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遊びは、その限りではない。【PS5 Access™ コントローラー体験レポート】

Play Has No Limits

私のモラトリアムの時期を支えてくれていたのは、自分手のひらに収まるデュアルショックとゲームでの経験だけが全てでした。

先日、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)から12月6日(水)に全世界同時発売されるPlayStation5®用の「Access™ コントローラー」を先行体験させてもらう機会を頂き、東京まで行ってきました。

PS5®用「Access コントローラー」 12月6日(水)に全世界同時発売予定

この話を頂いた時は正直驚きましたし、まさかSIEさんにお呼びいただく未来が待っているとは数年前にnote記事を書いたときには思いもしていなかったので、自分にとってご褒美どころの騒ぎじゃないくらいには嬉しさと動揺を覚えたことを思い出します。

会場に到着し、はしゃぐ一般男性の様子

ePARAの活動について

皆さんはプレイステーションを遊ぶ時にどういったデバイスを使いゲームを楽しんでいるでしょうか?

DualSenseで遊ぶ人や、格闘ゲーマーならアーケードコントローラーやレバーレスコントローラーで遊んでいる人もいると思います。

私の場合、身体の障害の関係でそれらのコントローラーを使用しゲームをプレイすることが出来ません。
今から約10年以上前は、私もDUALSHOCKを握りプレイステーション3でストリートファイター4シリーズのオンライン対戦に没頭していましたが、それも病気の進行で難しくなっていきました。

ゲームを遊ぶための工夫を仲間と考え、現在はあごで操作するコントローラーを作製し主に格闘ゲームをプレイしながら、eスポーツを通じて障害者の活躍支援事業を行っているePARAという会社で働いています。

左上 ePARA代表 加藤大貴と、活動を応援してくれている大切な仲間

ゲームのアクセシビリティとデバイスのカスタマイズについての工夫を発信しながら、過去に自分が体験したようなゲームプレイの限界を感じる瞬間がなくなる社会を目指しています。

Access コントローラーについて

今回私はAccess コントローラーのテストプレイをさせていただくまで、PS5でゲームを遊ぶことができませんでした。格闘ゲームはあごでスティック操作をすることはできますが、カメラ操作とキャラクターの操作を同時にする必要があるアクションゲームは、パッドで両方のスティックを操作する必要があり、正直なところ遊びの限界を感じていました。

実際に遊んでみて

最初に驚いたのは、コントローラーに設定ウィザードが備わっていることでした。コントローラーを繋ぐだけでボタンの取り付けやコントローラーに関する説明が始まるようになっており、Access コントローラーのセッティング自体がゲーム体験のように楽しむことが出来ました。

この製品を手に取る人はコアなゲーマーだけではなく、初めてプレイステーション5に触れる人も多いと思います。設定ウィザードも手厚く、アクセシビリティの事前知識のない当事者やその支援者にとってセットアップから楽しめる非常にいい作りだと感じました。

ゲーム中にAccess コントローラーの設定を変更したい際には、ボタンひとつでコントローラーの設定画面に入ることができるので、ゲームプレイを中断することがなく、コントローラーの最適化を行うことが出来ます。

次に製品のボタンについてです。
私のように押す力が弱い場合に本製品のボタンをうまく押せるかが心配でしたが、自分に合ったボタンも見つけることが出来ました。それは押すのではなく、指をでっぱりに引っ掛けて引く操作で入力ができる形状のカーブボタンキャップが特に相性がよかったです。

多種多様なボタンキャップ

スティックと近い部分にこのカーブボタンキャップを配置し、
スティックと干渉しないように外部入力スイッチもカスタマイズしました。

顎で操作するためにコントローラーの位置を顔の前に固定する必要があったので、押せるボタンが少なくなってしまうことを不安視していましたが、スティックの位置や向きを細かく調整し、顎で操作をしながら口でボタンを押すことができました。

顎でスティックとボタンを操作する様子

Runback City

私は人と競うことが好きです。eスポーツの魅力は、「対戦を通じて生まれる、人と人との交流」の機会にあると私は考えます。

私には子供の頃からの夢がありました。それは、大きな対戦ゲームの大会に出場することでした。私が10代の頃は、インターネット対戦が流行り始めたばかりで、格闘ゲームの大会といえば、ゲームセンターがほぼ全てでした。

