨てきれない(マクベスと異なる)
→極悪人なのか?


2-14. 2人の王子を殺したのは誰?
…まだ生きていた?死んでいればリチャード3世がやったと言うはず
→ヘンリー7世なのか?


2-15. 『その剣をとられるか、それとも私をとられるか。』 (第1幕第2場)
…リチャードが殺した先王の王妃を妻にしようとして言う、
二者択一を迫るのはドラマティック


2-16. 『おれの良心には無数の舌があるらしい。』 (第5幕第3場)
…悪夢から目覚めたリチャードが自らを省みて言う、マクベスとの対比、最初か最後か


2-17. ジェームズ・ノースコット
【ロンドン塔の王子たち (第4幕第3場)】


2-18. ウィリアム・ホガース
【リチャード3世を演じるデヴィッド・ギャリック】


リチャード2世(Richard II)

…正当な血筋により王になったリチャード王だが王位を奪ったツケは重くのしかかる

2-19. あらすじ
・ボリングブルックがモーブリーを公金横領とグロスター公暗殺の首謀者として告発する
→モーブリーは否認し決闘で潔白を証明することになる
→グロスター公暗殺への関与が明らかになるのを恐れたリチャード王は決闘を中止し2人を追放する
→リチャード王はアイルランドの反乱を鎮圧するため旅立つ

→相続権をないがしろにされたボリンブルックは地方貴族をつぎつぎと味方につける
→リチャード王の側近ブッシーとグリーンは危険を感じて逃げるが捕えられ処刑される
→ボリンブルックの謀反を知らされたリチャード王は自分の王位が脅かされていることを実感する
→リチャード王はボリンブルックに王位を譲りヘンリー4世が誕生する
王妃はフランスへ追放され、リチャード王はポムフレット城に幽閉されエクストンたちに殺害される
→ヘンリー4世はエクストンに報酬を与えるどころか追放し、聖地エルサレムへ罪を償う旅に出る


2-20. 『不幸というのは耐える力が弱いと知ると重くのしかかる。』 (第1幕第3場)
…ゴーントが追放される息子に言う、気持ちを強く持て


2-21. 『オレたちは余分な枝を切り落とすだろ、あれは実をつけた枝を生かすためだ。』 (第3幕第4場)
…庭師が徒弟に政治批判を話す、削ぎ落とせ、欲張らずにシンプルにする


2-22. 『毒を必要とするものも毒を愛しはしない。』 (第5幕第6場)
…リチャードを殺したエリントンに対してヘンリー王が冷たく言い放つ、愛憎の感情が出る


2-23. ジェームズ・ノースコック
【リチャード2世とボリングブルックの入場 (第5幕第2場)】


2-24. フランシス・ウィートリー
【リチャード2世の死 (第5幕第5場)】


ジョン王(King John)

…イギリスの王座をかけた戦いがイギリスを覆う闇となって広がってゆく

2-25. あらすじ
フランス王はイギリス王ジョンの甥アーサーを王として擁立し、王座を明け渡せと迫る
→ジョン王は一気にフランスへ進軍し激しい争奪戦を繰り広げる
→ジョン王の姪であるスペイン王女ブランジュとフランスの王子ルイとの結婚で和解へと向かう
→法王の使いパンダルフ枢機卿が現れてジョン王の法王に対する態度を非難し破門を宣告する
→フランス王は再びジョン王と戦うがイギリス軍が圧勝しアーサーは捕らえられる、パンダルフ枢機卿はこの不利な状況を逆に利用しルイにイギリス進軍を勧める
→ジョン王はアーサーをかわいがると言いながら家臣ヒューバートにアーサー暗殺を命じる
→ヒューバートはアーサーを殺さずに逃がしてやりアーサーは死んだという噂を流す、貴族たちはジョン王を責め離反していきジョン王は孤立してしまう

→フランス軍の進軍やエリナー皇太后の死など不穏な知らせが舞い込む
→ジョン王は不安でヒューバートを責めるがアーサーの生存を知り貴族たちとの和解を試みる
→アーサーは逃亡中に城壁から飛び降り命を落としてしまい貴族たちとの和解は成立しない
→ジョン王は私生児フィリップに権限を委ねフランス軍を撃退しようとする
→フランス側についたイギリスの貴族たちは処刑される身であることを知り再びイギリス側につく
→ジョン王は修道士の盛った毒で命を落としてしまう
→フランスはパンダルフ枢機卿を通して和解を申し出る
→ジョン王の息子ヘンリーが新イギリス王として即位することになる


2-26. 『人は悪いことを行う道具を目にするとつい悪いことを行いたくなるものだ。』 (第 4 幕第2場)
…ジョン王はアーサー殺しを後悔してヒューバートに言う、ヒューバートは実は殺していない


2-27. 『あの作り笑いを浮かべる紳士、利益の野郎。』 (第2幕第1場)
…フィリップはジョン王が和解したのが気に入らず利益を罵倒する、誘惑とささやき


2-28. ハインリッヒ・フュースリ
【レディコンスタンス、アーサー、ソールズベリー (第3幕第1場)】


2-29. ジェームズ・ノースコット
【ヒューバートとアーサー (第4幕第1場)】


ヘンリー4世 第1部(Henry IV part1)

…フォルスタッフたちと放蕩生活を満喫した王子ハルは名君ヘンリー5世となる基盤を築く

2-30. あらすじ
・リチャード2世から王位を奪ったヘンリー4世は贖罪のために十字軍出兵を願っている
→ウェールズ地方の治安悪化や王子ハルの放蕩などの問題が頭から離れず出兵どころではない

→王子ハルは居酒屋でフォルスタッフと遊びほうけている
→ウスター伯がホットスパー親子とともに反乱の準備を進める
→フォルスタッフたちは大ボラを吹く、王子ハルに実態を暴露されるが開き直る、ヘンリー王からの使者がやって来て2人はヘンリー王に会うための稽古と称して王と王子役を代わる代わる演じる
→王子ハルはヘンリー王にホットスパーと比べられて放蕩ぶりを責められる、王子ハルは反乱軍との戦いで名誉挽回を誓う

→シュルーズベリーで戦いが始まり反乱軍は不利な戦いを強いられる
→和睦を勧めるヘンリー王の使者に対してもホットスパーはヘンリー王が行なった過去の非道を非難してやまない
→ウスター伯は今回の内戦の原因はヘンリー王の誓約不履行にあると主張する、ヘンリー王は厳しい態度を見せる一方で寛容な約束をする
→ヘンリー王の約束を信じられないウスター伯はホットスパーに戦いを促す
→フォルスタッフは斬りかかられると死んだふりをしてやり過ごす
→王子ハルは傷を負いながらもヘンリー王を助けたりホットスパーを倒したりと名誉を挽回する、フォルスタッフはホットスパーの舌を刺して自分の手柄にしようとするがバレる
→ヘンリー王側は勝利しヘンリー王と王子ハルはさらにグレンダワー討伐のためウェールズへ向かう


2-31. 『名誉って何だ?言葉だ。』 (第5幕第1場)
…フォルスタッフは名誉に固執しないと言う、キャシオは慌てふためいていた


2-32. 『勇気の最上の部分は分別にある。』 (第5幕第4場)
…死んだふりをしたフォルスタッフは王子ハルが一言残して去った後に調子良く言ってのける


2-33. エドワード・W・レインフォード
【ホットスパーと延臣 (第1幕第3場)】


2-34. ロバート・スマーク
【旅籠の中庭のギャッズヒルと人足 (第2幕第1場)】


ヘンリー4世 第2部(Henry IV part2)

…王となったハルが旧友フォルスタッフを冷たくあしらうその奥に無限の哀しみが見える

2-35. あらすじ
・ホットスパー戦死の知らせを受けたノーサンバランド伯らは王の軍に応戦する
→居酒屋で悪ふざけをくり返すフォルスタッフは参戦はするものの役立たずの兵ばかり集めている
→眠れぬ夜をすごすヘンリー王はリチャード 2 世の予言を思い出し十字軍遠征を夢見る
→王子ジョンの申し入れを鵜呑みにして軍を解散した反乱軍首謀者たちは死刑となる
→反乱は鎮圧され国の安定は保たれるがヘンリー王の病気はますます重くなる

→ヘンリー王が死んでしまったと勘違いした王子ハルは王冠をかぶってその場を立ち去る
→ヘンリー王は目覚めると王冠がないと取り乱し王子を呼びつけ問い詰めるが弁明で誤解は解ける、ヘンリー王は王冠を王子ハルに譲り聖地遠征を果たせぬままエルサレムへの途中で息を引き取る

→新王ヘンリー5世は放蕩時代に自分を投獄した司法長官を呼び断固とした措置をたたえる
→フォルスタッフは飲み友の王子ハルが王になった知らせを聞いて戴冠式にやって来る
→ヘンリー5世はフォルスタッフを冷たくあしらい司法長官の手に引き渡す
国会が招集されフランス遠征の機運が高まってくる


2-36. 『肥えた土ほど雑草がはびこるものだ。』 (第2幕第1場)
…王子ハルがフォルスタッフたちと飲み歩いているのを聞いて王が呟く、才能は善にも悪にもなる


2-37. 『人の本当の価値は最期に決まる。』 (第2幕第2場)
…王子ハルがポインズに言う、死を迎える時だけでなく死後数十年で認められる人もいる


2-38. ジョン・カウズ
【フォルスタッフと新兵 (第3幕第2場)】


2-39. チャールズ・ロビンソン
【ヘンリー5世とフォルスタッフ (第5幕第4場)】


ヘンリー5世(Henry V)

…敵国を破る場面を見たい、それは哀しいほどの本音でこれはそれをみごとに満たす

2-40. あらすじ
・口上役が登場し、劇場を広大な戦場として1人の役者を兵士として想像することを要請する

→カンタベリー大司教たちは教会の所領を没収する法案を阻止するためにヘンリー王に説明する
→フランス公爵領を要求したヘンリー王への返事としてテニスボールが送られてくる
→ヘンリー王はテニスボールを砲弾に変えてフランス中を恐怖のテニスコートにしようとする
→ヘンリー王は勇猛果敢な武将ぶりを発揮して一気にハーフラーの町を陥落させる
→イギリス軍の攻勢を見せつけられてフランス王は軍に総決起を促す
→快進撃をつづけているとはいえ遠征中のヘンリー王の軍隊は衰弱、病気・飢餓に悩まされる
→フォルスタッフのかつての仲間であるバードルフとニムは盗みをはたらき処刑される

