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人権大国ニッポン(?)で救急車にも乗せてもらえない人がいる-東京入国管理局から。

 「助けて。どうしたらいいか、もうわからないの・・・」
日付が変わろうとしていた頃、電話口の友人の声は震えていました。 

 東京・品川で、まさにいま、緊急搬送が必要な患者を救急車に乗せることを、入国管理局に拒まれてしまう状況が、何時間も続いています。

 入管の前にいるクルド人の友人たち・そのご家族からの連絡で知りました。

「どうしたらいい?旦那は、朝まで生きられないかもしれない...」

 1回目にきた救急車は、結局、本人に会わず、空のストレッチャーを乗せて帰ってしまったそう。

2回目の救急車が到着して30分。

 みんなは裏口から出て行った救急車で搬送されたことを期待していましたが、119に確認したところ誰も運ばれていないことが発覚。

現場は混沌としています。


入国管理局に収容されたクルド人が語った現実
 「これは人権問題です。家族と引き離され、病院に行くときは手錠をかけられます」
 東京・品川の「東京入国管理局」で、今年1月から収容されているチョラクさん(38)に私は面会した。チョラクさんは、トルコ国籍をもつクルド人。ご存知の通りクルド人は、トルコ、イラク、シリアなどに広く住む、国家を持たない最大民族で、いまも多くの迫害にあっている。
 チョラクさんは、兄がクルド人の独立運動に参加していたことから、自分の身にも危険を感じ、14年前の2004年、身重だった奥さんを国に残して、埼玉に避難していた兄を頼って来日した。
 その後奥さんもチョラクさんを追って来日し、いまはトルコで生まれた長男(中学2年生)と日本で生まれ小学校に通う次男・三男の5人で生活している。
 いま日本にいるクルド人は、埼玉を中心に2千人以上と言われている。しかし、難民認定されている人はゼロだ。

-------(引用) FNN PRIME 2018年8月10日
「14年間難民認定されず…収容施設のクルド人が語った日本での現実」----

 いま命の危機にあるのは、この記事のチョラクさんです。

たまに彼の面会に行く私は、この日も、この記事の取材記者さんと、面会室に入りました。

この夏の時期も、彼は痩せてゆく一方でした。

 迫害により国にも帰れないチョラクさんが、1年以上出られない入管の中で命を落としたら、日本はいったいどうするのでしょうか?


 14ヶ月にわたる収容で、チョラクさんはここ数ヶ月衰弱していましたが、昨日、容体が悪化し、ついに歩けなくなった彼を見て、家族は面会を打ち切り、医者に見てもらえるよう入管職員に嘆願しました。

 1日中待ったのですが結局医者には見てもらえず、入管の営業時間は終わってしまいました。

ちなみに昨日、入管にいた医師は精神科のお医者さんだったそうです。

「自費で救急車を呼ぶからとお願いします」と訴え続け、救急車はついに入管まで来たものの、乗せてもらえませんでした。

 救急車がそこまで来ているのに、緊急状態にある人が乗せさせてもらえない。病院に連れて行ってもらえない。

以下が、奥さんとその妹さんが電話口で語った、3月12日の一部始終です。

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クルド人・チョラクさん
2018年1月から東京入国管理局に収容され14ヶ月目。


