実録☆我が子のアトピーとの戦い
はじめまして。
我が家の子どもは二人ともアレルギー体質です。
上の子は主に喘息、下の子は喘息とアトピーと食物アレルギー。
2歳頃の血液検査の結果は医師が「見たことがない」というくらいどの項目も数値を振り切っていました。
さらに、たどっていけば主人もアトピー、主人の母も喘息があります。
今回書くの下の子のアトピーの記録で、小学校高学年の現在でも完全に消えてはいません。
しかし一番ひどかった2~3歳の頃と比べると本当に良くなりました。
現在の通院頻度はステロイド薬がなくなった時だけで、年に2回受診するかどうか。
今でこそアトピー治療には絶対にステロイド!とお伝えできますが、私は過去に一度、ステロイドを拒否し我が子をを大変な目に遭わせたことがあります。
たかがアトピー、されどアトピー。
アトピーは、これでもか!と親の精神状態にダメージを与えます。
子どものためを思っていたとは言え、あの時ステロイドを使わなかったことで、親である私は子どもの命を危険にさらしたのです・・・
これはすでにアトピーが落ち着いて来た頃のことです。
ある日、フォローしているインスタグラマーが「ステロイドを使わなくても、この〇〇石けんでアトピーが良くなる!」と宣伝しているのを見て、恐怖を覚えました。
(※素人のステマに注意しなければいけないところはこういう所だと思います。石けんのPRなのに、ステロイドを下げて良さを伝えるのは全く意味がありません。
石けんでアトピーが治るなら医者はいらない。
ステロイドを悪者扱いするのをやめてほしい。
私のような親御さんがいれば、大枚をはたいて一縷の望みにすがっては「治らない」とう現実に打ちひしがれてしまうでしょう。)
どうかネットの無責任な情報に惑わされず、信頼できる医師のもとで正しい標準治療をしてほしいと思います。
これから私の経験をお伝えすることでアトピっ子を持つお母さんの大変さが少しでもラクになり、アトピーに悩むお子さんたちもかゆくて辛いアトピーとうまく付き合っていけることを願います。
※当時の様子は育児日記とお薬手帳を見返して書いています。
0歳6か月:アトピーのはじまり
それはまだ、下の子が生後半年をすぎて、離乳食を始めるか始めないかという時期でした。
足の脛にポツポツと、かゆそうな発疹が現れてきたため皮膚科通いが始まりました。
といっても皮膚科ではステロイド軟膏を渡されるだけ。
どのように、どのくらい塗るのか、いつまで続けるのかまできちんと説明されたことがなかったように思います。
その時はまだ、ステロイドを使うことは怖い、使うのは良くないという思い込みがあった私は、なんとなく怖くて、処方された薬も塗ったり塗らなかったり、良くなったらすぐ塗るのをやめてしまうようなやり方をしていました。
そしてすぐに、ほっぺたも同じように赤くなり始めました。
保湿剤はお風呂上がりに塗っていたかもしれませんが、ステロイドを顔に塗るなんてもっての他だとほとんど塗ったことはなかったように思います。
最初に湿疹が現れた足と顔がその後大変なことになることとは1ミリも思わずに…
小さなお子さんがいらっしゃる方はアトピーに限らずあせもや湿疹でステロイドを使う機会が少なからずあると思います。
同時に『ステロイド=怖い』という情報もどこかで目にしたり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか?
しかしその情報はどこからやってきたのでしょうか?