→アジンコートの戦いの前夜ヘンリー王は一兵卒に変装して兵士たちを視察する、フランス軍はイギリス軍の5倍で弱音をもらす者もいる
→逆境のなかイギリス軍は果敢に戦い、ヘンリー王は捕虜全員の処刑を命じ最後の戦いに挑む
→フランス軍降伏を告げられヘンリー王は神の加護を感謝しつつカレーから凱旋する
→ヘンリー王は王女キャサリンに求婚してフランスの王位継承者と認められ英仏が和解する

→口上役がヘンリー5世が獲得したフランスの支配権もヘンリー6世の時代に失われると語る


2-41. 『もう一度突破口へ突撃だ、もう一度いこう、
できなければイギリス兵の死体で穴を塞いでしまえ。』 (第3幕第1場)
…百年戦争でヘンリー5世が檄を飛ばす、王のヒロイズム、この後庶民のニヒリズムでパロディ化


2-42. 『王様だってスミレの花はオレと同じように匂うだろう。』 (第4幕第1場)
…ヘンリー5 世が変装して味方陣営を周り兵士と話をする、肩書きに囚われず同じ人間として見る


2-43. ハインリッヒ・フュースリ
【陰謀の発覚 (第2幕第2場)】


2-44. ウィリアム・ケント
【ヘンリー5世の結婚】


ヘンリー8世(Henry VIII)

…不倫や地位争い、イギリス王室のスキャンダルとその裏に交錯する欲望と陰謀

2-45. あらすじ
・ヘンリー王の宮殿ではウルジー枢機卿が勢力を強めている、汚い政治的策略をめぐらして出世をする強欲な彼を民衆や公爵たちは好んでいない
→学識があり恵まれた才能をもつバッキンガム公も死刑となる
→ウルジーの屋敷では宴が開かれ、女官アン・ブリンに出会ったヘンリー王は彼女に惹かれる
→ヘンリー王は王妃キャサリンとの結婚を無効にしようとする

→ウルジーはアンが王妃になると出世の邪魔なので離婚の裁決を引き延ばすよう手紙を送る
→手紙は間違ってヘンリー王の手に渡り財産着服の証拠まで見つかってウルジーは失墜する
→裁判では結婚そのものを無効とする裁決が下される
→新たに王妃となったアンの戴冠式は民衆の祝福を受けて華やかに行われる

→キンボートン城に身柄を移されたキャサリンは病に伏し息を引き取る
→クランマーは囚人として捕らえられそうになるが国王の力添えで潔白を証明される
→王女エリザベスが誕生し宮廷のまわりは祝福にわきかえる民衆であふれている、エリザベスがイギリスにもたらすであろう平和、豊饒、威厳に満ちた未来が予言される


2-46. 『汝よりも他を愛せ。』 (第3幕第2場)
…失脚するウルジー枢機卿が後任のクロムウェルに向かって失脚の原因を吐露する、教訓


2-47. ジュージ・ヘンリー・ハーロウ
【キャサリン王妃の試練 (第2幕第4場)】


2-48. チャールズ・ロバート・レスリー
【キャピューシアスとキャサリン王妃の会談 (第4幕第2場)】


3. 喜劇 49項目

間違いの喜劇(The Comedy of Errors)

…取り違えや再会は全作品の中でも重要、短いながらも単なるドタバタ劇を超える味わいがある

3-1. あらすじ
・アジアの古代都市エフェソス、シラキュースとの通称は禁止されていた
→エフェソスの侯爵ソライナスは不法に滞在したシラキュースの商人イージオンに罰金を課す
→イージオンの身の上話、双子の息子、双子の召使い、船旅で別れた兄弟探し、息子探し
→旅先で罰金を支払うことができずとうとう死刑が執行されることになる

→その時、運命の悪戯か神の計らいか同じ町に父と2組の双子がそろう
当人たちも町の人々もそのことを知らないためいろいろなところで騒動が持ちあがる
→町の人々は悪魔のしわざと思い双子の1組を縛りあげ悪魔祓いの祈祷師に引きわたす、残った双子の1組は身の危険を感じて尼僧院に逃げ込む

→イージオンの死刑執行をするためやってきた公爵一行にエイドリアーナは訴える。
→悪魔祓いの祈祷師に引き渡されたはずの息子が縄を引きちぎってやってきて公爵に訴え出る、その息子を見たイージオンは嬉しくて声をかけるが父親など知らないと言われ絶望する
→尼僧院長が双子の1組を連れて、双子が2組同じ町に居合わせたことが分かる、さらに尼僧院長はイージオンの妻エミリアであることが明かされ一家は晴れて再会する
→公爵は再会の喜びに免じてイージオンの死刑を取り消し一同は尼僧院での祝宴に招かれる


3-2. 『33年の間、私はずっと旅の苦しみに耐えてきました、
そしてやっと今、重い旅の荷物を解きましたよ。』 (第5幕第1場)
…再開の喜びの中エミリアが言う、 travailは旅と陣痛、burdenには荷物とお産


3-3. フランシス・ウィートリー
【難破船からのエミリアの救出、間違いの喜劇より (第1幕第1場)】


3-4. ノーマン・ミルズ・プライス
【私の主人を入れてくれ、間違いの喜劇より (第3幕第1場)】


じゃじゃ馬ならし(The Taming of the Shrew)

…全ては演技で本当の自分なんてどこにもない、それならさわやかに演じた方がいい

3-5. あらすじ
…飲んだくれのスライが飲み屋を追い出され道ばたで眠っている
→領主が通りかかり悪戯を思いつく、館に連れ帰り昏睡状態だった領主だと思い込ませようとする
→その気になったスライに喜劇を見せる、その劇の名は「じゃじゃ馬ならし」である

→劇中劇のあらすじ、パデュアの資産家バプティスタには娘が二人いる
姉のカタリーナが評判のじゃじゃ馬でだれも嫁にくれといってくれない
妹のビアンカは美人で優しくおしとやかなので何人もの求婚者がいる
→困り果てたバプティスタは姉が嫁にゆくまでは妹の結婚は許さないと求婚者たちに言う
→求婚者の一人ホーテンシオは友人ペトルーキオにカタリーナと結婚しないかと持ちかける
→カタリーナは必死に抵抗するが強引なペトルーキオは口ずく力ずくで結婚式の日取りまで決める
→姉の結婚が決まったので休戦状態だった妹の争奪戦が再開される
→老人グレミオはラテン語の家庭教師キャンビオを雇い自分の変わりに口説かせようとする
→その家庭教師が実はルーチェンシオでありビアンカは徐々に惹かれていくが持参金でトラブル
→カタリーナは「食べさせない、眠らせない、着飾らせない」の3ない運動に参る、実は人生の教訓を教えたかっただけでやっとのことでカタリーナもそのことに気付く
→お預けになっていた披露宴をおこなうためパデュアへ向かう
→トラーニオは旅人を父親に仕立てようとするが父親ヴィンチェンシオが現われて大騒動となる
→ひそかに結婚式をすませたルーチェンシオとビアンカがやって来て万事めでたく収まる
→待ちに待った披露宴では姉のじゃじゃ馬カタリーナは貞淑な妻を演じることを楽しんでいる
そして皮肉なことに妹のおしとやかなビアンカが今度はじゃじゃ馬になっている


3-6. 『楽しんでやらなきゃ、何事も身につきはしません。』 (第1幕第1場)
…哲学を学び徳を修めたいルーチェンシオに対して召使いトラーニオが堅物になるなと注意する


3-7. 『炎は小さい風では燃え上がりますが、大きい風では吹き消されてしまいますよ。』 (第2幕第1場)
…娘のじゃじゃ馬を心配するバプティスタにペトルーキオが言う


3-8. エドワードマチューウォード
【じゃじゃ馬ならし (序劇第2幕)】


3-7. ロバート・ブレイスウェイト・マルティノー
【カタリーナとペトルーキオ、じゃじゃ馬ならしより (第3 幕第 1 場)】


ヴェローナの二紳士(The Two Gentlemen of Verona)

…青春劇、恋を選ぶ者と友を選ぶ者に分かれるがどちらも女性の献身を見て愛の大切さを知る

3-8. あらすじ
…イタリア北部のヴェローナ、ヴァレンタインとプローテュースは強い友愛の絆で結ばれていた
ヴァレンタインはミラノへ旅立ち遊学する、
プローテュースは恋するジュリアのために残る
プローテュースも父親の命令でいやいやながらミラノへ旅立つことになる

→ミラノに着くと驚いたことにヴァレンタインが公爵の娘シルヴィアにうつつを抜かしている
プローテュースもジュリアがいることも忘れシルヴィアに一目惚れしてしまう
→プローテュースは悩むが結局恋が勝ち2人の駆落ち話を公爵にもらしてしまう
→ジュリアはひと目会いたさに男に変装してミラノへ向かう
→シルヴィアはヴァレンタインひとすじで公爵は貴族シューリオと財産目当て結婚させようとする
→プローテュースはシルヴィアをシューリオとくっつけるように命じられシルヴィアに近づく
→自分の思いを伝えようとするプローテュースの使いにジュリアを雇う
胸も裂ける思いを隠してジュリアは使いに発ちシルヴィアと仲良くなる

→ミラノを追放されたヴァレンタインはたまたま出会った山賊に見込まれ首領になって森で暮らす
→シューリオと無理やり結婚させられそうになったシルヴィアは城を逃げ出す、追ってきたプローテュースに森の中で襲われたところをヴァレンタインに助けられる
→ヴァレンタインは友のあやまちを赦すばかりかシルヴィアをも友に与えようとする
→ジュリアは絶望のあまり気絶しそこでプローテュースは男装だと気付く、プローテュースはそこまでして自分に尽くしてくれるジュリアに心の底から愛を誓う
→山賊に捕らえられた公爵一行があらわれる
→シューリオはヴァレンタインにシルヴィアをめぐる決闘を申し込まれるが逃げ出す
→公爵はみずからを恥じヴァレンタインとシルヴィアの結婚を許す
めでたく結ばれた二組の恋人たちは同じ日に結婚式をあげる約束をして森を去る


3-9. 『井戸の中のカエルは呆れるほど無知だという。』 (第1幕第1場)
…ヴァレンタインがミラノに旅立つ際に言う、大航海時代のイギリス人には共感された


3-10. 『私には女の理由しかありません、好きだから好きなんです。』 (第1幕第2場)
…侍女ルーセッタがジュリアと男定めをしているとき言う、感情に忠実


3-11. 『人間は習慣によってこんなに変わるものか。』 (第5幕第4場)
…山賊となったヴァレンタインが一人つぶやく、住めば都、職業病


3-12. アルフレッド・エルモア
【ヴェローナの二紳士より (第3幕第1場)】


3-13. フランシス・ウィートリー
【ヴァレンタインに助けられるシルヴィア (第5幕第4場)】


恋の骨折り損(Love's Labour's Lost)

…全編がことば遊びでラテン語を使った洒落が多く難解さでは随一、貴族の娯楽か?

