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「夜ふかしさん」と僕

どうも。直也です。

「夜ふかしさん」

最近「夜ふかしさん」の存在に気づいた。累計で12人目のパーツだ。

「夜ふかしさん」は8歳の女の子で、20時を回った頃になると出てくる。
彼女はいわゆる「リベンジ夜ふかし」を担当しているようだ。


※リベンジ夜ふかしとは

発達障害の特性を持つ人に多い夜ふかしの形。昼間に家事や仕事などの「やるべきこと」に忙殺されて自分のやりたいことがおろそかになった時、睡眠時間を削ってやりたいことに取り組む夜ふかしのこと。

仕組みや対処法の詳細については、以下の記事が非常に参考になる。
リベンジ夜ふかしについて解説した図は永久保存版だ。


「今日、なにやったっけ?」

「夜ふかしさん」は昼間は寝ていて、僕たちが何をやっているかをまったく知らない。
だから夜になって飛び出してきて「今日(私が)なにもやってないじゃん!」と焦りだす。

結果、主の体は1日を駆け抜けてきて疲れているのに、「まだ何もやっていない」「無為な1日すぎて耐えられない、何かやってから寝よう」という焦燥で自己肯定感を下げることになってしまう。

実際には、僕たちに文字通り「何もしていない」日なんてほとんど存在しない。

毎日生きるのに必要なことをやり、刺繍をし、本を読み、文章を書いている。ワクチンの副作用で臥せっている時すら、調子の良い時は本を読まずにおれなかった。

だから、「夜ふかしさん」が言う通りに「何もしてない」ことなんてありえないし、僕たちは記憶を共有しているので「『監理者』がビジネス書を読んでいた」「亜麻が刺繍をしている」等を把握している。

……のだが、「夜ふかしさん」は少し別だ。地続きの記憶はあるが、「○○をやった」という実感は持てていない。
「監理者」や他のパーツが何をやっていたかを聞かされても、まるで他人の行動を知らされているようなものだ。

昼間の行動の記憶も遠く、まるで3日前の出来事のように感じている。

だからこそ「今日なにもやっていない」と思うし、なかなか睡眠に舵を切れない。

「夜ふかしさん」との対話

僕たちは最初「今日やったこと」をひとつひとつ振り返って、彼女を安心させる作戦を試みた。

だが実感のないことを列挙しても彼女をますます空虚にさせるだけだし、「他人がこんなに頑張ってたから大丈夫」と言われても納得できない様子だった。というより、理詰めの説明が響いていない様子だった。理屈じゃなく、彼女にとって重要なのは「『私が』今日なにもやっていない」感覚だったのだから。

そこで年齢を聞いてみると8歳だということが判明した。直感を大事にすべき時期だ。僕は方針を変更して、説得ではなく対話を試みることにした。

年齢の問いかけにはじまり、他愛なくいろいろなことについておしゃべりした。そのうちに主は寝入ってしまい、「夜ふかしさん」も満足したようだった。

「夜ふかしさん」はなぜ生まれたのか

彼女が生まれた理由に思いを馳せた。

小学生の頃の僕たちには、「小学生は21時には寝ること」というおうちルールが課されていた。
子どもにとって良質で適切な長さの睡眠時間は必要と考えるので、妥当な政策であると思う。

だが、21時に寝ることを目指すと「やりたいこと」をやる時間がまったく取れなかった。

学校から帰れば友達と遊びに行き、帰宅後は夕飯までテレビゲーム(どうしてもやりたかった)。
そのうちに夕飯が出来、食べるのに時間がかかるので食べ終えれば20時。そこから入浴、歯みがき……宿題はいつやればいい?
だがゲームの時間を削るなんて精神衛生が荒廃する……。(し、テレビを占領できるのは父親が帰ってくるまでなので、帰宅~夕飯前までがゴールデンタイムだ)

……と、そんなこんなで僕たちには圧倒的に時間が足りていない感覚があった。
「夜ふかしさん」が8歳であることを考えると、このあたりの時期のストレスが原因だったのかもしれない。思い当たる節がありすぎる。

21時以降も眠くならなければ。眠気さえこなければ。もっと好きなことができるのに……。

眠気、時計と戦いながら、精神の深みでそんなことを思っていたのだろうか。

当時は21時を過ぎると親に注意されるので堂々と夜ふかしはできなかったが、外面的には成人を過ぎた主はもう自由だ。

そして実際に20時を超えるとそれまで感じていた眠気は消し飛び、今からなんでもできそうな気になってくる。むしろ「昼間なにもやっていない」のだから、何かやらないととてもじゃないが安眠できない……というように。

目的は良好な精神衛生

先に挙げた記事にもあるように、リベンジ夜ふかしは精神衛生を保つための手段だ。

そしてパーツは主を守るために生まれてくるというから、「夜ふかしさん」は主の精神衛生を保とうとしているのだろう。実際に夜ふかししてでも自分の時間を持つことが必要な時もある。

上のように捉え、責めず怒らずおしゃべりするうちに、眠ることを許してくれた彼女とは、これからも良い夜ふかしのラインを探っていきたい。


直也

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