私は自分の母親だったと思います。
私自身が子どもの頃、湿疹が出たときに母が病院でもらったステロイドを塗ってくれていたのですが
「たくさん塗ると怖いから」
と言いながら指先でほんの少しだけ塗ってくれていたのを覚えています。
出産してから子どもを連れて実家に行った時にも、あせもで痒がる孫のために
「ステロイドはない方がいいからね」
とやさしい効き目の市販薬を選んで買ってきてくれました。
「ステロイドはなるべく使わない方が良いんだな。」
最初は頭の片隅にぼんやりとあったその考えはその後「ステロイドは怖い」という言葉や文字を見聞きするたびに強固になっていくことになります。
そしていつしかステロイドを選ばないことが母親としての務めであり愛情でもあるのだとすり込まれていきました。
例えば自身も喘息でステロイド薬を手放せない主人の母からも「ステロイドはなるべく使わない方がいいのよ」と言われれば「やっぱりそうなんだな」と思っていましたし、ひとたびネットでステロイドを調べればステロイドは怖い!という情報で溢れかえっています。
ただ、
今振り返ると「ステロイドが怖い」ことをきちんと証明するものがあったわけではないのです。70代の自分の母親世代が当たり前のように信じているステロイドの薬害も実際に本人が経験していたわけではないし、身近にそういう人がいたわけではありません。
標準治療として専門家である医師が処方しているものを完全に否定するにはあまりにも心許ないにも関わらず、ただ「怖い」という先入観を持っているのです。
しかし、その先入観を納得がいく形で否定してくれる人もいなかったのも事実。
巷にはこんなにステロイドが怖いという情報が溢れているのに、病院へ行けば当たり前のようにステロイドしか渡されない・・・
当時の私は医師に対しても次第に腹立たしさのようなものを感じるようになっていました。
ある日、いつものように子どもを連れて皮膚科へ行った時に
「なるべくステロイドは使いたくありません」
と医師に伝えました。
おそらくそういう母親はおそらく私だけではないのでしょう。
特に嫌な顔をされた記憶もありませんが、かと言って私の不安に寄り添ってもらえる返答もなかったように思います。
「保湿剤と一緒に使うように」とプロペトと一緒に弱いステロイド軟膏が処方されました。
やっぱりステロイドなのか・・・
どうしても体に良くないものを塗ることに抵抗を感じていました。
この当時(0歳6ヶ月を過ぎた頃)から、足首に加えて顔を痒がり始めてほっぺたはいつも真っ赤な状態。
赤ちゃんには保湿!保湿!と保湿の大切さをあちこちで言われていたこともあり、季節的にも乾燥させないために保湿剤しっかりと塗っていました。
しかし寝ている間は手加減せずに掻いてしまうため朝起きたらほっぺたが血だらけに。
再度皮膚科を受診してかゆみ止めのシロップももらい「頬が赤いのは乾燥ではなく炎症」と言われたためステロイドを塗ることに。
もちろん言われた通りにしていましたがステロイドだけでは効果がないのか、かゆみ止めの内服薬がなくなるとまた痒がり始め血だらけになります。
そもそもかゆみ止めもステロイドもアトピーやアレルギー自体を体から消し去るものではありません。
良くなったと思っても使うのをやめれば当然またぶり返します。
本当は使いたくない薬を塗っているのにそれでも治らないなんて・・・
今思えば完全母乳だったこともあり私が食べた卵や小麦粉が悪化させていた可能性もあるのですがそのことに気づくのはもう少し後になります。
ただでさえ孤独な育児なのに、痒がって血だらけになっている子どもにひたすら向き合う日々が続きました。
子どものアトピー症状は一進一退。
良くなったかと思えば悪化することを繰り返していました。
しかし結果的には1歩進んで2歩下がるような状況で悪化の一途を辿っていました。
薬を塗っても塗ってもよくならい。
血だらけの毎日。
綺麗な肌にしてあげたい。
私もこの苦しみから解放されたい。
そう思えば思うほど、精神的にも追いつめられていきました。
そして毎回ステロイドの塗り薬を渡されるだけの診察に嫌気がさした結果、1歳を目前に転院を決意します。
1歳:転院を決意
子育ての合間にひたすらる病院を探し、アトピー治療に力を入れている皮膚科を見つけました。
さっそく行ってみたところ、なんと
5時間待ち。
その日はさすがに諦めましたが、人気の病院はたくさん患者さんがいるんだ!ここなら良くなるかもしれない!と大きな期待を持ちました。
その1週間後、主人に運転してもらってリベンジするも朝9時の時点ですでに
4時間待ち。
1時間縮まった!とは思えず、タイミングが悪く診察を受けることはなかなか叶いません。
そうこうしているうちに突発性発疹で発熱し、転院する皮膚科より先に小児科へかかることになりました。
当然悪化したアトピーも医師の目にとまり、そこではじめてアレルギーの検査をすることになりました。
いざ採血しようとするも泣いて嫌がるのでうまく採れず、腕に何種類かの液体を垂らして皮膚の反応を見る簡易検査を受けました。
その結果・・・
たまごと牛乳に反応がありました。
当時まだ1歳前で母乳を与えていたこともあり、医師からは私の食事からたまごと牛乳を除去するように言われました。
言われたとおり除去していましたが目に見えて子どものアトピーが回復することはなく、結局その小児科をアトピーの治療のために再度受診することもありませんでした。
アトピーの種類
上の子にもアトピーはありましたが、上の子と下の子とではアトピーの様子が違っていて、
上の子:基本的に肌がカサカサしていて痒がる
下の子:患部が常にジクジクしていて痒がる
という状況で、上の子に関してはそれほど思い悩むこともなく年齢が上がるにつれて自然に良くなっていきました(今も時々出ることはあります)。
人気の病院。念願の初診!