3-14. あらすじ
…ナヴァール王国、国王ファーディナンドは学のため禁欲的な生活を廷臣と過ごす誓いを立てる
→しかしフランス王女と3人の侍女に出会い4人はその場で恋に落ちてしまう
宮廷に出入りするスペイン人アーマードは恋するジャケネッタへの恋文を恋敵コスタードに託す
ビローンもロザライン宛の恋文をコスタードに託すがそれぞれ間違った相手に渡してしまう
→禁制をやぶっていることが発覚するが法令に無理があったと認め協力して求愛の作戦を練る
→ロシア人に変装して王女を訪れるが情報は漏れ王女たちは仮面をつけて応対し相手を間違える
→誤解が解け劇中劇を楽しんでいるとフランス国王崩御の知らせが届く
→王女たちは求婚者に禁欲生活を送ることを約束させてナヴァールを去り結婚はおあずけのまま


3-15. 『私はクリスマスにバラが欲しいとは思いません、
あと 5 月の花祭りに雪が降って欲しいとも思ってません。』 (第1幕第1場)
…ビローンが誓約に異議を唱える、シェイクスピアは人間の自然な生き方が好き


3-16. 『学問は我々人間に使える従者にすぎない。』 (第4幕第3場)
…恋をして誓約を破った後ろめたさを感じている3人にビローンが言う、テクノロジー


3-17. トーマス・ストタード
【フランス王女の到着 (第2幕第1場)】


3-18. ジョン・McL・ラルストン
【アーマードとコスタード (第3幕第1場)】


夏の夜の夢(A Midsummer Night's Dream)

…ロマンティックな夢幻劇の中に人間の赤裸々な愛欲や不和がつまっている

3-19. あらすじ
…アテネ、公爵シーシアスはアマゾンの女王ヒポリタとの結婚式を4日後に控える
→イジーアスの娘ハーミアが父親が勧める相手との結婚を受け入れず訴訟が持ち込まれる
→父親の望む相手と結婚しない娘は死刑か尼寺で暮らすのだとイジーアスはハーミアに忠告する
→ハーミアは相思相愛のライサンダーと駆落ちするという最終手段に出る
→イジーアスのお気に入りのディミートリアスはもとはヘレナの恋人だったがハーミアに浮気する
→ヘレナは一目でもいいからディミートリアスに会いたくてハーミアたちの駆落ちの話を教える、もちろんディミートリアスはふたりのあとを追いかける

→アテネの職人たちは公爵の結婚式のお祝いに劇を上演しようと森で稽古をする
→アテネの森の妖精王と女王が夫婦げんかの真っ最中で媚薬で怪物に惚れさせようとたくらむ
→たまたまヘレナを邪険にあつかうディミートリアスを見かけ媚薬を塗らせる、しかしパックが媚薬を塗ったのはハーミアと駆落ちしてきたライサンダーだったから大変である
→ライサンダーはヘレナに夢中になりヘレナはそれをたちの悪い冗談だと思い傷つき悲しむ
→間違いに気付いたオベロンはディミートリアスに媚薬を塗りふたりともヘレナを追い回す
→ヘレナはそれをハーミアのいたずらだと思って責め立て女同士の大げんかがはじまる
→オベロンは人間たちを眠らせそのあいだにライサンダーの魔法だけ解いて事態の収拾を図る、劇の稽古にやってきていた職人のひとりボトムをパックがいたずらしてロバ男に変える
→オベロンに媚薬を塗られた妖精の女王はロバ男ボトムに恋狂いする
→オベロンは妻の狂態を見るに見かねて魔法を解いてやりめでたく仲直りする
→二組の恋人たちもロバ男にされたボトムももとどおりになって無事アテネに戻る、婚礼の夜では三組の新婚夫婦が見守るなか職人たちの劇が上演されみな大喜びする
→披露宴もおひらきになり人間たちが寝しずまると妖精たちが祝福するため宮殿にやってくる


3-20. 『美しいものはすぐに滅びる。』 (第2幕第2場)
…ライサンダーが恋の挫折に嘆く、美しく儚いものへの哀惜、桜の花


3-21. 『本物の恋が無事に進んだ試しはない。』 (第1幕第1場)
…ライサンダーが恋の挫折に嘆いてハーミアに言う、この後に駆け落ちを決意する


3-22. 『甘いものほど取りすぎるとすぐ飽きる、胸やけして気分が悪くなる。』 (第2幕第2場)
…媚薬を塗られてヘレナに恋をしたライサンダーがハーミアに対して言う、恋の移ろいやすさ


3-23. ハインリッヒ・フュースリ
【ティターニアの目覚め (第3 幕第 1 場)】


3-24. ダニエル・マクリース
【魔法を解かれるボトム (第4 幕第 1 場)】


ヴェニスの商人(The Merchant of Venice)

…シャイロックを作ったのは勝ちだが闇に迷い込むことになる、ホロコーストを経験した現代では

3-25. あらすじ
…アントーニオは気が滅入っていたが理由が分からず友人たちも心配をする
→親友バッサーニオがやってきて求婚の費用を貸して欲しいと持ちかけられる
→アントーニオは商船に全財産を投資していたためユダヤ人の金貸しシャイロックから金を借りる
→シャイロックは期限までに返済できなければ肉1をポンドを切りとる条件を提案する、バッサーニオは取引に反対するがアントーニオは商船が帰還することを疑わず取引を交わす
→ベルモントではポーシャが父親の遺言で理不尽な婿選びの方法を指示され嘆いている、求婚者たちは幸いなことに外れくじを引き一生結婚しないと誓って去ってゆく
→シャイロックの娘ジェシカがロレンゾオと駆落ちし娘と財産を失ったシャイロックの狼狽する

→アントーニオの船が遭難したという知らせが入りシャイロックは怨みをはらす機会と喜ぶ
→バッサーニオは当たりくじを引きポーシャもバッサーニオが好きで結婚が決まる
バッサーニオと同行したグラシアーノがいつの間にか侍女のネリサと愛を交わす
→駆落ちしてきたロレンゾオとジェシカがヴェニスからの使者を伴ってあらわれる
→使者が手渡した手紙でアントニオの悲運を知りバッサーニオは喜びから不安へと突き落とされる、負債額を聞いたポーシャにその2倍でも3倍でも支払うと言われ少し安心して戻る

→裁判でシャイロックは頑として証文に明記されたとおりの処置を求める
→契約は有効と判断されアントーニオの肉が切りとられようとするポーシャが制する
→シャイロックは敗訴し殺人未遂の罪で全財産を没収されキリスト教への改宗も命じられる
→バッサーニオは裁判官に謝礼として泣く泣く指輪を渡しグラシアーノも書記に指輪を渡す
→美しい月明かりのもとでロレンゾオとジェシカが悲しい恋の物語を並べて立てて遊んでいる
→変装を解いたポーシャとネリサが帰ってきてアントーニオとバッサーニオたちも戻ってくる
→ネリサがグラシアーノの指から消えた結婚指輪をめぐって騒々しい夫婦げんかを始める、バッサーニオはなんとかこの場をやりすごそうとするが結局白状する
→ポーシャが笑いながら指輪をねだった裁判官は実は変装したポーシャ自身だったことを告白する、アントーニオはポーシャから渡された手紙で船がすべて無事港についたことを知らされる
→ロレンゾオたちにもシャイロックの財産が分け与えられることが伝えられ喜ぶ


3-26. 『その目に見られて私の心は半分になっちゃった、
半分はあなたのもの、残りの半分もあなたのもの。』 (第3幕第2場)
…バッサーニオが求婚しに来た時に一目惚れをして言う、ジャイアン


3-27. 『悪魔も自分勝手に聖書を引用しやがる。』 (第3幕第2場)
…ヤコブの話をするシャイロックにアントーニオが吐き捨てる、ユダヤ人とクリスチャン


3-28. 『好きになれなきゃ殺す、人間ってそんなものか?
憎けりゃ殺したくなる、人間ってそんなものだろ?』 (第4幕第1場)
…バッサーニオとシャイロックの掛け合い、対立しているがどちらにも肯定できる


3-29. アレクサンドル・カバネル
【ヴェニスの商人 (第3幕第2場)】


3-30. エドゥアルト・フォン・グリュッツナー
【シャイロック】


ウィンザーの陽気な女房たち(The Merry Wives of Windsor)

…ふとっちょのフォルスタッフがいざこざから恋へ転身をとげたかと思ったが結末はみじめだった

3-31. あらすじ
…イングランド南東部ウィンザー、好色の騎士ジョン・フォルスタッフは滞在しているが金がない
→フォード夫人とペイジ夫人に惚れられていると勘ちがいし色恋ざたで金にありつこうとする
→ふたりは恋文の文面が同じで腹を立てフォルスタッフを痛い目にあわせる計略を立てる

→フォードは妻が信じられずフォルスタッフにフォード夫人を口説き落としてくれと依頼する
→両方からわなにはめられているとも知らずフォルスタッフはフォード夫人を訪ねる
→フォルスタッフは洗濯物籠に押し込められテムズ川に投げ込まれるがへこたれない、いい気になって女の家に上がり込んでいるところへ突然亭主が帰ってくる
→洗濯籠だけはかんべんしてくれというフォルスタッフに女房たちは老婆のかっこうをさせる
→老婆が大嫌いな亭主は怒り狂ってフォルスタッフをめった打ちにする
→一部始終を知らされたフォードは妻を疑っていたことをわび夫婦仲ももとに戻る
→今度はみんなで協力してフォルスタッフを懲らしめる作戦を練る

→ウィンザーの森で夜お会いしたい森番ハーンの扮装でいらして下さいと手紙を送る
→フォルスタッフはわなとも知らず頭に角を生やした森番のなりで深夜の逢い引きやってくる
→突然おそろしい妖精たちに取り囲まれつねったりこづいたりされる、妖精は子供たちの変装
→このさわぎの間にフェントンはページの娘アンとひそかに結婚式を挙げ両親の祝福を受ける


3-32. 『愛のことは天に任せるのが一番、土地を買うのは金次第、妻を得るのは運次第。』 (第5幕第5場)
…フォードはフェントンとアンの結婚を祝福して言う、成り行きだから金でどうこうできないね


3-33. ジョン・スキナー・クリフトン
【ウィンザーの陽気な女房たちより (第3幕第5場)】


3-34. ジェームズ・ステファノフ
【ハーンの樫の前のフォルスタッフ (第5幕第5場)】


から騒ぎ(Much Ado about Nothing)

