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音楽カルチャー発展のキーパーソンが語る|音楽ビジネスのかつてない挑戦 ─コロナショックを どう乗り越えるか─[前編]

今年に入り突如としてエンタメ界を襲った「コロナショック」の猛威。
ライブやイベントなどが次々に中止・延期へ追い込まれ、
音楽業界にも大きなダメージを与えているのはご存じの通りだ。
では、音楽ビジネスの最前線に立つ人物はどう乗り越えようと考えているのか。
日本音楽制作者連盟の野村達矢理事長に「前・後編」で話を聞いた。

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、ライブ・エンタテインメント業界にも深刻なダメージを与えています。

2月26日の大規模イベント自粛要請を受けて、感染拡大防止を最優先に自主的判断で中小規模のイベントも含めて中止・延期しています。以降、3月中旬までは再開を目指し、衛生面や換気に配慮して安全にライブを運営するためのガイドラインもまとめていましたが、小池百合子東京都知事による「感染拡大の重大局面」発言や、東京オリンピック・パラリンピックの延期決定によって、再開は当面のところ難しいという判断に至りました。

2月26日から3月末までに自主的判断による中止・延期が1550公演あり、その損失額は450億円におよびます。近年のライブ・エンタテインメント全体の売り上げは年間およそ5862億円なので、ほぼ1カ月分の売り上げを失っている計算。緊急事態宣言で4月いっぱいはイベントが開催できないため、さらに450億~500億円の損失で累計1000億円にのぼる。これほどの莫大な損失をどうやって挽回するか…途方もない道のりになると覚悟しています。

野村さんが理事長を務める日本音楽制作者連盟はどんな組織ですか?

日本音楽制作者連盟(以下、音制連)は日本の音楽プロダクション約270社が加盟している団体で、自身で作詞作曲をして演奏するアーティストをマネジメントしている会社が多い傾向にあります。作詞家や作曲家が著作権を持つのと同様に、歌い演奏する実演家(アーティスト)は著作隣接権という権利を持ちます。音制連に加盟している会員各社に所属するアーティストの権利を守り、使用料や報酬を分配していくことが我々の最大の役割になります。

そのほかに「チケット不正転売禁止法」(議員立法で成立し、2019年6月に施行)のように、ひとつの会社だけでは取り組むことが難しい課題にも注力しています。「チケット不正転売禁止法」は、日本音楽事業者協会(以下、音事協)、コンサートプロモーターズ協会(以下、ACPC)、音制連の3団体が協力して実現しました。昨今は向き合う問題も大きくなってきているため、このように団体が連携して取り組むことが増えています。今回のコロナショックは、音楽ビジネスを支える日本の団体が一致団結して乗り越えなければならない、かつてない戦いになります。



具体的にはどのような取り組みに着手していますか?

イベント再開に向けた準備と並行して、ライブ・エンタテインメント業界が直面する経済面の問題に関して、国とのやりとりを進めています。3月17日に開催された「新型コロナウイルスからライブ・エンタテインメントを守る超党派議員の会」では音事協、ACPC、音制連の3団体が中心になって窮状を訴え、経済的支援の要望書を提出しましたが、残念ながら日本の文化活動に対する意識はヨーロッパの国々に比べると非常に低いと感じています。そうなると国に頼るだけでなく、民間で何ができるかを考えなければならない。音事協、ACPC、音制連の3団体がひとつになった公益財団をつくって基金を集めることがひとつの選択肢になりますが、申請から認可までに半年レベルで時間を要する。その期間を短縮できないかという働きかけをまさに始めたところです。


前例のない苦境に直面するライブ・エンタテインメント業界のダメージをどう挽回するか。これまでと変わらず、ファンに音楽を届ける…そのためにできることは、いったい何だろうか? 次回[後編]では、アーティストの取り組みやファンとのつながり、ライブ再開に向けた準備などについて語ってもらう。


■PROFILE■
一般社団法人日本音楽制作者連盟 理事長
野村達矢(のむらたつや)

1962年生まれ。1986年に渡辺プロダクション入社。
1989年にヒップランドミュージックコーポレーションに入社し、
BUMP OF CHICKEN、サカナクション、KANA-BOONなど
数多くのロックバンドを発掘し、プロデュース、マネジメントを手がける。
2019年4月にヒップランドミュージックコーポレーション代表取締役社長、
同年6月に日本音楽制作者連盟の理事長に就任した。
<発行日:2020/04/27>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。

Writer:龍輪剛

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