転院を決意してから約1ヶ月。
当時私がペーパードライバーだったため、前述の皮膚科には夫の仕事がない土曜日の午前中にしか行けません。
これまで二度、受付まではたどり着くも5時間以上の待ち時間だったわけですが、三度目の正直で下の子が1歳になった時にようやく受診することができました。
上の子も一緒に診察してもらった結果、
二人ともとびひになっていました。
この病院では子どもは服をすべて脱いで頭から足の先まですべてくまなく見てもらえました。
ステロイドを使ってはいけないケースもあるということで、患部から皮膚の細胞を少しこすって先生が顕微鏡で確認してくれます。
私が特にステロイドを断った記憶はないのですが、お薬手帳を見返しても強いステロイドは処方されておらず、抗アレルギーの飲み薬、漢方、亜鉛華単軟膏やチンク油など初めて聞くような薬も処方されました。
これまで診察もそこそこにステロイド一択の皮膚科とは違うことに大きな安堵を感じたのを覚えています。
そして、とびひが治ればアトピーも良くなるのではないかという期待と共に、家族総出で5時間以上かかる病院通いが始まりました。
2ヶ月目からは受診する間隔が延びて2週間に1度になっていました。
初診でとびひと診断されてから抗生物質を服用し続けていましたが、おかげでじゅくじゅくした患部は少しずつ良くなっていました。
少し薬を飲み忘れるとすぐに元にもどり血だらけになるため、結果的に抗生物質を約5ヶ月間、毎日飲み続けました。
通常小児科などで処方される抗生物質は長くても1週間程度です。
そのせいかは分かりませんが育児日記を遡ると、この期間によく熱を出していました。
ひっかいてせっかくできたかさぶたをかき壊さないようにレッグウォーマーをはかせたり、包帯を巻いてみたり、思いつくことはすべてやっていましたがすっきり治ることはありません。
1歳から2歳までの育児は今思い出しても地獄でした。
ただでさえイヤイヤ期といわれる時期であることに加えて、アトピー(とびひ)で常に痒がり血だらけの我が子を抱え、さらに発達の面でも遅れているような気がして心配だったからです。
特に上の子にゆっくり向き合ってあげられる時間も余裕もなく、とてもかわいそうなことをしたと思います。
そんな生活が7ヶ月続いたころ、この皮膚科へも通うことをやめてしまいました。
もう何をやっても同じじゃないか。。。そんな気持ちになっていたからです。
夫の存在
お気づきかもしれませんが、これまでの話には夫の存在はほとんど出てきません。
今思い返しても、運転できない私の代わりに、週末にドライバーとして役に立ったくらいです。
平日は仕事で帰りが遅く、子どもをお風呂に入れてほしいと頼んでも嫌な顔をされたり、帰って来た時には寝させておいてほしいと言われるくらい、あまり子どもに興味がなかったし、私の精神的な支えにもなってくれませんでした。
ただ、彼の名誉のためにお伝えすると、今では私以上に子どもに関わり、休みの日には子どもを連れて遊びに行ってくれますし、習い事の送迎や、教育にも熱心です。
それは多分、子どもと言葉で直接コミュニケーションが取れるようになったから。
それまでの一番可愛くて大変な時期は、私は孤独に子どもと向き合う日々でした。
私に限らず、子育ては多くの場合母親に大きな責任が生まれていると覆います。
もちろん家庭によって事情は違いますが、母親の方が子どもの側にいる時間が圧倒的に長いです。
妊娠出産のトラブル、出産後に子どもに何らかの病気や障害があった場合など、まず母親は自分のせいだったのではないかと考えてしまうものです。