…人は騙すのをやめないだろう、大切なのは騙されないことではなくだ騙された後の身の振り方

3-35. あらすじ
…シチリア島北東部メッシーナ、知事レオナートの旧知の仲であるドン・ペドロが凱旋する
→ベネディックとベアトリスはいつもいがみ合いをしている
ベアトリスは求婚、結婚、後悔を「舞踏」にたとえて戯言を言う
クローディオはレオナートの娘ヒーローへ恋をしている
クローディオは恋心を打ち明けドン・ペドロは奇妙な提案をする
→それを立ち聞きしていたボラチオはさっそく主人のドン・ジョンに報告しクローディオを騙す
→すぐに誤解は解け一週間後には晴れて挙式の運びとなる

→ドン・ペドロは退屈しのぎとしてベネディックとベアトリスを恋仲にしてしまおうとする
→ベネディックとベアトリスは芝居を信じ込み恋焦がれる
→ドン・ジョンは悪い噂を流してなんとしても式を壊そうとする
→悪い噂を耳にしたクローディオとドン・ペドロはヒーローの浮気を確かめに出掛ける
→ボラチオは朋輩のコンラッドにうっかり作戦の詳細を話してしまい逮捕される
ドグベリー治安官は逮捕の報告をするが重大さが伝わらずそのまま結婚式を迎えてしまう
→ヒーローはクローディオとドン・ペドロから罵倒され失神する、修道士はヒーローを死んだことにして責める人々の気持ちを憐れみに変えようとする
→ベアトリスはベネディックにクローディオが許せないので殺してくれと迫る
→事件の首謀者がドン・ジョンだと明るみに出てそれを聞いたクローディオは狼狽し赦しを乞う
→レオナートはヒーローの無実を世間に知らせ哀悼の歌を捧げ瓜二つの姪と結婚せよと提案する
→霊廟ではヒーローを悼む墓碑銘がクローディオにより朗読され鎮魂歌が捧げられる
→翌朝クローディオは仮面をつけた女性の前に立ち愛の誓いをする、その女性は死んだと思っていたヒーローで驚きと喜びとに沸き立つ
→ベネディックがベアトリスに結婚前の愛情確認をするが素直に愛情を告白しない、しびれを切らした周りの者が互いに宛てた恋のソネットを暴露しふたりはしぶしぶ愛を認め合う
→音楽が流れ喜びの踊りを踊ろうとするところへドン・ジョン逮捕の知らせが入る


3-36. 『まあ、媚び売るような正直者じゃないけど立派な悪人であることは確かだね。』 (第1幕第3場)
…ドン・ジョンが潔く悪人宣言をする、ここで闇が見えないとバランスが悪くなる


3-37. マーカス・ストーン
【騙されてヒーローを責めるクローディオ (第4幕第1場)】


3-38. エドウィン・オースティン・アビー
【舞踏】


お気に召すまま(As You Like It)

…アーデンの森へ4人の男女が迷い込み道化と羊飼いが加わって織りなす恋のゲーム

3-39. あらすじ
…オーランドは自分の運を試そうと公爵の御前で行われるレスリングの試合に出る決意をする、レスリングの試合を追放された父を悲しむロザリンドがたまたま見かけ2人は恋に落ちる
→フレデリックに追放を命じられたロザリンドはシーリアと道化を連れてアーデンの森に入る
→オーランドもレスリングの勝利を妬む兄に命を狙われてアーデンの森に入る

→ロザリンドは遊び心から男装して旅に出て森に入ってもその姿のままでいる
→オーランドは死にそうな召使いアダムのために森の貴族を襲うが公爵に迎えられ一緒に暮らす
→ロザリンドもシーリアも同じような恋歌が書かれた紙を拾いオーランドの存在を知る
→オーランドがやってきてロザリンドは生意気な少年みたいに語りかけると恋バナになる、恋わずらいの治療として自分を恋するロザリンドだと思って口説かせようとする
→ロザリンドの恋の切なさは募り片想いに苦しむ羊飼いシルヴィアスをからかう
→血染めのハンカチをもった男が現れオーランドが傷ついたことを知りロザリンドは失神する
→その男は過去の非を悔い改めた兄オリヴァーでシーリアに一目惚れし結婚を申し込む
→兄の結婚を知ったオーランドはこころ穏やかではなく恋のゲームはおしまいだと告げる
→潮時だと感じたロザリンドは不思議な力で全員を結婚させてあげると言ってその場を立ち去る

→式に招待された公爵の前にロザリンドは変装を解いて現れ親子の再会を喜び合う、オーランドとロザリンド、オリヴァーとシーリア、シルヴィアスとフィービーは結ばれる


3-40. 『逆境が人に与える教訓ほどいいものはない。』 (第2幕第1場)
…公爵が一緒に暮らす貴族に言う、教訓とは自分の真の姿と人の温かさ


3-41. 『時間は人それぞれの速さで歩むものです。』 (第3幕第2場)
…男装したロザリンドがオーランドとの会話で言う


3-42. 『本物の恋をするものはみな一目で恋をする。』(第3幕第5場)
…男装したロザリンドに恋をしたフィービーが言う、マーローの引用


3-43. ダニエル・マクリース
【お気に召すまま (第1幕第2場)】


3-44. ウォルター・ハウエル・デヴァレル
【お気に召すまま (第4幕第1場)】


十二夜(Twelfth Night)

…陽気さ・叶えられぬ恋の痛みが、からかいの苦みを含みながら甘い切なさを醸し出す

3-45. あらすじ
…古代ギリシャのイリリア、公爵オーシーノは伯爵令嬢オリヴィアに片想いをする
→公爵は相手にされず片想いの苦しさを音楽でまぎらわす日々を送る
→イリリア沖にヴァイオラが漂着し男装してセザーリオと名乗り公爵に仕えることになる、ヴァイオラの双子の兄セバスチャンは行方知れずである
→公爵はセザーリオがすっかり気に入ってしまいオリヴィアへの恋の使者として選ぶ、ヴァイオラは公爵をひそかに愛していて気が進まないがオリヴィアのもとへ行く
→オリヴィアはセザーリオに恋してしまいヴァイオラは思いもよらずこころを痛める

→オリヴィアの伯父のトービーと遊び仲間のアンドルーが羽目をはずして楽しんでいる
→マルヴォリオに厳しく言われたアンドルーたちはオリヴィアへの恋心を利用し復讐しようとする
→再びオリヴィアをたずねたセザーリオにオリヴィアは真剣な愛の告白をする、セザーリオは冷たく返すしかなく遠くから見ていたアンドルーは故郷へ帰ると言い出す
→アンドルーの金で飲み食いしていたトービーはセザーリオとの決闘をけしかける

→双子の兄セバスチャンは船長アントーニオに救い出されちょうどイリリアにやってくる
→オリヴィアの前にマルヴォリオが現れ気持ち悪いのでトービーに手厚い世話をするよう託す
→セザーリオはアンドルーから決闘を申し込まれやむなく始めるが船長が飛び込んでくる
→捕らえられた船長が知らん顔をするセザーリオを恩知らずと言いヴァイオラは再会の望みを抱く
→セバスチャンはセザーリオと間違えられトービーと決闘になるがオリヴィアが仲裁する、セバスチャンは困惑しつつもオリヴィアの言いなりになり結婚式を挙げることになる
→オリヴィアは公爵に冷たくセザーリオに親しげなので公爵は激怒してセザーリオを殺そうとする
→アンドルー、トービー、セバスチャンがやってきて双子の兄妹が再会し誤解は解ける
→セザーリオとして男装したヴァイオラの想いを知った公爵はヴァイオラに求婚する
→公爵が結婚の喜びを語りながら一同が去りフェステが残りもの悲しい歌を歌う


3-46. 『音楽が恋の糧であるなら続けてくれ。』 (第1幕第1場)
…公爵オーシーノが苦しさを音楽でまぎらわすために音楽隊に命じる


3-47. 『人間の醜さとは心の醜さをおいて他にない。』 (第3幕第4場)
…船長アントーニオが知らん顔をされ裏切られたと誤解して吐き捨てる


3-48. ウォルター・ハウエル・デヴァレル
【十二夜 (第2幕第4場)】


3-49. ウィリアム・ハミルトン
【十二夜 (第5幕第1場)】


4. 悲劇 64項目

タイタス・アンドロニカス(Titus Andronicus)

…悲劇の種が所々詰まっているが作品としては血で血を洗う残酷さだけが売り

4-1. あらすじ
…古代ローマ、タイタス・アンドロニカスがゴート軍に勝利し凱旋
→敵の女王タモーラと情夫エアロンと3人の王子を捕虜として連れてくる、長男が見せしめ
→タモーラは復讐を誓いローマ皇帝となったサターナイナスと結婚
→エアロンと2人の王子は皇帝の弟のバシエイナスを殺害、タイタスの娘ラヴィニアの夫、ラヴィニアは強姦され、告げ口されないように舌と両手を切り落とされる
→エアロンはタイタスの2人の息子に殺人の罪を着せる
→タイタスが片腕を献上し命乞いをするが帰ってきたのは2人の首、復讐の鬼となる、タイタスは息子ルーシアスをゴート族に送り兵を挙げさせる
→タモーラはエアロンとの子を産む、エアロンはゴート族に預けに行くがルーシアスに捕まる
→タモーラたちはタイタスを丸め込もうとするがタイタスは見破る
→タイタスは2人の王子の喉を切ってラヴィニアの持つタライに血を集める
→タイタスは恥辱にまみれたラヴィニアを生かせないとサターナイナスの目の前で刺し殺す
→2人の王子の血と肉は料理の中にあると言いながらタイタスはタモーラを殺す
→サターナイナスがタイタスを殺す、ルーシアスがサターナイナスを殺して仇をうつ
→ルーシアスがローマ皇帝となりエアロンが生き埋めにされる


4-2. 『この恐ろしい眠りに終わりはないのか。』 (第3幕第1場)
…タイタスが復讐の鬼になる瞬間、苦痛な時間は永久に続くように感じる


4-3. サミュエル・ウッドフォード
【タイタス・アンドロニカス (第2幕第3場)】


4-4. トーマス・カーク
【タイタス・アンドロニカス (第4幕第2場)】


ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)

