見出し画像

ガチスポオープニングイベント~未来を創るスポーツビジネスの可能性~

ガチスポ第1回講義は第16回愛知・名古屋eスポーツ研究会と合わせて開催されました。
初回となる今回のOPイベントでは、日本のスポーツビジネス界を様々な形で牽引するお三方に登壇いただき、スポーツビジネスとは何なのか、スポーツビジネスの未来はどうなのか、そしてスポーツが地域にもたらす影響などを語っていただきました。


  1. 講師紹介

  2. 基調講演

  3. パネルトーク

  4. 質疑応答

  5. 著者の感想

  6. まとめ

  7. 著者について


◆講師紹介

山谷拓志
1993年 リクルートに入社し営業職や企画職に従事。
アメリカンフットボールの選手としても活躍し、2000年に選手引退、並びに退職後、リンクアンドモチベーション勤務を経て、2007年に宇都宮ブレックスを創設。
その後、日本バスケットボールリーグ専務理事を経て2014年より茨城ロボッツの社長に就任し、現在は静岡ブルーレヴズ 株式会社で代表取締役社長を務める。

西脇智洋
早稲田大学を卒業し、大塚商会にてSI営業に従事した後、英国リバプール大学マネジメントコース Football Industries MBAを修了。
帰国後はサッカー日本代表の権利ビジネス、スポンサーシップセールスに尽力。
2018年にはManchester Cityを含むグループ傘下11クラブの日本市場におけるスポンサーシップセールスの責任者としてシティ・フットボール・グループにジョインしていた。

神田義輝
早稲田大学ア式蹴球部出身。
リクルートキャリアにて人材紹介ビジネスを経験。その後、日本のトップアスリートのキャリア関連プロジェクトに従事。
現在は「スポーツの価値を通じて、真の豊かさを創造し続ける存在でありたい」という理念のもと、株式会社クリアソンにて事業開発・組織開発・人材開発に従事。また、水戸を拠点とするJリーグチーム、水戸ホーリーホックで取締役も務める。

モデレーター

片桐正大
楽天イーグルスの創設メンバーであり、福岡ダイエーホークス、パシフィック・リーグマーケティングに勤務後、アジアの国々でスポーツビジネスに従事。
2016年にプロeスポーツチーム名古屋OJAを創設し、2018年より東京ヴェルディに参画。
一般社団法人 愛知eスポーツ連合にて代表理事も務める。


◆山谷拓志氏による基調講演~未来を創るスポーツビジネスの可能性~

そもそも、スポーツビジネスとは何なのか?
スポーツには「する」スポーツ(広義のスポーツビジネス)と「みる」スポーツ(狭義のスポーツビジネス)があります。
「する」スポーツにはハード提供(器具や道具)や施設提供、人材提供などがあり、
「みる」スポーツにはチケット・広告・グッズ販売などの権利の販売や興行・運営委託などがあります。

狭義のスポーツビジネス=スポーツコンテンツ(権利)ビジネスであり、スポーツコンテンツビジネスにおいては試合の魅力や面白さをいかに高めるかが重要になってきます。

スポーツビジネスの可能性は!?

市場規模が拡大する「みる」スポーツ
日本→7.5兆円
米国→23兆円
「みる」スポーツの発展するようになったのは1980年代以降だったため、まだ歴史は浅いそうです。

地域の活性化・経済の活性化の役割を持つスポーツビジネス
楽天イーグルスは宮城県に236億円の経済効果をもたらし、コンサドーレ札幌は札幌市に28億円の経済効果をもたらしました。
それ以外にも、様々なスポーツチームが地方都市の知名度の向上に貢献しています。

また、地域の連帯感を向上させ、社会的交流の場を提供し、地域への帰属意識を向上させおり、地元の子供たちにとっての「憧れ」「目標」にもなり、運動に対する興味関心の向上にも繋がります。

リンク栃木ブレックス初優勝の影響
シャッター街になってしまった宇都宮の町に、優勝した栃木ブレックスが優勝報告会で凱旋したところ一万人以上の人が集まりました。
これこそまさに、スポーツ地域へ与えられる影響だと言えます。

「強く愛されるチームをつくり
プロスポーツを通じて地域を活性化するビジネス」


これが山谷さんにとってのスポーツビジネスの定義とのお話でした。


◆パネルトーク

スポーツが地方・地域にもたらす影響【西脇智洋氏】

西脇さんはパートナーシップセールスをされており、この時代に合ったビジネス、サステナビリティを重要視されています。
例えば、マンチェスターシティとパートナー企業のXYLEM社は、水に関する社会課題へアプローチする活動をグローバルレベルで行なっています。
同時に、今後社会で活躍する次世代のリーダーを育てる活動も行っています。