無事に健康で生まれても平穏だとは限りません。
お子さんの成長や発達を心配しているお母さん方は本当に多いです。
小さな子が思わぬ怪我や事故に遭えばその時そばにいたであろう母親が責められます。
母親に求められる完璧さは時に息苦しさを与えてしまうのかもしれません。
一方で、子どもが思いがけず優秀だった場合には、その子を育てた母親として一躍脚光を浴び、子育てアドバイザーのように活躍する人も居ます。
子どもを産むのは母親ですから、いつの時代も特別な結びつきがあるものですが、現代は特に強い、偏りのような関係性も垣間見えます。
昔のように近所の人がさっと手を差し伸べてくれたり、親が一緒に住んでいたり、兄妹が多くて子ども同士ふれあって成長していたような時代と比べると、些細なことで歪な関係にもなりがちです。
子どもを守るためには、親もケアしなければいけないと思います。
当時夫の転勤で住んでいたところは、地元の方がとても優しくて、
「お母さん、この時期は大変でしょう」
「無理せず頑張ってね」
とマンションのエレベーターや、道でも声をかけていただきで本当に心から救われました。
子どもをつれて電車やバスに乗れば必ず席を譲ってくださるのでベビーカー論争とも無縁。
子どもが泣いていていれば私の代わりにあやしてくれるような方たちでした。
もし「うるさい!子どもを泣かせるな!」
などと言われていたら、ただでさえボロボロの私は心が折れて全てを諦めていたかもしれないと思います。
夫の協力があまりなくても、なんとかやってこれたのは環境のおかげです。
世間の母親への厳しさが少しでも和らぎ、子育て中の親同士は支え励まし合えるような環境になっていけばいいなと思います。
2歳:脱ステロイドを決意。
大きな期待を込めて通った病院は、一回の診察に5時間かかる皮膚科。
良くなったり、悪くなったりを繰り返して一喜一憂しながら、結局大きく改善はしませんでした。
結局薬は一時しのぎでしかない。ステロイドだってやっぱり良くないじゃないか・・・。
薬を飲んだり、ステロイドを塗ることの抵抗がまだ強くあり、何かがぷっつりと切れてしまった私は、2歳を目前にして自己判断で脱ステロイドを決意をします。
今考えればおそろしいことですが、これまでの治療と医師への「不信」と「諦め」と同時に、今度こそ治るという期待もありました。
脱ステについてはすでにネットでたくさん情報を目にしていました。
ステロイドをやめることでどういう皮膚がどんな状態になるのか、最終的にはここまでキレイに治る!というところまで頭にはイメージができていました。
幸い、全国的に見ても数少ない脱ステロイドを専門にしている病院が歩いて、何かあえれば歩いて行ける近所にあることも分かっていました。
迷うことも、恐れることも何も無い状態でステロイドと決別できたのです。
一方で、継続して薬を続けていたおかげでこれまで小康状態を保っていた子どもの皮膚も当然悪化し始めます。
春先のまだ肌寒い季節だったのにもかかわらず、痒がってかきむしり、夜中には何度も目を覚まして寝ない。
最後には服もオムツも脱いでしまい勝手に裸になっていたりもしました。
それでも、もう悪の塊のようなステロイドを使っていないことに私が満足していたのも事実です。
ステロイドを塗らなくなり、子どもは今まで以上に皮膚を豪快にかきむしるようになりました。肌はジュクジュクした場所とカサカサの部分とがありました。
でもステロイドを使わないことで肌が自然な状態に戻りつつあるのだと思っていました。