…恋愛悲劇の最高傑作、甘く切ないことばと卑猥な洒落の落差が深い味わいを作りだす

4-5. あらすじ
…イタリアの花の都ヴェローナ、モンタギュー家とキャピュレット家が対立
→モンタギュー家の一人息子ロミオがキャピュレット家の仮面舞踏会に潜入
キャピュレット家の一人娘ジュリエットと出会い、知らないままキス
→別れた後お互いに召使いから相手の正体を知り不安になる
→庭園に忍びこんだロミオは寝室のバルコニーでジュリエットと再会、結婚の約束をする
→ロミオはローレンス修道士のもとに向かい秘密裡に結婚式を挙げる
→キャピュレット家のティボルトとロミオの友人マキューシオが戦い始める、ロミオが仲裁に入るがティボルトの剣がロミオの腕の下からマキューシオの心臓をえぐる
→親友を殺されたロミオはジュリエットとの結婚も忘れティボルトを刺し殺し追放される

→ジュリエットに新しい縁談が来るが修道士からもらった劇薬を飲んで仮死状態になる
→ローレンス修道士はロミオに手紙を送っていたが戻ってきてしまう、ジュリエットと暮らせ
→ロミオはあとを追う決心をしてヴェローナへ向かいパリスと応戦して刺し殺す、死んでもなお美しいジュリエットに最後のキスをして毒を飲んで死ぬ
→入れ違いに目を覚ましたジュリエットは絶望のあまりロミオの短剣で自害する
→ローレンス修道士はことの顛末を話しそれを聞いた大公は天罰が下ったと嘆く
→両家は手を取り合って若いふたりの死を無駄にするまいと約束し合う


4-6. 深い女性心理の理解に基づき、人間の本質を鮮やかに描く
→テンポの速さが悲劇の効果を高める、稲妻、火薬
→ちょっとした行き違いで悲劇にも喜劇にも


4-7. 権力者の意向を無視するとどういう悲劇が起こるか?
…2人の死後に対立は本当に治まったのか?


4-8. ジュリエット
…淫らなものとそれを上回る宗教的な力、『私はここにいます、何か御用ですか?』聖書
→誓いはすぐ破られるもので男なんて信用できない、ロミオはエロス、ジュリエットはアガペ
→一夜を過ごしてから悲劇が押し寄せる、純真さは変わらない


4-9. 『おおロミオ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの?』 (第2幕第2場)
…バルコニーにいるジュリエットがつぶやいた独り言、切なさ、自立した恋を送る


4-10. 『他人の傷痕を嘲笑うのは傷の痛みを知らないやつだ。』 (第2 幕第2 場)
…仮面舞踏会でマキューシオらがロミオを恋人のことでからかい、ロミオがつぶやく


4-11. 『哲学なんかクソくらえだな、哲学でジュリエットが作れるのか?』 (第3幕第3場)
…追放されたロミオがローレンス修道士の慰めに反発して言う、知恵に対する情熱の反発


4-12. 『お金か、毒より恐ろしいな、人の心には。』 (第5幕第1場)
…ジュリエットが死んだことを知ったロミオが毒を買う時につぶやく、金の力がものを言う


4-13. フランク・ディクシー
【ロミオとジュリエット (第2幕第5場)】


4-14. フレデリック・レイトン
【ロミオとジュリエットの遺体と、モンタギュー家とキャピュレット家の和解 (第5幕第3場)】


ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)

…古代ローマの政治抗争をシェイクスピアが言葉の戦いに変えた、秀逸なレトリックに注目

4-15. あらすじ
…ローマ、ジュリアス・シーザーがポンペイを破って凱旋
→占い師が「3月15日に気をつけろ」と叫ぶがシーザーは気にも止めずに過ぎ去る
→シーザーに不満を抱くキャシアスはブルータスにジュリアス・シーザー暗殺をそそのかす、思い悩むブルータスだが公共の利益を考えて暗殺に加担する
→ジュリアス・シーザーが暗殺されブルータスが説明すると市民は一時は納得する

→シーザーの友人アントニーがシーザーの善行を称賛すると状況は一変する
→ブルータスの天幕にシーザーの亡霊が現れフィリパイの野で会おうと言って消える
→ブルータスは不吉な予感におびえるキャシアスを励まし最後の別れをする
→フィリパイの野で戦闘、キャシアスは誤って伝えられた自軍の敗北に絶望して自害する、親友の死を目の当たりにしたティティニアスもあとを追う
→ブルータスも敗色濃くなるとシーザーに鎮魂のことばをひとこと言って自害する
→その亡きがらを前にブルータスの高潔をアントニーが讃える


4-16. 『臆病者は死ぬまでに何度も死ぬ思いをする、勇者が死を味わうのは一度だけだ。』(第2幕第2場)
…行かないように説得する妻に対してシーザーが言う、臆病さを持ち合わせるからこそ


4-17. 『お前もか、ブルータス。』 (第3幕第1場)
…最後にブルータスが刺し、シーザーはこの言葉を残して死ぬ、信頼と裏切り、驚きと悲しみ


4-18. 『永久にさらばだキャシアス、再び会えたなら微笑み交わそうではないか。』 (第3幕第2場)
…ブルータスが戦闘開始前に言う、武人らしくていい、儚さと力強さ


4-19. ウィリアム・ホームズ・サリヴァン
【ジュリアス・シーザー (第3幕第1場)】


4-20. ジョージ・クリント
【ジュリアス・シーザー (第3幕第2場)】


ハムレット(Hamlet)

…復讐劇のようだが、実は世界文学初の本格的な人間の内面宇宙を問う推理劇

4-21. あらすじ
…デンマーク、先王ハムレットが亡くなりすぐに王妃ガードルードがクローディアスと再婚する
→留学先から呼び戻された王子ハムレットは陰鬱になり自殺さえ考えている
→ハムレットは城壁で父の亡霊と会い現王クローディアスに毒殺されたときの模様を語る、その日からハムレットは人間がすっかり変わってしまう

→ポローニアスは王子の錯乱は娘のオフィーリアに失恋したせいだと言いはる
→ハムレットは旅役者に心を動かされ父に復讐を誓ったくせに行動できない自分を責める
→父の亡霊から聞いた殺害の場面を王の前で旅の一座に演じさせることを思いつく、王殺害の場面になると王はうろたえ立ち上がり恐れおののいてその場を去る
→ハムレットは証拠を掴むが罪の懺悔をしている王を見かけ復讐を先延ばしにしてしまう
→王妃の居間に入り母を責め立てるが物音を聞きつけ王と勘違いしてポローニアスを刺し殺す
→それを聞いた王はハムレットを一刻も早くイギリスへやりそこで暗殺させようと図る
→父を亡くしたオフィーリアは正気を失い歌ったり取り止めもないことを口走ってばかりいる、イギリスで殺されているはずのハムレットから手紙が届く

→王はレアティーズを利用してを葬り去ろうと企てるが突然オフィーリアの溺死が知らされる
→ハムレットは墓地で妹の死骸を抱いて大げさに嘆くレアティーズとつかみ合いの喧嘩になる
→ハムレットはレアティーズと剣の試合をし猛毒を塗った剣で刺される、策略に気づき剣を奪ってレアティーズを刺し返す
→王妃は苦しみだしワインに毒が入っていることを告げて息絶える
→レアティーズがみずから剣先に塗った猛毒で死ぬはめになった、王にこそ罪があると訴えて死ぬ
→ハムレットは剣で王を刺し毒杯を飲ませ王を殺すが体中に毒はまわり口も自由にきけなくなる
→ポーランドから凱旋中のノルウェー王子を迎える砲声が聞こえる、ハムレットはホレイシオにあとを託しフォーティンブラスをデンマーク王に推し死ぬ
→ハムレットの遺体が高々とかかげられ弔砲がとどろく


4-22. 自殺・絶望・自己嫌悪は現代人そのもの、復讐が復讐を呼び全て終わってももやもやが残る


4-23. オフィーリア
…自分を持ってない、ハムレットとの愛はあったのか?生きてると厳しい言葉、死ぬと愛する言葉
→ハムレットに愛はない、性欲と気まぐれがあるだけ、オフィーリアは弁護も否定もしない、弱さ
→狂気、父の死か?ハムレットがいないことか?死はハムレットに新しい生活をもたらす


4-24. 『心弱きもの、お前の名は女!』 (第1幕第2場)
…ハムレットがガードルードに失望して言う、女性観が覆り女性不信になる


4-25. 『人は微笑み、微笑み、そして悪党である。』 (第1幕第5場)
…ハムレットは何もかも奪ったクローディアスの笑顔を思い出して言う、見せかけと真実


4-26. 『このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。』 (第3幕第1場)
…ハムレットは復讐をできないままの自分を省みて言う、現状維持で苦しむか死ぬ気で打破するか


4-27. ウジェーヌ・ドラクロワ
【墓地のハムレットとホレイシオ (第5幕第1場)】


4-28. ジョン・エヴァレット・ミレイ
【オフィーリア】


オセロー(Othello)

…嫉妬の観察実験から分かったのは過ぎ去った時間は戻らないという痛ましい真実である

4-29. あらすじ
…イアーゴは旗手のまま据えおき青二才のキャシオを副官に選んだオセローが気に入らない
ロデリーゴは黒人のオセローに彼女を横取りされたのが気に入らない
→ふたりは真夜中デスデモーナの父親ブラバンシオを起こし二人の秘密裡の結婚を知らせる
→ブラバンショーは激怒するがオセローが彼女とのなれそめを話すと美しいみな感動する
→デスデモーナが現れオセローとの結婚を公にしたためこの件は落着となる

→オセローは総督としてサイプラス島に赴任することが決まりデスデモーナとともに島に渡る
→イアーゴはオセローを陥れる計画を実行する
見酒に弱いキャシオにむりやり飲ませ喧嘩騒ぎを起こしキャシオは免官される、イアーゴは悲しむキャシオに妻のデスデモーナに復職を頼みこむのが一番だともちかける
→キャシオはデスデモーナの情けに訴えているところをオセローに見せ言葉を使って嫉妬させる
→イアーゴは妻に命じてデスデモーナのハンカチを奪いキャシオの部屋に落とし証拠とする
→愛人ビアンカの話でキャシオがにやけ顔になりビアンカがハンカチをちらつかせる

→オセローは気配で目を覚ましたデスデモーナに殺害の理由を話し絞め殺す
→ロデリーゴはイアーゴにそそのかされキャシオを殺そうとして逆に殺されてしまう
→エミリアが経緯を話しオセローは無実の罪でデスデモーナを殺したことに気付く
→イアーゴは余計なことをしゃべったエミリアを刺し殺して逃げ去るがすぐに捕らえられる
→イアーゴを誠実と信じて疑わなかったオセローはここに至ってやっと目が覚める
→大切なものを失い茫然自失のなかオセローは妻を殺したいきさつを弁明しながら自ら命を絶つ