持病の関係でアーケードコントローラーを操作することが出来なかった私の主戦場は、プレイステーション3とデュアルショックで参加が可能なオンラインのコミュニティ大会でした。

当然に抱く夢は、オフライン大会への参加。当時の日本では叶えられない願いでした。そんなあの頃の私の憧れは、アメリカのラスベガスで開催されるEVOという世界最大の格闘ゲーム大会に出場することでした。
日本のゲームセンターで行われるような大会ではなく、メイン競技全ての対戦がコンシューマーゲーム機で行われていました。言ってしまえば、パッドで参加できる大会が当時の日本にはほぼなかったということです。

あれから10年以上が過ぎ、オフラインのeスポーツ大会に参加しやすい環境づくりは少しずつ進んできています。今年の春に私は東京ビッグサイトで開催された、EVO Japan 2023という格闘ゲームの大会に出場してきました。
病気の進行で一度コントローラーが握れなくなり格闘ゲームから離れていた時期もありましたが、コントローラーの工夫を考えながら大会のコントローラーカスタマイズに抵触しないカスタムを施して、人生で始めて格闘ゲームのオフライン大会に一人の格闘ゲーマーとして参加することができました。

EVO Japan 2023に自作のコントローラーで参加した時の様子

eスポーツ大会参加に関する課題

Access コントローラーの発表を受け、色んなゲームがまた出来るということに嬉しさも勿論もありますが、eスポーツ大会への参加に関する課題解決にも役立つのではないかと考えます。

私が普段プレイしているストリートファイター6では、従来の操作方法以外にも、モダン操作というよりアクセシブルな操作モードが追加され、それを使用した公式大会への参加が認められています。私はその入力方法を使用し、来年のEVOへ参加することを目標にしていますが、多くの大会では、エントリーする前に、それぞれの大会のレギュレーションを確認をしなければなりません。

参加可否についての問い合わせをした結果、カスタムコントローラーの使用を断られたことは実際ありませんが、eスポーツ大会でAccess コントローラーの使用がレギュレーションで認められることで、私のように身体的な制限がある方や特別なニーズを持つ方が、よりeスポーツ大会に参加しやすい社会になればいいなと思います。

Access コントローラーを使用し、ストリートファイター6をプレイしている様子

今回Access コントローラーを使用して久しぶりに感じたことは、新しいゲームを買って初めて遊ぶ時の単純なワクワク感です。こんな感覚は本当に久しぶりで、自分の操作がしやすい位置にコントローラー本体を置いて、自由にカメラ視点を操作できた時、ここ10年のグラフィックの進化にただただ感動を覚えることができました。怖いものが大の苦手な私がThe Last of Usをプレイし、びびりながらその世界を散歩することができたのは、Access コントローラーのおかげです。

会場ではその後、今回私のサポートで参加していただいた10年来の友人と、横並びで対戦させていただきました。彼とこうやってオフラインで一緒に対戦するのは初めてだったのもあり、嬉しかったです。

Access コントローラーを使った対戦の様子

今回のAccess コントローラーのメディア体験会に一緒に登壇させて頂いた、テクノツール株式会社の田代洋章さんのお話で特に印象に残った言葉があります。

"障害"とは、病気そのものが障害なのではなく、障害を感じさせる環境によって生じる物で、環境によって障害を感じない状態にすることもある。

テクノツール株式会社 田代洋章さん

この日の登壇までバリアフリーや障害についてたくさん考えてきたのですが、この言葉を聞き、Access コントローラーと共に目指したいものが自分の中で明確になったように感じました。

遊びは、その限りではない。

格闘ゲームと出会うまでの私は、不自由なことを理由にいつかどうせ出来なくなるからと色んな事に対して諦めがちで、どんなことも自己選択のできない無責任な人間でした。

ゲームを通し、自分の意思でボタンを押すことで自分の行動に責任が持てるようになりました。ゲームの中で自分の行動に責任を持てるようになると、失敗した時に工夫を考えることが次第に出来るようにもなっていきました。

自分の意思で選択すること。工夫を考え攻略すること。その2つを学んだおかげで私は、自分の中の不自由さと無責任を、遊びを通して自由と責任に変えることができました。

私は思います。
遊びに限界はないと。

Access コントローラーは、だれかの最初の一歩をアシストするツールになると思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

株式会社ePARA 畠山駿也

登壇者との記念写真

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いただいたサポートはコントローラーの開発費や、活動費用に充てさせて頂きます。