ゲームに人生を狂わされた話
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ゲームに人生を狂わされた話

Jeni

ゲームに人生を狂わされた話

私の人生を狂わせたのは身体の障害でもなく、家族でもなく、
格闘ゲームコミュニティだ。

私は指定難病である筋ジストロフィー症を患い、小学2年から車いすで生活している。
簡単に説明をすると、全身の筋肉が徐々に衰えていく病気だ。身体を酷使すると病気の進行が進む。かといって動かさないと単純に筋力が落ちる病だ。

出来る事が減っていく生活の中、内向的になり、学校以外は自宅にいる子供になっていった。唯一できることはテレビゲームくらい。放課後、同級生と遊ぶスマブラやボンバーマン、ピクミン2の対戦モードが唯一の楽しみだった。

高校に入り、ニコニコ動画の週間ランキングに入っていた「スーパーストリートファイターⅣを麗らかに実況せんとす」という動画を見た。

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当時格闘ゲームに対しての印象は、操作が難しくてゲームセンターでしか遊べないという認識だった。気軽にオンライン対戦ができることに興味を持った。

両親にお願いしてPS3を買ってもらおうと思ったが、
うまく操作ができなくてすぐに辞めたらどうしよう。
どうせ俺には無理だと、1年間悩んだ。

ゲーセンなら1クレジット100円で気軽に始められるが、握力がなく、アケコンが操作できない私には1クレジットを入れる事すら許されなかった。

それでも私は、対戦ゲームの熱波を全身に受け、好奇心には勝てなかった。

ホリパッド3ターボのおかげで私は格闘ゲームができた。
握りやすい、ボタンの押し具合も軽い、振動機能もなく肉抜きされたように軽いコントローラーだった。

最初は安いコンボしか出来なかった。
上達したくてニコ動にアップされている格ゲー講座を片っ端から見た。
NSB配信が楽しみだった。したらばのキャラ別スレを見た。トッププレイヤーの対戦リプレイを見てセットプレイを少しずつ覚えた。あとはひたすらコンボ練習と対空練習をした。

どうせ無理だと思っていた事が当たり前にできるようになっていく。

目標だったPP4000を越えることができた。
私にとって初めての成功体験だった。
真剣に取り組むことで、自分自身も成長している事を感じた瞬間だった。

続けていると、一緒に遊ぶ同世代の仲間が出来た。

昇竜拳やコマ投げにキレ散らかしながら何時間もする対戦は最高だった。
後から聞いたが、夜中まで対戦していてラウンド間に寝落ちした奴もいた。

今思うとたった2,3年の短い出来事なのに、
あまりにも狂っていて、濃かった。

そいつらは関東の連中が多かった。
彼らはゲームセンターの大会に出たりしていて、私は自宅で応援していた。
ゲームセンターは私の憧れだった。

西セガ5on、TOPANGAチャリティーカップ等の大会配信、海外大会は、動画で殆ど観ていた。私にとって有名格闘ゲーマーはテレビの向こう側の芸能人と一緒だった。

いつかあの場所に行ってみたい。対戦してみたいと
パソコンのモニターを見つめていた。

でも、格闘ゲームでその夢を叶えることは出来なかった。

ウル4が出る頃には、持病の進行でうまく操作ができなくなっていた。
いつも出来ていたコンボや対空が出来ないことは、努力で解決できなかった。

疎外感から誰にも言い出せずに私は格闘ゲームを辞めてしまった。

当時病気のことはネット上では隠していた。
だけれど東京で格闘ゲーム仲間とオフ会をすることになった。

初めての一人旅だった。
片っ端から介護事業所に電話して、
現地でのトイレや風呂、就寝の介助をお願いした。
どうにか頭を使って、東京でのスケジュールを組んだ。

目的は、ゲームセンターに行くことだった。

旅行へ行く前に初めて病気のことをカミングアウトした。
ぶっちゃけ誰も気にしないとは思っていたが、
思っていた通り、友人たちは病気のことはどうでもよくて、
今までと変わらず接してくれた。

皆、渋谷会館の階段を神輿のように担いで登ってくれた。

写真の引用:イツキ ITK

店舗ランキングに載っている有名格闘ゲーマーの名前
うるさい筐体音
ボタンを弾く音

ここが、ゲームセンター。

私は物凄く高揚していた。
その日の体験は、一生の宝物になった。

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それからすぐ、仲間に誘われてリーグ・オブ・レジェンドというゲームを始めた。
小学生の頃から体が弱く、友達とチームスポーツをした経験がなかった私にとってチームゲームは初めての経験だった。
自分のせいで負けると本気でギスギスしたり落ち込むのは初めてで、このゲームを真剣にプレイする事にした。
上手くなりたい気持ち1つで真剣にゲームを取り組んだのは格闘ゲームの時以上だった。

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それから、目標だったゴールド昇格を達成した。

友人が制作に携わっているリーグ・オブ・レジェンドのプロリーグ決勝大会を東京へ見に行った。
一生懸命スタッフに指示を出して働いている姿をみて、物凄い情熱を私は感じた。カッコよかった。

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数年後、群馬県で障がい者を対象としたリーグオブレジェンドの大会が行われた。夢にまで観たオフライン大会。迷う暇もなくエントリーし、一度真剣にゲームを練習するようになった。
仕事終わりに数戦、休みの日は起きてから寝るまで練習。そんな日々を過ごしていた。


この経験が、何度も成長を止めてしまった私にもう一度頑張る勇気を残してくれた。
次のシーズン、真剣にランクを回した結果プラチナに昇格する事ができた。

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憧れのゲーマーの存在があったから
あんな大人になりたいと思ったから

何度も失敗して
何度も挫けそうになりながらも
仲間がいたから、なんとか今をやっています。

ゲームをやっていなかったら学ばなかったことが沢山あって、
もしあの時狂ったように格闘ゲームをやっていなかったら

人の人生に感動し、涙を流すこともなかった。

こんなにも諦めの悪い人間になっていなかった。

人生は1クレジットということを教えてくれたのは格闘ゲームでした。


今、私の右手は面白いことにパッドを握っていた時の形に拘縮している。
リハビリの先生曰く、頑張った証拠だそうだ。
そう言われてなんだか嬉しくなった。

もちろん、これからも戦いは続く。
次の目標はLoLのランク、ダイヤモンドだ。


最後にこの記事を読んだ人に一言伝えたい。
対戦ゲームはヤバい。



そして、あの時初めて対戦してくれたあなたにも伝えたい。
対戦ありがとうございました。

Jeni



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対戦ありがとうございました!
Jeni
文字とゲーム。