4-30. イアーゴの目を通して話がすすむ、キャシオーとは対照的、恋とは性欲


4-31. デズモデーナ
…父親を騙してしきたりを破ってまで結婚、伏線となる、感じていた愛が疑いに変わる
→騙されていることに気づかない、ハンカチ、わからないまま心を閉ざされどうしたらいいのか?
→許しを乞えば乞うほどオセローの怒りが増す、いい人すぎて死によって救済者の役割を果たす
→いい人すぎて周りを破滅させ自らも破滅する


4-32. 『父親になどなるものではないな。』 (第1幕第1場)
…ブラバンショーが娘の結婚を知って嘆く


4-33. 『嫉妬は緑色の目をした怪物で、人の心を餌とし、もてあそぶのです。』 (第3幕第3場)
…イアーゴがオセローを嫉妬させるために言う、青い目が黄色い嫉妬に燃えると緑色


4-34. 『愚かにではあるがあまりにも深く愛した男であった。』 (第5幕第2場)
…オセローが過ちを知りこのように報告してくれと頼む、愛するがゆえに


4-35. ダニエル・マクリース
【オセローとデズデモーナ (第3幕第3場)】


4-36. テオドール・シャセリオー
【オセローとデズデモーナ (第5幕第2場)】


リア王(King Lear)

…最後まで希望はないが現代に通じるこの重荷を私たちは回避せずに受け取るしかない

4-37. あらすじ
…年老いたリア王は3人の娘に王国を譲ろうとしているが気まぐれから3人の娘の愛を試す
→長女ゴネリルと次女リーガンは孝行娘の役を演じるが三女のコーデリアは思いやりからできない
→コーデリアは追放される、バーガンディ公は求婚を取り下げる、フランス王は迎え入れる

→リア王は残された娘にもてなしを期待するがゴネリルから冷たくされリーガンを頼ろうとする
→リーガンは姉からの手紙でふたりの不仲を知りリア王に会いたくないと重臣グロスターを訪れる
→グロスターの愛人の子である次男エドマンドは正妻の子である長男エドガーを陥れ領地を獲得
→リア王はリーガンに同情と憤慨を期待するが返ってきたのは老いた父への非難である
→リア王はここで娘たちの真意を思い知り正気を失って道化と嵐の荒野に飛び出し彷徨う
→ケントが小屋の中へと避難させると中にトムと名乗ってやり過ごすエドガーがいる
→そこへグロスターがリア王を安全な場所にかくまうためにやって来る

→コーデリアの嘆願により父を救い出すべくフランス軍がドーヴァーまで進軍する
→グロスターはエドマンドに密告されコンウォールとリーガンから拷問を受け両目をくりぬかれる
→追放されたグロスターは絶望のなか裸のトムに出会い苦難に耐えて生き抜く決意を促される
→ドーヴァーまで進軍したフランス軍の陣営でコーデリアは変わり果てたリア王と再会する
→フランス軍はブリテン軍との戦いに敗れリアとコーデリアは捕虜になる
→リーガンがエドマンドとの仲を嫉妬したゴネリルによって毒殺される
エドマンドがエドガーに決闘で打ち倒されそこへゴネリルの自害が知らされる、エドマンドは最期の息でリアとコーデリアに刺客を向けたことを告白する
→ときすでに遅く絞殺されたコーデリアの死体を抱いたリア王がよろめきながら現れる
→正気を失ったリア王はコーデリアの死を嘆きながら生き返ることを願いつつ息を引き取る
→エドガーが悲しい時代の責務を負う決意を述べる


4-38. 人間観・女性観が近代的、始まりから不必要なまでに急かされている、小屋が精神成長の分岐点


4-39. コーデリア
…道化はコーデリアの裏返し、リア王はコーデリアとの再会で自己認識、許しを乞う
→リア王は牢獄の中でもコーデリアといれば自由、ハムレットは自由の身でも世界は牢獄
→最後は殺された娘と嘆く父という質素さ、キリストの母の嘆き「ピエタ」を連想させる


4-40. 『人間から衣装を剥ぎ取れば、お前のような哀れな裸で二足歩行の動物にすぎない』 (第3幕第4場)
…リア王はエドガーの乞食の姿を見て呟く、職業や肩書きで判断してしまう、みんな同じ


4-41. 『人が生まれてくるときに泣くのはアホどもの舞台に出されたのが悲しいからさ』 (第4幕第6場)
…裏切られたリア王が荒野で両目を裏切られたグロスター伯に出会って言う


4-42. ルイ・ブーランジェ
【嵐の中のリア王と道化 (第3幕第2場)】


4-43. ジェイムズ・バリー
【コーディリアの亡骸に涙するリア王 (第5幕第3場)】


マクベス(Macbeth)

…王位を奪った者がたどる転落を冷徹に描く、奪い取ったスコットランドはどこにあるのだろう?

4-44. あらすじ
…スコットランド、将軍マクベスとバンクォーはノルウェー軍を討伐する
→ダンカン王の陣営への帰路で三人の魔女から予言のことばをかけられる、マクベスはコードーの領主からスコットランド王となりバンクォーの子孫が王になるという
→魔女はすがたを消すとマクベスはコードーの領主に格上げされ王位への野望を抱き始める
→マクベス夫人は気弱な善人の役を演じる夫を唆し力ずくで王位を手に入れさせようと考えている
→マクベスは王の暗殺に成功するが良心の呵責に苛まれる
→マクダフは惨事を目にし報告を受けたマクベスは見張りの兵を謀反人としてその場で殺す
→王の2人の息子は危険を察知しイングランドとアイルランドへと逃げのびる

→マクベスは王位を手に入れるが子を持たないのでバンクォーの子孫に王位を奪われると考える
→刺客を向けバンクォーの殺害は果たすが息子は取り逃がしてしまう
→王就任の祝宴の席でマクベスだけがいるはずのないバンクォーを見て取り乱す、転落の始まり
→不安から逃れたいマクベスは魔女を訪れ自分の将来を予言してもらう、マクダフに気をつけろ、バーナムの森が動かぬかぎりマクベスは滅びないという
→マクベスはマクダフ夫人と息子を殺すがマクダフはイングランドでマクベス討伐の準備を行う
→気丈だったマクベス夫人が夢遊病で苦しむ
→戦いが始まるとマクベス側の領主たちは次々に離反してゆくがマクベスは虚勢を張り続ける
→マルカム軍が身に付けた木をバーナムの森と勘違いし森が動いたからはこれまでと覚悟を決める
→マクベスはマクダフとの一騎打ちではじめて魔女のことばにまどわされてきた自分に気づく
→マクベスの首が全軍に掲げられマルカムが高らかにスコットランド王即位を宣言する


4-45. ・ちょっとしたきっかけで道を外れて破滅する、魔女はこれから起こることを述べただけ
…殺人方法はマクベスやマクベス夫人が潜在的に思っていたこと、話しあっていたのか?
→マクベスの独白の言葉とキリストはユダに言い放つ言葉が重なる


4-46. マクベス夫人
…尻に敷くタイプ、ヒロインと同時に悪役というのが独特だった
→子供を殺される場面では犠牲者として登場、マクベス以上に主人公らしく振る舞う、野心的
→ためらっているマクベスを急かしいきなりクライマックス、オセローとは対照的
→マクベスは殺人後良心がなくなる、マクベス夫人は殺人後良心が戻る、マクベスは亡霊を見る
→ダンカン王暗殺の知らせで気絶、女性特有の思いやり、超自然の力


4-47. 『良いは悪いで悪いは良い。』 (第1幕第1場)
…3人の魔女がマクベスに呪文のように唱える、善も悪になる瞬間はあるし逆も然り


4-48. 『どんなに荒れ狂う嵐の日でも時間は過ぎる。』 (第1幕第3場)
…国王ダンカンを殺す恐ろしさに迷いながら呟く、長く感じる悲しく辛い時間への慰め


4-49. 『人生は歩き回る影法師、哀れな役者さ。』 (第5幕第5場)
…夫人が死んだと聞いてマクベスが人生を悟って言う、人生の儚さを厳しく刻む、すぐ忘れられる


4-50. テオドール・シャセリオー
【マクベスと3人の魔女 (第1幕第3場)】


4-51. ハインリッヒ・フュースリ
【夢遊病に冒されたマクベス夫人 (第5幕第1場)】


アントニーとクレオパトラ(Antony and Cleopatra)

…エジプトとローマ、官能と戦争、このふたつが死の影を帯びつつ荘厳な調和を保つ

4-52. あらすじ
…武将アントニーはエジプトの女王クレオパトラの色香の虜となり周囲をあきれさせている
→妻のファルヴィアがシーザーとの戦いに負けたあと病死したという知らせが入る
→アントニーの心は揺れるがクレオパトラの嘆願も振り切ってローマへ帰る
→シーザーとの仲を修復しようとアントニーはシーザーの姉オクテイヴィアと結婚する
→アントニーはシーザーと和解してポンペイとの戦いに備える
→アントニーがオクテイヴィアと結婚したと知りクレオパトラは激怒する

→ポンペイとの和議が整うがシーザーはレピダスと組んでポンペイに戦いをしかけ打ち破る
→アントニーはシーザーの専横ぶりが許せない
→オクテイヴィアはシーザーにアントニーの不実を吹き込まれシーザーにつく
→シーザーとの戦いが始まりクレオパトラとアントニーはあきらかに不利な海戦を選ぶ
→クレオパトラがおじけづいて逃げ出しアントニーもあとを追ったため一気に勝負がつく

→シーザーはクレオパトラの嘆願にだけ耳を傾けクレオパトラはシーザーに媚びる
→アントニーは憤りながらも自分の凋落を予感し最後の力をふりしぼってシーザーと戦い敗れる
→裏切りに怒り狂ったアントニーはクレオパトラにあらんかぎりの悪態をつく
→アントニーの愛を取り戻そうとクレオパトラは自殺したとアントニーに伝える
→アントニーはあとを追って自決しようとしたが剣が急所を外れて死にきれない、従者たちの手でクレオパトラのいる霊廟に運ばれ女王の腕の中で息絶える
→アントニーの死を知るとシーザーはクレオパトラに使者を送り捕虜にする
→クレオパトラはひそかに差し入れさせた毒蛇に胸を噛ませて死ぬ
→それを予見していたシーザーはクレオパトラをアントニーのかたわらに葬ることを命じる


4-53. 『どのくらいと言えるような愛は卑しい愛に過ぎぬ』 (第1幕第1場)
…クレオパトラと登場したアントニーの第一声、男が苦手とする質問に対して見事に切り返す


4-54. 『神は我々を人間とするために何らかの欠点を与える』 (第5幕第1場)
…アントニーの詩が伝えられた時にアグリッパがミシーナスに言う、欠点があるから愛される