引っ掻いた傷跡からはリンパ液と思われるものが出ていましたが、これも自然にまかせて出ていた方がよいのだということをネットで情報を見ていました。
そして乾いてはがれ落ちる頃にはキレイな皮膚が出てくることを信じていたのです。
そんな状態が1週間くらい続いた頃、子どもの鼠径部(そけい部)が腫れていることに気づきました。
普通なら小児科へ行っていたでしょう。
しかし今は脱ステロイド中。
ここで小児科へ行ってしまえばまたステロイドを塗るように言われて振り出しに戻ってしまう・・・
そう思った私は以前から調べていた脱ステロイドをしている病院へ行くことにしたのです。
幸か不幸か、そこはベビーカーを押して歩いていける近い距離にありました。
ここがダメならもう行くところがない。
そう意を決して恐る恐る病院の入り口を入りましたが・・・患者は私たち以外に誰もいません。
この間まで行っていた皮膚科にはあんなに患者が溢れていたというのに。
その時は深く考えることもなく問診票に記入し診察を待ちました。
そして名前を呼ばれて診察室に入るや否や、先生から色々な資料を渡されました。
ステロイド薬害や油を使わない食事の紹介など、専門書ではなく古い週刊誌の記事などをコピーしたものでした。
今ではもうそんな情報に惑わされることはありませんが、当時の私はステロイドがアトピーを治してくれないことは十分すぎるほど分かっていたので「やっぱり食生活が大切なんだな」くらいにしか思っていませんでした。
そして、子どもの服を全て脱がすように言われ診察が始まるのかと思いきやパシャパシャと写真を撮られました。
誰が見ても一目で分かるくらいそれはそれはひどいアトピーです。
ひたすら先生に「かわいそうだねぇ」と言われながらの撮影でした。
そして、他の患者さんがステロイド無しで回復していったという経緯も写真で見せられました。
子どもの肌の状態をじっくり診察したり、治療方針についてしっかりと納得のいく説明があった記憶はありません。
あっけなく診察が終わり待合室で待っていると、受付で待っていると看護師さんが薬を持って
「状態がかなりひどいのでまずこれを飲みましょう」
といって、小さな薬を飲ませました。
その時は何の薬を飲ませたのか記録がないので定かではありませんが、育児日記には「すぐに炎症が落ち着いた」と書いてありました。
そして処方箋をもらい薬局へ行くと見慣れない名前の飲み薬が4種類処方されていました。
そして薬剤師さんの説明に耳を疑いました。
「この薬はステロイドです」
え?
ステロイドは使わないんじゃ・・・
あろうことか内服するステロイドが処方されていたのです。
もう少し後で診察を受けた小児科医にも確認をしましたが通常2歳の子どもにステロイドを飲ませることはまずありません。
しかし、あえて「ステロイドを使わない」と謳っている医師によってあろうことか内服薬が処方されている大きな矛盾に対して、その時の私は受け入れざるを得なかったのです。
そして掻きむしって炎症を起こしたアトピーですっかり変わり果てた姿になった我が子が少しでも楽になるのなら・・・という気持ちもあり、言われたとおり薬はすべて飲ませました。
今思っても、すでに普通の精神状態ではありませんでした。
そして翌日、すでに薬の効果でアトピーは目に見えて改善していました。
1週間後。
再診のため同じ病院を受診しました。
3日分処方されていたステロイドの効果がすでに切れていたため、今度はシロップのステロイドが処方されました。
またステロイド?
