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古い喫茶店にて思うこと

神保町に用事があったが、
少し時間が空いたので、喫茶店を探すことに。

せっかく神保町にいるので、チェーン店ではないところに入れたらいいな、と思いながら歩いていると、ひっそりと佇む昔ながらの喫茶店を発見。
窓から中を見ると読書をする人、パソコンを見る人、おしゃべりしている人、全員が店内の昔ながらの赤い椅子やレンガ調の壁のおかげか、おしゃれさが倍増している。

こんな洒落たお店に、働いてもいない自分が入っていいものかと悩みながらも、せっかくだからと勇気を出してドアを開いた。
入るや否や、日本の今を生きている人間ではなくなった感覚に陥った。

店内ではタンゴが響き渡る。
高貴な人間に早替わりした気分。
カウンターの席に座ると、お水とメニューが渡される。

コーヒーは一杯一杯丁寧に作ってからお出ししているとのことで、お店特製のブレンドを注文。
小腹も空いているので、本日のケーキも。

テーブルに置かれたコーヒーをみてうっとり。
カップもソーサーも素敵なお花柄。

贅沢な時間だ。
このコーヒーカップを握れば、自ずと背筋が伸び、マリーアントワネットになったのかと勘違いする一歩手前まで来ている。
いや、何かを静かに企むゴッドファーザーの気分にもなれそうな。
ひと口飲めば、店に流れるタンゴと共に踊り出しそう。

自然と片耳につけていたイヤホンを外し、素敵なタンゴと人々がカップを置く音や、話す声を楽しむ余裕まででてきた。

働いていない私は、安いチェーン店で済ませようと言う気持ちが先を行くことが多い。
そうでなくても、近場のカフェを探すとなると至る所にあるチェーン店へ入りがちになってしまう。

しかし、昔から続く喫茶店には非日常感であったり、理想の自分を一時的にでも現実にしてくれる場所であると実感した。

ちょっと高いな...と思うこともあった。
でも今は、競合チェーン店が数多くある中で歴史を作り愛され続ける素敵な喫茶店はもはや、つかの間のテーマパークと位置付けるほど魅力を感じている。

そして、こういう喫茶店がなくならないためには、これからも利用していくことが大切だ。
なくなると知ってから、行きたかったのに。と言うのはもう遅い。
手遅れにならないよう、神保町の歴史ある喫茶店をこれからも愛していこうと決めた。

そのためにも、私はなんとかお金を稼ごう。
ご褒美だから、お金のことは気にせず、喫茶店というテーマパークで優雅に過ごせる人間になろう。
と少しだけ生きることへの意欲が湧いてきて、元気が出たのだった。

神保町の喫茶店、ありがとう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

jeni

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