4-55. ローレンス・アルマ=タデマ
【アントニーとクレオパトラの出会い】


4-56. ウジェーヌ・ドラクロワ
【クレオパトラと農夫】


コリオレイナス(Coriolanus)

…高潔さも勇気も献身も階級的差別と偏愛により帳消しにされる、同時に政治劇でもある

4-57. あらすじ
…ケイアス・マーシアスは国家への功績はあるが傲慢な態度と母親への異常な愛により非難される
→マーシアスはヴォルサイ人と戦い敵城内に取り残されるが奇跡の生還を果たす
→ローマ軍はコリオライを占領しマーシアスにコリオレイナスという名が与えられる
→執政官に任命されるが正式に執政官になるためには市民の承諾が必要であり結局追放される
→コリオレイナスは宿敵オフィーディアスを尋ねローマに復讐するために手を組む
→オフィーディアスはコリオレイナスの高慢な気性を利用して追い落とす計画を立てる
→ローマの護民官たちはヴォルサイ人を恐れコリオレイナスに思いとどまるよう言うが変わらない
→コリオレイナスのもとに喪服姿の母ヴォラームニアが妻のヴィルジーリアと子供を連れて現れる
とうとう母のことばに負けローマとの和解を決意しオフィーディアスはほくそ笑んでいる
ローマは街を上げて喜びコリオレイナスはヴォルサイ人から大歓迎を受ける
オフィーディアスにローマ人との取引を裏切り呼ばわりされると取り乱しその隙に暗殺される
オフィーディアスはリオレイナスを暗殺した理由を弁明し死体がおごそかに運ばれる


4-58. 『ああ、人の世のなんと移ろいやすいことか!』 (第4幕第4場)
…敵将オーフィディアスに頭を下げてまでローマに復讐しようとするコリオレイナスの叫び


4-59. 『毛虫と蝶は全く違う、だけどその蝶ももとはと言えば毛虫だ。』 (第5幕第4場)
…コリオレイナスの変貌ぶりに驚くシシニアスにメニーアスが言う、人は良くも悪くも変わる


4-60. フランシス・ブルジョア
【コリオレイナスの一場面 (第2幕第3場)】


アテネのタイモン(Timon of Athens)

…富を失い友に裏切られあらゆる人間を憎み呪いながら破滅していった男の悲劇

4-61. あらすじ
…アテネ、貴族タイモンは気前よさから困っている人に財産を惜しみなく分け与える
→財産目当てに近づいてくる人々を友と呼ぶタイモンを皮肉屋の哲学者アペマンタスはあざ笑う
→タイモンは借金がかさんでゆくが友人たちに借りて返済はできると考える
→タイモンの窮状を聞かされても彼に貸そうとする者はひとりとして現れない、それまで友と信じてきた者たちの実態を知ってタイモンは怒りと絶望のあまり狂気に陥る
→軍人アルシバイアディーズは友人が犯した罪を許して欲しいと願い出るが許されず追放される
→富と信じる心を失いアテネを去ったタイモンは世捨て人として海岸に近い森の洞窟に住む
→アテネを滅ぼそうとするアルシバイアディーズの反乱軍が通りかかり掘り当てた金を与える
→タイモンは忠実な執事フレイヴィアスと話し温かい気持ちになるがすぐに追い返す
→噂を聞きつけた人々や反乱を鎮めたい元老院議員らが洞窟を訪れる
→タイモンは聞く耳を持たずアテネはアルシバイアディーズの反乱軍に降伏する
→戦わず勝利を得たアルシバイアディーズのもとにタイモンの死が伝えられる


4-62. 『絵に描かれたものこそあるがままの人間と言っていい。』 (第1幕第1場)
…期待した画家が自身の絵を献上した際にタイモンが言う、生きている人間は見せかけ


4-63. 『ああ、恩知らずとなって現れる時の人間ほど恐ろしいバケモノはない。』 (第3幕第2場)
…金の援助を拒絶したルーシアスを見た外国人が呟く、忘恩の悲劇、シェイクスピアの実生活


4-64. ジョン・モイル・スミス
【アテネのタイモン (第5幕第2場)】


5. 問題劇 16項目

トロイラスとクレシダ(Troilus and Cressida)

…ここまで投げやりになれるのかというくらいに恋と戦争を風刺する、苦々しい後味

5-1. あらすじ
…スパルタ王メネレイアスの妻ヘレンがトロイの王子パリスに奪い去られトロイ戦争が始まる
→トロイの王子トロイラスは神官カルカスの娘クレシダが好きで戦意を喪失している
クレシダはトロイラスに惹かれているが男の浮気が不安で身をまかせられない
→ユリシーズはアキレスのせいで戦争が進まないと主張する
→トロイの王子ヘクターから一騎打ちの提案がされる、トロイでは調停案をめぐりヘクターとトロイラスが真っ向からぶつかり合い結局拒否する
→パンダラスによりトロイラスはやっとクレシダを手に入れるが捕虜交換で引き裂かれる
→クレシダは心はトロイラスから離れることはないと誓い手袋を渡す
トロイラスはクレシダが心変わりしなければ会いにゆくと約束して片袖を渡す

→クレシダはひとが変わったように奔放な女に変わる
→ヘクターとエイジャクスの一騎打ちが始まるがヘクターは一騎打ちを中止してしまう
→立派なふるまいにギリシア軍は感動しヘクターとトロイラスを招待して盛大な宴を催す、トロイラスはクレシダに会いに行くがクレシダはダイオミディーズと痴話を交わしている
→クレシダはトロイラスの愛のしるしである片袖を目の前でダイオミディーズに渡す
→戦争が再開されトロイラスは片袖をつけたダイオミディーズに復讐しようとする
→ヘクターは敵将を打ち倒すがアキレスを怒らせ卑劣な手段で惨殺され死骸を馬で引き回される
→トロイラスはヘクターを失い呆然となりながらも復讐心を燃え上がらせている
→パンダラスが取り持ち役は損な役回りだと苦々しくつぶやく


5-2. 『名誉の道は狭く、二人並んで通るほどの余裕はない』 (第3幕第3場)
…ヘクターとエイジャックスの一騎打ちの際にユリシーズがアキレスに言う、プロの世界


5-3. 『落ちたと分かるのは自分が感じるよりも先に他人の目が教えてくれる』 (第3幕第3場)
…アキレスが武将たちに冷たくされ悟って呟く、自分はやれると思っていても


5-4. 『あれはクレシダであってクレシダではない!』 (第5幕第2場)
…ダイアミディーズに片袖を渡してしまったクレシダを見てトロイラスが嘆く


5-5. アンジェリカ・カウフマン
【神官カルカスの天幕で (第5幕第2場)】


5-6. エドワード・ポインター
【クレシダ】


終わりよければすべてよし(All's Well That Ends Well)

…成熟してるのに認めてもらえないので自分の魅力を試そうと夜の町ではめを外す困った少女

5-7. あらすじ
…ヘレナは両親と死に別れロシリオンの伯爵夫人の世話になっている
→ヘレナは身分違いのかなわぬ恋と知りつつ伯爵夫人の息子バートラムに恋心を抱く
→バートラムがフランス国王に仕えるためパリへ発つとヘレナも追いかける
→ヘレナは医師であった父から授かった秘術で治療すると王は病は奇跡の回復する
→王の命によりヘレナはバートラムとめでたく夫婦となる
→バートラムは書き置きを残してイタリアの戦場へと旅立ち途中でダイアナに求婚する、バートラムの求愛を受け入れる返事をさせる
→バートラムはヘレナが巡礼の途中で病死したというウソの知らせを聞き喜んでフランスへ戻る、フランスではみなヘレナが死んだものと信じて波紋が拡がる
→王の怒りを鎮めるためバートラムと老貴族ラヒューの娘を結婚させようとする
→バートラムが二度目の結婚話を進める中でダイアナにもらった指輪がヘレナのものだとわかる、真相をめぐり2人は議論するが指輪が証拠となりバートラムは一気に不利になる
→バートラムはもらった指輪は返すから自分の指輪も返してくれと言う
→ダイアナは王を翻弄し王が彼女を投獄しようとすると死んだと思っていたヘレナが現れる
→ヘレナは全てを告白し指輪も子供も言われたとおり手に入れたから夫になってくれと嘆願する
→バートラムはそこまでするヘレナに心打たれ謝罪しヘレナを愛することを誓う
→王は終わりよければすべてよしと観客に拍手を求める


5-8. 『若くして結婚、人生の欠損』 (第2幕第3場)
…ペーローレスがバートラムを励ます、結婚は人生の墓場というシェイクスピアの本音


5-9. 『人の一生は善と悪が混ざった糸で編まれた網である』 (第4幕第3場)
…貴族のやりとりの中、貴族 1 が言う、端役に名言を吐かせる、愚行をコモンセンスから批判


5-10. 『終わりよければすべてよし』 (第4幕第4場) (第5幕第1場)
…ヘレナが2度言う、翻弄される辛さへの慰めか、その辛さに耐えただけ大きく感じる喜びか


5-11. アーサー・ボイド・ホートン
【終わりよければすべてよしより (第4幕第3場)】


5-12. フランシス・ウィートリー
【ロシリオンの伯爵邸 (第5幕第3場)】


尺には尺を(Measure for Measure)

…衝動を前にして人間はどこまで変わってしまうのか?人間の倫理的弱点を鋭くえぐる

5-13. あらすじ
…ヴィエナ公爵はアンジェロを使って権力がその人物をどんな風に変えるのか見てみようとする
→ヴィエナでは婚前に女性を妊娠させた男子は死刑に処すという法律があるが放置されている
→アンジェロはすぐにその法律を執行し婚約者を妊娠させたクローディオが犠牲となる、クローディオの妹イザベラはアンジェロに取り下げるよう求める
→アンジェロはイザベラの肉体の魅力に取り憑かれ自分と寝れば兄は助けると提案する
→イザベラは牢獄の兄のところへ出向いて話をする
→公爵はアンジェロの婚約者マリアナにイザベラの代わりを務めさせようとする
→イザベラは要求に応じるふりをし身代わりを依頼するがアンジェロはクローディオを死刑にする
→イザベラが公爵にアンジェロの不正を糾弾するが公爵はイザベラを狂人として扱う