結局はステロイド(しかも内服薬)に頼った治療方法しか出てこない医師に対してさすがに不信感を感じ、結局『この日に出されたステロイドは飲ませなかった』と育児日記には書いてありました。
そしてこのブログを書くために改めてお薬手帳に記録されていた当時の処方薬を調べていたところ、ネット上にこのような記述を見つけました。
「どうしてこんな薬をこどもに使うのか?」と感じられることと思います。これには理由があるのです。小児科医以外は、こどもに使用する薬についてのトレーニングをほとんど受けていないのが現状なのです。内科医も耳鼻科医もこどもをみますが、大人と同じ薬を、量を減らして出しているだけという所が多いのです。もちろん、内科医や耳鼻科医の中にも、小児の治療について勉強されている先生もたくさんいらっしゃいます。こどもを連れていくときには、そういう先生をさがして受診する方がよいでしょう。
http://www2.wbs.ne.jp/~masuda-c/honne/kusuri.htm
(こちらのサイトはネットで見つけた小児科の先生が書かれたものです)
この先生の言葉は、私からも是非小さなお子様を持つ保護者の方にお伝えしたいことです。
あとから分かりましたが、我が子が最初に飲んだステロイドも、子供用のものではなく大人に使用する薬を細かくして量を減らしたものでした。
子どもが小さいうちは小児科以外に、皮膚科や耳鼻科など専門医の診察が必要なこともあるでと思います。
逆に小児科の先生から「皮膚科へ行ってください」と薦められることもあるかもしれません。
その時は出来る限り子どもの症例を多く扱っている先生を選び、少しでも薬の処方に疑問があればかかりつけの小児科の先生に相談されることを強くお勧めします。
我が家も疑問に思いながら皮膚科で抗生物質を5ヶ月間服用していましたが、もっと早く小児科を受診しておけばよかったと思っています。
アトピーを治したい、体に悪いものを使わずに子どもの肌をキレイにしたという一心で選択した脱ステロイド。
しかし脱するどころかむしろ体の中からステロイド漬けにされるという矛盾にいよいよ私の精神状態も限界に近づいてきていました。
2度目の診察から4日後。
再度同じ病院を受診しました。
このまま行かないことも考えましたが、ステロイドをやめるために行った病院でステロイドを服用することになったことに納得がいかず、何らかの答えがほしかったからです。
3度目の診察ではさすがに私も「ステロイドは飲ませたくない」と伝えました。
ここで医師から納得がいく回答を得られた記憶はありませんが、この時に処方された薬の中にはステロイド薬はなく「かゆみ止め」「ビタミンC」「整腸剤」など一般的な薬でした。
診察後に受付で看護師さんから「どうしてもステロイドはダメですか?」と聞かれました。
「なぜステロイド軟膏を使わずに服用するのでしょうか?」と聞くと
「ステロイド軟膏を使うと皮膚が肥厚するからです」と言われたのを覚えています。
なぜこの説明を医師からでなく看護師さんからされたのか分かりませんが、ステロイド軟膏が良くないという考えは一致しているとしても飲むことを必要とする答えにはなっていませんでした。
しかもまだ2歳になったばかりの子どもに、です。
看護師さんはおそらくもう私がここへ来ることはないと悟ったのでしょう。
「先生ももう一度診せてほしいと言っています」
と言われたのですが、曖昧に濁して病院を後にしました。
その後・・・
脱ステロイド治療が振り出しに戻ったため、再びネットで情報と病院探しを探し始めました。
他にもステロイドを使わないと謳う病院はあり、車で行ける範囲にもいくつかありましたが、口コミを見ていると結局は少量のステロイドが混ざったクリームを使う所だったり、評判がイマイチだったりと決定打に欠けるものでした。
行ってみたいと思うステロイドを使わずに治せるという有名な病院は、その時私たちが住んでいたような地方ではなく東京や大阪、福岡のような都市部にしか見つかりません。
いっそ東京まで行ってみようか。
