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魔法の時間は特別な色

2月ももう残りわずか。
気がつけば、日の入りがずいぶん遅くなった。
外出する日もしない日も、空を見上げて少し ほっとしている。

夕方の西の空の、刻々と変わっていく、あのなんともいえない色彩。あの色が現れる時間帯には、特別な呼び名がある。
「マジックアワー」だ。

ウィキペディアによると…

マジックアワー 、マジックタイムは、日没前、日の出後に数十分程体験できる薄明の時間帯を指す撮影用語で、光源となる太陽からの光線が日中より赤く、淡い状態となり、色相がソフトで暖かく、金色に輝いて見える状態である。ゴールデンアワー とも呼ばれる。


子どもの頃、夕焼けといえば「赤」か、せいぜい「オレンジ色」、日没後は単なる夜でしかなかった。
しかし、昼と夜の間には、魅惑的な時間帯があったのだ。

頭上に広がる青紫から茜色、そこから淡くなってサーモンピンクとなり、地平線の近くに帯のように横たわる橙色と、黄金色へのグラデーション。
あれを何色と呼べばよいのか、小さな私は表現する言葉をまだ持たなかった。

大人になった今は、少しばかり知識が増えて、微妙な中間色にそれぞれの名前を当てはめることができる。

それから、大人になって…

この世界は、明暗、白黒、赤と青…と分かつことができないものばかりだと知ってしまった。
そのせいだろうか、あえて名前もついていないような中間色や混色が、じわりと心に染み入るようになった。



2月の誕生石でもある紫水晶・アメシストは、ひとつひとつ濃淡や色相が異なる。
これぞ紫という濃い色のもの、すっきり軽やかな薄紫色、ピンクに近い淡い色。
ひとつの結晶に複数の色が入っていることもあって、濃い紫から無色透明のグラデーションになっていたり、紫色と黄色(黃水晶・シトリン)が合わさったアメトリンもある。

紫と黄色の組み合わせといえば、子どもの頃は「おばあちゃんの色」に感じて好きになれなかったが、大人になると見方が変わっていった。
実はたがいを引き立て合う補色の関係で、印象的な組み合わせだったのだ。
画像のような淡い色のアメシストやアメトリンだと、夕暮れの空を切り取ったようで、優しく美しい。


高貴な証としてアメシストを身につけた古代や中世の人々と違い、現代人は自分の内面やその時々の気持ちと向き合って、ジュエリーや装身具を選んでいる。

さらに、紫という色は、単純でないものに美を感じたり惹かれたりする大人の色ではないか。

だからこそ、人生の黄昏時がそう遠くないと感じる年齢に近づくにつれ、アメシストを身につけたくなっていく。どんどん、紫が似合うようになっていく。


指輪や、長めのチェーンの先にペンダントトップをぶら下げて、日常のふとした時間に眺めれば、自分だけのささやかな「マジックアワー」を楽しめる。
アメシストを使った制作依頼を受けたときに、このように提案してみたいと、私は密かに思っている。


マジックアワーとは、きっと、「今日も一日、よくがんばった!」という人々に与えられる、ご褒美タイムだ。

仕事をしている人も、勉強中の人も、育児をしている人も。それから、闘病中の人も、まだ一歩を踏み出せないでいる人も、気持ちが落ち込んでいる人も。

どんな人にも平等に与えられる、空を見上げて自分を明日へとつなぐための、魔法の時間。
毎日のそんなひとときを、大切にしたい。



※このnoteは過去にShortNoteにて公開した記事に加筆修正したものです。



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