Cookie規制、短尺動画の勃興── FIREBUGのマーケターが語る、2023年のデジタル広告市場
今回は、ビジネスプランニング部部長の永田広貴と、エンターテインメントビジネス局 ビジネスプロデュース部部長の菊川真央に、代表の佐藤詳悟が話を聞きました。
3rd party Cookieの規制で高まるコンテンツマーケティングのニーズ
佐藤:現在のデジタル広告のトレンドってどんな感じなんですか?
永田:今はTikTok、YouTube Shortsなど短尺の縦動画の広告がトレンドになっています。運用型広告に関しては、FIREBUGがメインにしている動画広告よりも市場自体のパイが大きいので、引き続き良い感じに伸びている印象です。
また、2022年からPinterestやSnapchatが日本市場での事業展開にも本腰を入れており、TikTokやInstagram、YouTubeに限らない広告プラットフォームが出てくると思います。
佐藤:企業側が広告を出稿しようと思った際、2人がマーケターだとしたら、どういう選択肢の中で出稿先を選んでいくんですか?
永田:目的によって異なると思いますが、認知を優先する場合はYouTube、Instagram、TikTokを選びます。獲得を優先する場合はGoogle、ヤフーの検索型広告を選ぶと思います。
菊川:広告主側のマーケターであれば、私は「コンテンツマーケティングをやりましょう」と言う気がします。今までは、ひたすらリターゲティングで広告を配信できる環境だったのですが、それが出来なくなっていくので、コンテンツマーケティングを選びますね。
佐藤:それって具体的にどういうことなんですか?
永田:ブラウザでウェブサイトを訪問したときに付与される訪問先のウェブサイトや入力したデータ、利用環境などの情報が記録されたファイル、いわゆるCookie(クッキー)というものがあります。このCookieに関しては、広告主などの第三者が発行する「3rd party Cookie(サードパーティークッキー)」が規制の対象になっているんです。
菊川:ユーザーが複数のウェブサイトを閲覧した履歴などを追跡でき、第三者がデータとして保有できることから、広告出稿や効果測定などに活用されてきたのですが、個人情報やプライバシー保護の観点から問題視され、規制される流れになっています。
3rd party Cookieが規制されると、今までは広告配信をする際にWebサイトのCookieで訪問ユーザーをリスト化し一度サイトに来た人(≒興味・関心の高い人)に広告を配信することができていたのですが、それができなくなる。リターゲティングできないということは、興味・関心がある人たちに恣意的に広告を配信できなくなるので、今後はいかにコンテンツをストックしていけるかが重要になっていくと思うんです。
佐藤:それは企業のファンをコンテンツによって生み出していく、ということですか?
菊川:コンテンツでファンコミュニティを作っていく、というイメージです。今までは第三者が保有しているデータをもとに広告を配信することができましたが、今後は自分たちでデータを持っていかなければいけない。そして、そのデータを作るためには、コンテンツをフックにコミュニティを作っていくことが重要になると思っています。
佐藤:仮に僕がキャンプ用品ブランドのマーケターだとした場合、今までは検索でもディスプレイ広告でもサイト訪問ユーザー(≒興味・関心の高い人)に広告をダイレクトに配信することができたけど、それができなくなる。
ということは、そもそもキャンプが好きな人たちが集まっている場所に広告を配信するか、自社で面白いコンテンツを作成して発信し、それを見ている人たちに広告を配信していく感じになるイメージですか?
永田:そうですね。自社でコンテンツを作成して、そこでコミュニティを形成し、ファンを育てていくことが大事になっていくと思います。
菊川:サードパーティーCookieの規制といった時代の変化に合わせて、企業はコミュニティを作れるようにならないといけない。商品をバナー広告などで一方的に当てて、新規顧客を獲得できていたという時代はもう終わっていくんだろうなと思います。
運用型広告で今後求められるのは「クリエイティブ制作」のスキル
佐藤:さっき運用型広告の市場も大きいと言っていましたけど、運用型広告は今後どうなっていくと思いますか?