ある日、ママ友から遊びのお誘いがあったのですが「子どものアトピーの状態からとてもじゃないけれど出かけられない。」と伝えました。
彼女もまた子どもの頃にひどいアトピーを経験していて、彼女の子どもにもアトピーがあり皮膚科通いをしていました。
「じゃあ、私が行っている病院に行ってみない?うちの子のアトピーはよくなってるよ」
私の家からは少し離れた場所に住んでいる彼女が通う病院もやや遠方でした。
ペーパードライバーの私のために遊ぶ時はいつも来てくれるのですが、その時も
「平日なら私が車で迎えに行ってつれて行ってあげるから」
と言ってくれたにも関わらず、やはりステロイドを使う病院だと言うことに拒否感を否めず丁重に辞退しました。
東京まで飛行機で行くことも辞さない勢いの私に対しては
「そこまで行くくらいなら、まずは私が言っている病院へ行ってからにしよう」と強く引き留めてくれたおかげで、もう一度近くの病院を探し始めました。
そしてようやく、子どもと私を救ってくれる医師と出会えたのです。
2歳:絶望と希望とプロアクティブ療法。
アトピーの治療ができる病院は皮膚科・小児科問わずこれまで何度も何度も嫌になるくらいネットで調べてきました。
その日初めて目に留まった小児科。
通院できる距離にありアトピーの治療にも力を入れている小児のアレルギー専門医がいる病院でした。
友人が教えてくれた病院も検討していましたが、こちらの方が通院しやすいところだったというのも決め手でした。
運転を頼む必要があったのと診察に同席してほしかったこともあり、夫が休みの日に受診しました。
今度こそ何としてもアトピーの原因を突き止めてステロイドを使わない治療法を見つけたい。
アレルギーの専門医ならきっとそれが可能なはず。
病院で診察の順番を待つ間はまだそう思っていました。
名前を呼ばれて診察室に入ると私が説明するまでもなく医師は状況を察したようでした。
鼠径部のリンパが腫れ、全身がむくみ、そして微熱も続いていたことからすぐに血液検査へ。
これまでの治療として、ステロイドを服用したこと、そしてステロイド軟膏は塗っていないことを伝えました。
医師からは、
ステロイドは服用する必要がないこと。
アトピーの治療にはステロイド軟膏を塗布することが唯一であり最善の治療であることを伝えられました。
「正直これまで皮膚科で出されてきたような量では足りません。もっと多量のステロイドをしっかり塗っていきます。プロアクティブ療法と言って症状が治まっても塗り続けます。そして徐々に減らしていきます。」
ステロイド・・・結局ステロイドなのか・・・
あろうことかもっと多い量のステロイドを・・・・
その瞬間私は頭を殴られたような衝撃を感じ、目の前が暗くなっていたのを覚えています。
全身の状態が悪化している子どもを前にしながら、力が抜けてぼーっとしている私を見て先生も危機感を持ったと思います。
「この治療方法を採用している医師はまだ数が少ないのです。特にこの地域にはいません。東京から引っ越して来た人がこの辺りの皮膚科に通っても薬の量が少なくて治らないと言っていました。」
ちょっと待って。
この先生は何を言っているのだろう。
私がなぜステロイドを使いたくないと言っているのか分かってくれているのだろうか。
あくまでもステロイド治療の必要性を説く医師に対して私は少し意地悪な質問をしてみたくなりました。
きっと自分の子どもには多量のステロイドを塗りたくるような残酷な治療はしないと思っていたからです。
「先生は自分のお子さんにも同じ治療をしますか?」
きっと歯切れの悪い返事が返ってくるに違いない、と考えていました。
「もちろんです。間違いなく同じ治療をします」
そして先生はこう続けました。
「以前、この子よりもっとひどい状態の子どもが来たことがあります。その子のお母さんもステロイドを使いたくないと言って二度と来てくれませんでした。今でもその子がどうしているのか気になっていて・・・」
思っていた答えと違ったことに少し混乱しました。
来なくなった患者を今でも心配する?そんな先生がいるの?