→修道士になりすまして再び登場した公爵はつらい立場にあるイザベラとマリアナを慰める
→修道士は2人の女を唆して君子の鑑のようなアンジェロを糾弾させた張本人だと投獄されかける
→公爵は僧衣を解きアンジェロに対して裁きを始めアンジェロに死刑を言い渡す
→マリアナは抗議するが公爵は聞き入れない、イザベラに助けを求める
→イザベラは個人的な憤りを押し殺しマリアナのためにアンジェロの命乞いをする
→公爵はこれまで死んだと偽ってきたクローディオを連れてこさせイザベラに引き合わせる
→公爵が唐突にイザベラへ求愛をする


5-14. 『一体どうした?これは彼女の罪か私の罪か?
誘惑する者とされる者どっちの罪が重いのか?』 (第2幕第2場)
…アンジェロが自分の性欲に狼狽えて言う、浮気など


5-15. ロバート・スマーク
【エスカラスと判事による取り調べ (第2幕第1場)】


5-16. ウィリアム・ホルマン・ハント
【クローディオとイザベラ (第3幕第1場)】


6. ロマンス劇 17項目

ペリクリーズ(Pericles)

…死の悲劇から、再生・再会のロマンス劇へと転換し、命が引き継がれる生の循環に思いを託す

6-1. あらすじ
…中世の詩人ガワーの霊がよみがえり古い話を語り出す
→タイアの領主ペリクリーズは求婚者に加わるが王女が王と近親相姦の関係だと見抜く
→秘密を悟られたアンタイオカス大王の刺客に狙われペリクリーズはサーサスへ逃げる
→ペリクリーズは救世主と仰がれ安泰な日々が続くがヘリケイナスから手紙が届きサーサスを去る
→大嵐に遭いペリクリーズは海を漂うがペンタポリスの海岸に打ち上げられ漁師に助けられる
→まだ運の尽きていないと思い宮廷で開かれる槍の試合に出て優勝する、これを見た王女セイーサと結婚したペリクリーズはアンティオック親子の死を機に帰国する
→再び大嵐に遭い荒れ狂う船上でセイーサは女の子を出産するがそのまま息を引き取り棺を流す、棺はエフェサスで医師のセリモンに拾われセイーサは治療によって息を吹き返す
→ペリクリーズは娘マリーナをサーサスのクリオン夫婦に預けることにする

→14年が経過する、マリーナは海賊に誘拐され売春宿に売られているが身を清く生きる
→ミティリーニの太守ライシマカスのおかげで堅気のひとのもとで歌や踊りを教えて暮らす
→ペリクリーズは心を閉ざしたままだがたまたまミティリーニに立ち寄る
→ライシマカスはマリーナを呼び寄せて歌を歌わせる、妻に似た顔立ちにペリクリーズは不思議と惹かれマリナに身の上話を聞くと娘だと分かる
→娘との再会に恍惚とするペリクリーズにダイアナ神が現れエフェサスへ行くことを命じる
→エフェサスでダイアナ神の巫女をしている妻のセイーサと再会する
→さらにマリーナとライシマカスの結婚も決まる


6-2. 『悲しみは必ず連れを連れてくる、さらに強い悲しみを。』 (第1幕第5場)
…飢饉で苦しむサーサスに艦隊が来て太守クリーオンは国を滅ぼしにきたと思い呟く


6-3. エドワード・バード
【ペリクリーズ (第2幕第1場)】


6-4. アーサー・シェーナー
【ペリクリーズ (第4幕第1場)】


シンベリーン(Cymbeline)

…筋に多少の無理はあるが舞台効果を満載したまさに絵に描いたような波瀾万丈の物語

6-5. あらすじ
…古代ブリテン、王シンベリンには2人の王子と1人の王女がいる
→王子は幼くして行方知れずとなり王女のイモージェンをかわいがっている
→イモージェンは勝手に身分の低いポステュマスと結婚したためポステュマスは追放される
→ポステュマスはローマの友人イアーキモを訪れイモージェンの貞節をめぐる賭けを行う
→イアーキモはイモージェンの唇を奪おうとするが拒絶される
→寝室に潜り込みステュマスの愛の贈り物である腕輪を彼女の腕から抜き取ってローマに戻る
→ローマに帰ったイアーキモは偽りの報告をするが腕輪で信じイモージェンの殺害を命じる

→宮廷ではイモージェンと王の後妻の息子クローテンとの結婚が勝手に進んでいる
→イモージェンはピザーニオのすすめで男装してローマの将軍リューシャスの従者となる
→道に迷い疲れ果てて洞窟に入り込みそこを住処にする猟師一家に歓待される
→もらった薬を飲むとそれが強い作用の薬だったため仮死状態になる
→クローテンはポステュマスの服を着てイモージェンを追ってきたが洞窟の前で猟師に殺される
→猟師たちはイモージェン(フィディーリ)を首なしのクローテンとともに埋葬する
→目覚めたイモージェンは絶望しているところをローマの将軍に助けられる
→ブリテンとローマの激戦となりブリテン側に加勢した猟師たちの功績によりブリテンが勝利する
→ポステュマスはローマ人と偽って捕虜になるとすべてが明るみに出て誤解が解ける
→猟師親子が幼いときに行方不明になった2人の王子と忠実な家臣ベレーリアスと分かる


6-6. 『いいか、あの上から見下ろすと俺がカラスくらいに見えるだろう、
つまり、ものが大きくも小さくも見えるのは位置のせいだ。』 (第3幕第3場)
…ベレーリアスは狩りの時に2人の王子に言う、ものの見方は立場で違う


6-7. ヴィルヘルム・フェルディナント・ズーション
【イモジェン (第2幕第2場)】


6-8. ヘンリー・シグルトン
【シンベリーン (第4幕第2場)】


冬物語(The Winter's Tale)

…嫉妬が男から全てを奪うが後悔に耐える男を時はやさしく包む、和解と再会のロマンス劇

6-9. あらすじ
…シチリア、王レオンティーズは幼友達であるボヘミア王ポリクシニーズと王妃を疑う
→家臣カミロにポリクシニーズの毒殺を命じるがポリクシニーズに真実を話しボヘミアへ逃げる
→レオンティーズは王妃の不義が実証されたと思い彼女を牢に閉じ込めてしまう
→王妃は獄中で女の子を出産するがその子をポリクシニーズの娘だと信じ王女を荒野に捨てさせる
→裁判が開かれレオンティーズは死刑をちらつかせて脅すが王妃はまったく動じず信託を要求する
→神託によれば王妃もポリクシニーズも潔白であるがレオンティーズは神託を信じようとしない
→王子の急死と王妃ハーマイオニーの死が報告されレオンティーズは罪の深さにおののく
→アンティゴナスは夢に出た王妃の望み通り赤ん坊にパーディタという名前を付ける
→アンティゴナスはパーディタを荒野に置いて帰ろうとするところ熊に襲われて死ぬ、置き去りにされたパーディタは運良く羊飼いの親子に拾われる

→「時」が登場し16年の経過を告げる
→ボヘミアで成長したパーディタはポリクシニーズの息子フロリゼルと恋仲になっている
→王は収穫を祝う毛刈祭の日に変装して羊飼いの家を訪れ客として村人たちに混じり込む
→フロリゼルからパーディタと結婚するつもりだと聞きポリクシニーズは別れるように命じる
→フロリゼルは王位継承権を棄てパーディタと旅立つ決心しカミロはレオンティーズを勧める
→シチリアではレオンティーズが贖罪の日々を送っていてふたりの若者で子供達を思い出す
→同行した羊飼いの持ち物からパーディタがレオンティーズの娘と分かり宮廷は喜びに沸く
→フロリゼルのあとを追ってきたポリクスニーズとレオンティーズの再会で2人が和解する
→ポーライナがハーマイオニーの石像を披露しレオンティーズは悲しみに暮れる
→ポーライナにかくまわれてひっそり生きてきたのハーマイオニーが現れパーディタに語る
→レオンティーズは妻と友に謝罪をし若い王子と王女の婚約を祝福する


6-10. 『でも人の手で自然のものは良くなるし、その人の手も自然のものじゃない。』 (第1幕第2場)
…人の手が加わったものを嫌うパーディタに対してポリクシニーズが優しく諭す、包含させる


6-11. ジョセフ・ライト
【嵐、熊に追われるアンティゴナス (第1幕第2場)】


6-12. フランシス・ウィートリー
【パーディタ、フロリゼルとポリクシニーズ (第1幕第2場)】


テンペスト(The Tempest)

…復讐と赦し・束縛と解放が主題だが目にするのはほとんど宗教の域に達するほどの精神の運動

6-13. あらすじ
…嵐のなか船は沈没しそうになる、プロスペローの魔術によって引き起こされたもの
→プロスペローは娘のミランダに嵐を起こした理由を話す、ミラノから追い出された復讐心
精霊エーリアルは魔女に逆らい幹の中に閉じ込められるがプロスペローに助けられ仕えている
→キャリバンは恩を忘れミランダを襲おうとしてから監視され憎しみを募らせている
→アロンゾーの息子ファーディナンドは無事だが父を失った悲しみに暮れている
→プロスペローの計らいでミランダとファーディナンドは出会い一目で互いを好きになる

→その日からファーディナンドは、愛の試練として過酷な労働を課せられる
→セバスチャンはアントーニオと兄アロンゾーが寝ているところを襲うが失敗する
→キャリバンがトリンキュロを精霊と勘違いし大騒ぎし執事ステファノとトリンキュロが再会する
→エーリアルはアロンゾー、セバスチャン、アントーニオの罪をあばき神罰を予告する
→ファーディナンドとミランダは結婚を許され精霊たちの荘厳な仮面劇が上演される
→プロスペローはキャリバンたちの陰謀を思い出しエーリアルに命じて彼らをこらしめる
→プロスペローは復讐の残忍さと徳を施すことの気高さに気づき魔術の杖を折り3人を赦す
→岩屋へ案内されたアロンゾーはファーディナンドに会い生きていた息子の姿に感無量となる
→大勢の人間を初めて目にしたミランダはその美しさに感動し素晴らしい世界を夢見る
→プロスペローはエーリアルを島の空気のなかへと解放してやる
→最後にプロスペローは拍手で魔術を解き自分も自由の身にして欲しいと観客に懇願する


6-14. 『我々人間は夢と同じものでできている』 (第4幕第1場)
…プロスペローは仮面劇を中止して言う、人間の儚さを淡々と述べる、シェイクスピア自身の成熟


6-15. 『人間がこんなに美しいとは、ああ素晴らしい新世界、こんな人たちがいるとは!』 (第5幕第1場)
…大勢の人間を目にしてミランダが美しさに感動する、外側の世界に触れると自分の世界が広がる


6-16. ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
【ミランダ (第1幕第2場)】


6-17. ジョン・エヴァレット・ミレイ
【エアリアルに誘惑されるファーディナンド (第1幕第2場)】


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。

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