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ラーメンが大好きな、フランス人の機動隊隊長 私が生み出した人々5

 フランソワ・シャルティエ Francois・Chartier は、フランス人男性で白人。金髪の髪はかなり短く刈っているが、それは機動隊の隊長という職業柄、敵と格闘した際に、髪の毛をつかまれないための配慮。ただし、出動する際はヘルメットをかぶっていることが多いので、髪をつかむような格闘はまずない。目の色は、明るいグレー。身長は183センチある。柔道4段のせいか、がっちりとした体格。

 登場時には40歳。母語はフランス語。英語をかなりよく理解し、日本語の日常会話も上手い。

 フランス内務省の共和国機動隊CRSの警部であり、中隊長として約150人からなる部下を率いて、現場に出動、暴動鎮圧や警備に従事する。パリ近郊の駐屯地を拠点としている。2015年のテロ事件の際、自分たちが劣勢にも関わらず、テロリストを追い込んだことが評価され、勲章を受けた。第2部に登場した今、上司たちは彼を警視に昇進させ、もっと大きな仕事をさせたいと思っている。

 1984年、パリに隣接するバンリュー(郊外という意味)と呼ばれる治安の良くない地域で生まれる。故郷が、パトカーのサイレンが絶えない場所だったせいか、小学生低学年のころから警察に関心を持つ。やがて、テレビで、祖国の柔道選手たちの活躍を目の当たりにして、柔道を始める。それが日本文化との出会いだった。高校1年でフランス全国選手権大会の選手になっていた。高校を卒業して警察官になるつもりだったが、数学教師で担任のアントワーヌ・メシエの忠告を聞き入れて、大学へ。

 メシエ曰く、フランスは「冷たい」学歴社会だ。だから、高卒の警官では、出世も仕事も限られるだろう。それに、警察官になるなら、法律の知識は欠かせない。法律を読むには、1日に2時間は数学を勉強して、論理的思考を身につけないと。君は数学が苦手だが、私がきちんと教える。そして、大学で柔道にうちこめ。君は全国選手権の選手だが、世界は広い。大学生として、もっと様々な柔道家たちと戦え。進学しろ。

 フランソワはその言葉に衝撃を受けた。そして、精一杯勉強して、進学した。彼は外国語学部で日本語を学ぼうと考えていたが、周囲に説得されて、法学部で刑法を学ぶ。大学時代、有り金をかき集めて、来日。あるラーメン店で出会った男たちに優しく接してもらい、思い出を残した。のちにその人物のひとりと、パリで思わぬ再会をする。

 フランソワは一人で、柔道の聖地である講道館を訪問し、数日、けいこをした。全国選手権の関係者などが紹介状を書いてくれたので、それが役に立った。聖地に立った時、彼は感激で涙した。

 ラーメンが好きな親日家なので、以前はスープを飲み干すことが礼儀正しい作法だと思っていた。しかし、塩分の多いスープを全部飲むと高血圧になるぞ、と上司に言われて、それを聞き入れた。日本食は何でも食べられるが、苦手なのは、ナマコの酢の物。もずくは食べられる彼だが、それだけは苦手。

 彼はこの第64話から登場。65話では、あることに仰天する。


続く


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