菊川:「リターゲティング広告」という手法が使えなくなっていくだけで、広告配信がなくなることはないだろうなと思っています。
永田:多分ですが、ターゲティングの精度は各社すごい高めていくと思います。興味・関心のターゲティングは昔からあったものですが、その興味・関心自体の精度をもっと高めていく。例えば、昔はざっくり「エンタメに興味がある」とターゲティングしていたものが、「映画が好き」「韓国ドラマが好き」といったように、より細かくしていく感じです。
また、Cookieが取得できていた時代はアトリビューション(広告ごとに達成したい目的への貢献度)が計測できていたのですが、Cookieの規制によってそれも難しくなります。そうすると企業や広告主は消費者がどういう接点で商品を購入しているかを改めて研究する必要がありますし、接点に応じたコンテンツを作り込むことが求められると思います。
佐藤:キャンプ用品ブランドだった場合、どうすればいいんですか?
永田:データをもとに流入経路などを追えなくなっているので、キャンプ用品を購入するまでのカスタマージャーニーを作成し、それぞれの顧客接点ごとに適切なコンテンツを発信していく感じになると思います。とにかく仮説を立てて、実際にコンテンツを発信してみて効果を検証していくことになっていくと思います。
佐藤:そういう意味では、運用型広告を提案している代理店に今後求められるものって何だと思いますか?
永田:リターゲティングができなくなったことで、今後はユーザーが流入した先のLP(ランディングページ)やウェブサイトのクリエイティブやUI/UXがより重要になっていくはずです。運用上の能力は各代理店でほとんど変わらないからこそ、広告運用にまつわる、LPやバナー、動画などのクリエイティブをいかに最適な形で運用できるかどうか。この能力が今後はより求められるようになっていくと思います。
菊川:昔はGoogleやYahooなどの媒体の広告機能があまり精度高くなかったんです。そのため、最適な入札方法は何か、どういうキャンペーンの組み合わせをしたら最適なのか、どういう広告を出せばいいのか、という3つが運用型広告において重要と言われており、そこが差別化ポイントになっていました。ただ、広告機能の精度が上がっていったことで、入札や最適なキャンペーンの組み合わせなどはほとんど自動で最適化されるようになり、結果的にクリエイティブが運用型広告における差分になっています。
佐藤:現状、運用型広告におけるクリエイティブは「アートっぽいクリエイティブ」なのか、それとも「効率性を重視したクリエイティブ」なのか、どちらですか?
永田:個人的な感覚ですが、運用型広告は効率性を重視したクリエイティブが求められている気がします。ルックの良い綺麗な静止画、動画のクリエイティブよりも、パフォーマンス(効果)が出るクリエイティブの方が偉いという文化もあるので、効果を上げることを追い求めて日々クリエイティブの検証をしているイメージです。
例えば、自分は過去に「訴求軸」と「デザイン軸」という2つの軸に分けてクリエイティブを考えていました。具体的には「価格訴求×女性」「価格訴求×男性」というクリエイティブの広告を配信した際、「価格訴求×女性」のクリエイティブの効果が良ければ、違う女性のクリエイティブにして配信するなど、地道な改善を繰り返していました。
佐藤:それってクリエイティブにタレントを起用した場合、タレントではない人を起用したときよりも効果が高いとかあるのでしょうか?
永田:個人的にはタレントの方が効果は良いイメージはありますが、実際に蓋を開けてみると必ずしもそうではないこともあります。
菊川:結局は起用する人が、その商品を本当に好きかどうか、そのブランドとの相性が良いかどうか。そこを精度高く見極めて、キャスティングすることが大事だと思います。
佐藤:なるほど。運用型広告においては今後、クリエイティブ制作のスキルがより求められるようになっていく、と。FIREBUGはコンテンツマーケティングは割と得意領域ですが、運用型広告のクリエイティブ制作においてもやれることはありそうですね。デジタル広告の今後に関して、いろいろと勉強になりました。ありがとうございました!
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