何より、こんなひどいアトピーの子は他にいないだろうと思っていたのにうちの子もよりひどいアトピーの子がいたこと、治療を諦めた母親がいたこと。
そこに自分たちの姿が重なりました。
そして、目の前の先生が女医さんだったこと。
先生の母親としての気持ちが垣間見えたこともあるかもしれません。
自分の子どもにもためらわず同じことをすると言ったその言葉には嘘がないことが分かり、頑なだった私の心がほんの少し開いた瞬間でした。
すかさず先生が続けました。
「ご主人も協力してもらえませんか?お母さんが薬を塗るのが辛ければお父さんに塗ってもらいましょう」
まだうまく頭を整理できない私に代わって、横にいた夫が答えてくれました。
「僕がやるよ」
これまでの病院通いでも運転手としてしか頼れなかった夫が初めて寄り添ってくれたようにも感じた瞬間でした。
それからは、出された薬をしっかりと塗りました。
もちろん私ではなく、夫が、です。
ステロイドのチューブが丸一本使われた軟膏は見るのも恐ろしく、とてもではありませんが触れないし、子どもに塗ることはできません。
そこは夫のサポートもあり、子どもの皮膚は少しずつ元の状態を取り戻していきました。
何よりおどろいたのは、子どものおしっこが良く出るようになったことです。
これまではしっかり出ずにむくんでパンパンになっていた全身がスッキリしました。
それでも一気に良くなるわけではなく、途中で足が腫れて歩けなくなったこともありました。
やっぱりステロイドのせいだ・・・
そう思う気持ちもなくなることはありませんでしたが、治療をやめるという選択肢も今回はありませんでした。
夏、実家に一ヶ月帰省したため、通院が空いた時期がありました。
まだ色々と諦められていなかった私は、地元の病院にもセカンドオピニオンとして行く予定を立てていました。
1箇所目は有名なステロイドを使わない病院。2箇所目は地元で評判のよい皮膚科。
一箇所目は有名なだけあって、ホームページもよく見ていました。
そして、子どもの状態を見て、ステロイドは使わなくていいよ、とこれまでもよく使っていた軟膏を渡されましたが、なぜか「ステロイドは使わなくて良いよ」の言葉はもはやあまり心には響かず、そういう考え方もあるんだなというくらいに感じていました。
二箇所目は一般的な皮膚科です。
こちらも待ち時間が長く受け付けのタイミングが難しかったのですが、遠方からきていると伝えると診てもらえることになりました。
ここでは、プロアクティブ療法を薦められました。その時続けていた治療法と同じです。薬はべたつかない違う種類を薦められましたが、強いステロイドでした。そして、その先生の診察にとても信頼がもてるように感じました。
そして、驚いたのはこのあと。
しばらく受診があいたことからいつも通っていた病院から電話があったのです。
先生自ら私の携帯に電話をくださり、しばらく来ていないのでどうなったのか心配をしていると言われました。
帰省をしていることと、同じように薬を塗っていると伝えました。
もちろん帰省から戻った後はこれまでと同じように通いました。
患者に寄り添ってくれる、とても優しい先生でした。
アレルギー検査
その後(4歳ごろ)保育園へ提出するためにあらためてアレルギー検査をした結果、小麦粉にも大きなアレルギー反応があることが分かりました。しかし除去の必要はないとのことで食生活は普通に送っています。
それを聞いた時に思い出したのですが、母乳をあげていた期間は私がパンをたくさん食べていたのです。
授乳するととにかくお腹がすくのと、元々パンが好きだったわけではないのになぜかパンが食べたくなり断乳するまでの1年半近くはおなかが空けばパンをひたすら食べていました。
ちなみに今はほとんど食べることはないです。
今となってはどうしようもありませんが母乳をあげていた時期に限ってパンを多く食べていたので、そのせいで子どもにアレルギー反応が出ていた可能性も否定できません。
もしかしたらミルクで育ててあげた方がよかったのかもしれないとも思いましたが、その後出会った主治医からは食事とアトピーは全く無関係だと言われました。たしかに、現在の子どもを見る限りは食事で大きくアトピーが悪化するようには見えません。
しかし、まだ生後間もない乳児に対しては母乳(ミルク)や離乳食からアレルギー反応が出ている可能性を専門医に相談してみてもよいかもしれません。
現在
小学校高学年になった今も、時折アトピーが顔出しては掻きむしりシーツに血がついていることがあります。
そんな時は、家にあるステロイドを塗ってしばらく様子を見ていると、自然と良くなっていることが多くなりました。
夏場は汗をかいたり、とびひになることがあるため、ステロイドだけで改善しないときは皮膚科や小児科で内服薬などをもらうこともあります。
それでも「気にしなくていい」だけで、本当に精神的には楽になりました。
アトピーは特効薬がなく、経験上、食べ物や生活習慣を変えるだけで劇的に変わるものではありませんでした。
いわば難病や奇病のようなものだと思います。
今、お子さんのアトピーに悩んでいる方は、どうか思いつめず、年齢とともに必ず改善することを心の支えにしてください。
信頼する医師に出会えることが一番ですが、安易な脱ステロイドや、ネットで見る民間療法に惑わされず、標準治療をおすすめします。
長文をお読みいただきありがとうございました。
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