シティ・フットボール・グループでは、どこのクラブよりも早く・新しいことにチャレンジしていくことを心がけているそうです。

このガチスポ第一回講義が開催された前日(2021年12月1日)に、シティ・フットボール・グループソニー「オフィシャル・バーチャル・ファンエンゲージメント・パートナーシップ契約」を締結したという大きな発表がありました。

このパートナーシップを組めた背景にも「早く・新しいことにチャレンジしていく」という自分たちのポジショニングと合致したということがあるそうです。

eスポーツビジネスが今後さらに拡大していくためにはeスポーツの価値の源泉が何なのか、そしてその価値をどのように社会に還元していくのかが重要になるとのお話でした。



◆質疑応答

質疑応答の時間では、上記の基調講演・パネルトークを通して疑問に思ったこと、気になったことに関する質問が投げられました。
その一部を紹介します。

Q.「山谷さんのお話を伺い、短期・中期・長期のビジョンに夢と数字の具体性があり大変素晴らしかったです。このビジョン、選手やフロント陣との共通認識にはどのような手法を用いているのでしょうか?」

A.山谷さん「選手や現場のチームスタッフとのビジョンの共有はとても大切です。しかし、物理的な距離があるためあまり会うことができないんですよね。なので、自分がスタジアムに出向いて、直接選手と会って伝えたり、選手達のLINEグループに文章を上げたりします。それ以外にも、最近は雑誌のインタビューなどを受けることがあるので、その際に選手に向けて話をしますね。選手や現場スタッフも一般的なメディアを通して情報を得ています。」

A.西脇さん「自分たちのフィロソフィーに『ビューティフルフットボール』というものがあって、その言葉が組織のストラクチャーに現れています。マンチェスター・シティをフラッグシップとして、そこで体験した『ビューティフルフットボール』を他のクラブで体現していく、そういう組織図になっていますね。」

A.神田さん「チームとしてのコンセプトを共有することが重要ですね。選手向けの講義を開いて、社長や自分が選手達と話して、学びの機会が持てるようにしています。」


◆著者の感想

今回の山谷さん、西脇さん、神田さんのお話を伺い、スポーツが地方・地域にもたらす影響の大きさや、その存在の重要さを知ることができました。

私は大学時代に宮崎に在住していたため、毎年2月になると複数のプロ野球球団がキャンプで宮崎に来ると町全体が盛り上がり、他県からもキャンプを見に来た野球ファンの方が沢山見受けられました。

実際にキャンプの時期になると普段は見ないような盛り上がりを見せる宮崎市をこの目で見ていたため、スポーツが地方に与える影響が大きいと言うことは知っていました。
しかし、今回の講義を聴き、実際にどれくらいの影響があり、どれだけその役割が重要なのかを知ることができました。
日本で地方過疎が進む中、スポーツで地方を盛り上げることが一極集中を止める一つの起爆剤になるのではないかと思います。今後とも日本のスポーツ界の発展に期待です!


◆まとめ

スポーツは地方・地域においてとても重要な役割を担っており、大きな経済効果をもたらします。山谷さんのお話にあったように、シャッター街になってしまった街に人を呼び戻したり、「テレビの前で見るスター」ではなく「握手をしてもらえるスター」が身近にいることで子供たちのスポーツへの興味関心の向上にも繋がります。

まだ発展の余地があるスポーツビジネスの世界では、独自の強みを見いだし、その強みを生かして社会に貢献し、さらに新しいことにチャレンジし続けられることが重要となってきます。
今後、愛知・名古屋がeスポーツの街として盛り上がっていくためには、eスポーツならではの独自性かつ、愛知ならではの独自性を見つけ、社会に馴染み溶け込んでいけるかが課題となりそうです。


◆著者について

愛知県名古屋市出身の22歳。
大学で宮崎へ渡り人文学を専攻するものの、在学中にeスポーツへ興味を持ち、eスポーツに関する活動をしたいと思いガチスポに参加。
2021年5月から2022年3月まで福岡のeスポーツチームでクリエイターとして活動し、4月からは地元愛知でSEとしてファーストキャリアをファーストキャリアをスタートさせている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?