見出し画像

美しきバルベルデ よ、永遠に。私の小説に取り入れた架空の国。

 貧しい国情のせいか、元々は反米的、共産主義的な政治で統治されていた。しかし、米国との関係を受け入れることで国の発展を目指した、開発推進派が政権をとり、国政は一変する。

 親米政権はアメリカの開発援助や軍事支援を受け入れて、国の発展を支えた。国民の多くが、共産主義国の全体主義や、経済発展の失敗を目の当たりにして、「転向」したことも、親米派の増加につながった。

 米国との関係が強いから、20世紀後半に、米国が世界規模で行った反共政策や戦争に賛成の立場をとる。そのため、バルベルデ にある米軍基地から近隣諸国へ、米軍の特殊部隊が出撃したとか、彼らが敵国で共産主義者を「捕獲」して、その基地に違法に連行したあげく拷問した。あるいはバルベルデ 国内に、米軍の極秘の情報収集基地があるという噂がある。南米政治のある専門家は、それらの噂も映画「プレデター」の物語に影響を与えた可能性があると語った。しかし、「プレデター」はともかく、歴史の闇を探る者はいない。

 また、米国の情報機関NSA(国家安全保障局)の高官マイケル・ゴンザレス将軍が、時折この国を訪問する理由は、彼の母方の祖母の故郷を訪ねるという目的のためとされる。しかし、実はそれが、米国の情報機関がバルベルデ などで行なっている極秘活動のためなのではないか、と事情通は語る。

 この国の現大統領(開発推進派)は、広大なジャングルを、米国の製薬会社にレンタルする計画を進めている。彼らがジャングルから得た遺伝情報や、ジャングルの生物を研究することで開発された医薬品の売却益などを、この国の発展の起爆剤にしようというのだ。このレンタル計画は貴重な自然を破壊せずにすむので、自然保護派も好意的に受け止めている。

 国内にはこれといった観光地はないが、豊かな自然を目当てに、エコツーリズムにくる外国人観光客は多少いる。

 ブラジルをはじめ、南米諸国がそうであるように、日本からの移民もいる。数は多くない。移民などとの関係のせいか、対日感情は大変良く、国内にある自動車のほとんど全ては、日本のメーカーが各国で生産した車を輸入したもの。現大統領はレクサスに乗りたがったが、テロ対策のため、渋々、防弾使用のベンツを公用車にしている。

 日本はこの国に青年海外協力隊を送り、その発展に貢献している。三橋美鈴もその一人で、彼女は管理栄養士としてこの国に来た。

 小説家ではない、ただの人間である私が、こんな設定を作る必要はない。しかも、私の「愛国者学園物語」の舞台にはならない国だ。ブラジルかパラグアイを、そのまま使えばよかったのかもしれない。

 でも、私はバルベルデ について考えている時間が楽しかった。「プレデター」の国でもあるし、私は南米のジャングルが好きだからだ。私は南北アメリカに足を踏み入れたことはないが、いつ行けるだろうか?

 映画「プレデター」の1場面。冒頭に登場するビリー(ソニー・ランダム)は2017年に亡くなった。16秒ごろ、ポンチョ・ラミレスの、銃を持つ手が震えているのに、今日、これを書いていて初めて気がついた。

 チョッパー chopper とは、軍用ヘリを表すスラング。ハリウッドのベトナム戦争映画には、スラングとしてチョッパーと、敵(ベトナム兵)を意味するチャーリー charlieがよく使われる(チョッパーには、ハンドルを高くした大型バイクの意味もある)。


なぜ、みつはし肉店の経営者が、バルベルデ に関わっているのか。

それは、読んでのお楽しみ。


あの男も、バルベルデ に関わっていた。


大川光夫です。スキを押してくださった方々、フォロワーになってくれたみなさん、感謝します。もちろん、読んでくださる皆さんにも。