2019年3月12日

朝、奥さんはいつものように品川の入国管理局に面会に行きました。

入管職員「今日彼は、具合が悪いから面会できません」

そこで面会が叶いませんでした。

入国管理局の4階に行って詳細を聞きました。

奥さん「病気はなんですか?」

入管職員「面会の方で聞いてください」

そのあと、5分間だけ面会ができました。

2人の入管職員がチョラクさんの両側を支えているけれど、彼は一人ではとても歩けない状態でした。

チョラクさん「息が苦しいよ、頭が痛い。。。」

奥さんは、面会をすぐ終わらせ、総務課に声をかけました。

奥さん「外の病院に行かせてください」

入管職員「13時から16時の間に医者が来るから、みますね」

奥さんたちは、15:30まで入管で待ちました。

「薬を出しましたから」と言われたので、その言葉を信じて埼玉県蕨市の自宅まで戻りました。

しかし17:56、メメットさんからの電話を受け、
それが真実でなかったことを知る。

薬はおろか、医者にさえ診察してもらえていなかったのです。

奥さんたちは蕨市からもう一度、電車で品川の入国管理局に戻りました。
蕨から品川は遠いです。やっと到着。

入管職員「営業時間は終わりました」

そんな・・・
今日1日、朝からお願いし続けていたのに・・・

奥さん「救急車のお金を自分たちで払うので、旦那を病院に行かせてください」

職員さんは対応してくれませんでした。

19:20、再びチョラクさんから奥さんに電話がかかって来ました。

チョラクさん「なんで、何もしてくれないのか」

奥さんの友人が救急車を呼んでくれました。


19:25、救急車到着。

「看護師いるから、大丈夫、帰りなさい」

せっかく救急車が入国管理局までは来たのに、乗せてもらえなかった。

空のキャッシャーを乗せて、結局、救急車は帰ってしまった。

入管職員「明日医者が判断し、必要なら外の病院に行きます」

奥さん「責任者は誰ですか?」

入管職員「答えられません」

23:13、2台目の救急車到着。

119では来てくれず、救急相談センターに電話をしたそう。

入管職員「看護師はいない」

奥さん「お願い、診察して」

30分後、救急車がどこにも見当たりませんでした。

集まっている人が気づかないうちに、別の出口からいなくなってしまいました。

チョラクさんは搬送されたのかどうかもわかりませんでした。

支援者たちと119に電話し、運んでいなかったことを知りました。

クルドの皆さん「みなさんに迷惑はかけたくないです。入管が営業時間外なのもわかります。ただ、あれだけひどいチョラクさんの状態があって、病院に連れて行って欲しいだけなのです。」

その後、チョラクさんとは連絡ができず。

入管の決まりで、20:00までしか、外の家族とも電話ができません。

2:03 現在
日本人、クルド人合わせて60人くらいの家族や支援者の方々が、今も、入管の前にいます。

(写真提供)チョラクさんご家族

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 昨年は、別の難民申請中の方が、入国管理局の中に収容されたまま命を失いました。国家に守ってもらえず祖国を逃れて、せっかく命をつないだチョラクさんのような人たちが、また国家に殺されてしまう。いまメディアが取り上げないと、またなにも生かされない悲しい教訓が増えるだけです。

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2017年11月4日 弁護士ドットコムNews

 チョラクさんのように、何かしらの理由で日本での在留資格をもらえない人であっても、自由権規約第6条「生命に対する権利」はもっているはずです。
 命の危険があるときに「あなたは日本に在留する資格がないので病院へは連れて行きません」というのは、絶対的人権の侵害にあたるでしょう。

 1分でも早く、チョラクさんを、そこまで来てる救急車に乗せてあげてください。せめて、病院へ。チョラクさん、普段は弱音を吐かない方です。彼がダメだと言ってたら本当にダメかもしれない...


日本のみなさん
私たちの国で、今起きていることを知ってくださってありがとう。
もう一度、
日本人も外国人も、
被収容者であってもクルド人であっても、
同じ人間であることに立ち返ってみませんか。
もし、これが自分の旦那さんだったらと、考えてみてほしいのです。

(もうひとつの参考)現地情報まとめ togetter- 現地からのツイート
※ごめんなさい、表紙の写真はここから使わせていただいています


 メディアのみなさん
 これを書いている夜中の段階では、ひとつの英字メディア以外は、マスコミは現地にいないそうです。しかし、Twitterでは、トレンド入り。
かつてないほど多くの国民の注目を集めています。
ジャーナリズムの力を、まだ彼らは信じています。



弁護士の皆さん

(特に、いつも闘ってらっしゃる難民弁護の弁護士以外のみなさん・・・)

いくつかの現地からの情報にある通り、本当に「看護師の判断で救急車不要と言った」のであれば、看護師ができるのはあくまで診療の補助であり(保健師助産師看護師法5条)、診察は医師の専権事項ということからするとあるべき形ではないはずです。お世話になっている弁護士さんによると、医師法違反が疑われるそうです。

時間帯により看守責任者等が当該被収容者への対応を判断せざるを得ない場合 は, 体温測定等の結果に異状が見られなくとも, 安易に重篤な症状にはないと判 断せず, ちゅうちょすることなく救急車の出動を要請すること。

このことが、法律からしてもおかしなことであるならば、ぜひそれを伝えるべき所に伝えていただけませんか?

(出典)平成30年3月5日付け法務省管警第46号法務省入国管理局長指示

※この記事は、渡部清花個人として書いたもので、団体の公式見解ではありません。

連絡先
NPO法人 WELgee 代表 渡部清花
【tel】08035841991
【mail】sayaka@welgee.jp
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99
1991年生。日本に来た難民の社会参画とエンパワメントを目指すNPO法人WELgee 代表。バングラデシュ・CHTの紛争地にてNGOと国連開発計画インターンとして平和構築に携わる。Forbes 30 under 30。東京大学 「人間の安全保障プログラム」修士修了。トビタテ1期。
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