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【活動報告】OMO(おも) by 星野リゾート様と意見交換会を実施しました(ビジュアルシンボル専門委員会)

今回は、JEITAデザイン委員会の中にある、「ビジュアルシンボル専門委員会」の活動で実施した、OMO by 星野リゾート様との意見交換会についてご紹介します。

JEITAデザイン委員会 「ビジュアルシンボル専門委員会」とは?

ビジュアルシンボル専⾨委員会は、デザイン委員会の傘下にある、テーマ別の専門委員会の一つです。
図記号の標準化などの活動を行うほか、普遍的なデザイン要素に関する調査研究を⾏うことで、各社・社会への貢献を⽬指しています。

2022年度は、環境や暮らしの変化が⼤きい状況の中で、「世の中の動きや変化の兆しを知る」ことを⽬標に、二つのタスクグループで連携しつつ活動しています。

  • 環境タスクグループ:空間とデザインの関係を考察する

  • コミュニケーションタスクグループ:ユーザーとのタッチポイントを考察する

デザイン委員会組織図

初めに

ビジュアルシンボル専門委員会では、「デザイナーの活躍するフィールド拡大」という時代背景を受け、異業種の方々と交流し、各領域との相互理解を深めることを活動の中心にしています。

交流先を決定する際、まずは委員同士で気になっているトピックを共有しあうことから始めます。
その中で、星野リゾート様の新しいブランドとして体験に特化したシティホテルができたらしい…と「OMOブランド」の情報が共有されました。
ホテルを中心とした「新しい宿泊体験」や「人と地域のつながり」を体感することで、様々な学びを得ることができるのではないかと考え、2022年に新しく開業された「OMO7大阪 by 星野リゾート」様に視察のご依頼をさせていただきました。

OMO7大阪 by 星野リゾート

「ほれてまうわ、なにわ」
船の帆で覆われたようなホテルからは、大阪の街が見え隠れ。木立や芝生が広がるエリアは人々で賑わい、湯屋で寛ぐひとときも。ここは大阪の新天地。定番のおいしいもんは鮮やかな料理に仕立て、千客万来お待ちします。ディープな街・新世界や水の都大阪を知れば実におもろい。知ってるようで知らない、なにわにほれてまうこと間違いなし。

OMO7大阪 WEBサイト
https://www.hoshinoresorts.com/resortsandhotels/omobeb/omo/7osaka.html

当日レポート

新型コロナの感染状況を考慮しつつ、本委員会の特徴である「実際に見て、体験する」視察として、新しいスタイルの都ナカホテル「OMO7 大阪 by 星野リゾート」様を訪問しました。

新今宮(動物園前)の駅を出てしばらく歩くとパッと視界が開け、鮮やかな緑の芝と、その奥に建つ不思議な存在感の建物が目に入ります。

ホテル外観

ロビーは落ち着いた、おしゃれなホテルといった雰囲気でしたが、そこから「OMOゲート」を通りぬけると、明るく楽しげでフレンドリーな雰囲気のメイン空間「OMOベース」にたどり着きます。お客様の気持ちの盛り上がりに合わせたような演出にワクワクしながら視察がスタートしました。

OMOゲート ロビー側
OMOゲート OMOベース側

ホテル館内視察
館内は、OMO7大阪 by 星野リゾート 総支配人 中村様、OMO7大阪 by 星野リゾート 宿泊オペレーション支配人 野部様 にご案内いただき、2手に分かれてそれぞれ館内を視察しました。

OMOベース

帰りたくなくなるパブリックスペースを目指したという「OMOベース」には、ご近所のおすすめショップなどの情報が掲載された「ご近所マップ」やライブラリースペース、アクティビティのご案内などが配置され、たくさんの宿泊客でにぎわっていました。

ご近所マップ

ゲストルーム

たこや通天閣、ふぐなどのポップな形と落ち着いた日本の伝統色が印象的なサインに案内されゲストルームに入ると、横に長いパノラマ窓が目に入ります。窓の外に貼られた白い布のようなものは外装膜。日差しを遮る効果だけではなく、まるで風呂敷のように建物を包むことで、建物に独特な柔らかさが出るそうです。外からホテルを見た際の、不思議な存在感の理由がわかった気がしました。

室内は和モダンといったしつらえ。6人まで宿泊できる「いどばたスイート」は、皆でわいわい話ができる団らんスペースと、半個室のように区切られたベッドスペースの共存が印象的で、みんなで話すのはたのしいけど、旅行中にプライベートな時間も欲しい…といったお客様の気持ちにスマートに応えた設計に感じます。

外装膜
客室:いどばたスイート
部屋番号も大阪モチーフのサイン

みやぐりん

館内施設利用者専用のパブリックスペースで、約7600㎡もあるガーデンエリア。立体的な構造にすることで、場所によっていろんな目線で楽しめるように設計されていて、この日もたくさんの人が思い思いに過ごしていました。
すぐ近く、同じくらいの高さに駅のホームが見えるのですが不思議と違和感はなく、逆に、駅のホームから見ると「なんだこれ?」とおもわせるような仕掛けがされているそうです。
これは「ホテルと駅の境目をあいまいにする」という地域全体を見た設計コンセプトによるものかもしれません。

みやぐりん

大阪のお風呂文化を体験できる温浴棟「湯屋」では、ガラスのはまっていない天窓と白い壁、湯気が作り出す不思議な空間に惹かれます。

湯屋の天井
※使用時間外に許可を頂いて撮影しています

夜もガーデンエリアを楽しんでもらうためのアクティビティがたくさんあり、外装膜にうちあがるLEDの花火や本物のネオンで作られたネオンアートで彩られたみやぐりんで、地元のたこ焼きやクラフトビールなどがふるまわれていました。狙い通り、多くの宿泊客が外に出て楽しんでおり、にぎやかな夜となっているようです。

夜のみやぐりんとネオン

アクティビティ体験

OMOレンジャー(ホテル従業員の方が扮しています)と新世界をお散歩するアクティビティ「ほないこか、ツウな新世界さんぽ」を体験しました。「友達が地元を案内してくれるような気軽でディープな雰囲気」をサービスで実現するというコンセプト通り、ガイドブックに載っていない素敵なお店を知ることができたり、お店の店主さんと気軽にお話しすることができたりと、自分だけではとてもできないような方法で新世界という街を楽しく巡ることができました。

新世界さんぽの様子

星野リゾート様のお取組み紹介・意見交換会

星野リゾートOMO7大阪総支配人 中村様、OMO京都エリア総支配人 唐澤様より、星野リゾート様がどのようにしてホテル運営事業に取り組まれているのか、その戦略についてのご説明をいただきました。

それぞれのサービス専任のスタッフではなく、すべてのスタッフがすべてのサービスを提供できる体制「サービスチーム」により、お客様のうごきに合わせて適切なサービスを提供することができるようにしているそうです。このお客様最前線のサービスチームからの情報や新しいアイデアなどを、「魅力会議」にて定期的に共有し、サービスの向上・新サービスの開発に活用されているそうです。

OMOシリーズについては、それぞれのOMOを計画する際のコンセプト立案のお話が興味深く、OMO7大阪であれば「なにわラグジュアリー」ラグジュアリー≠高級 ではなく、豊かで上質な体験と定義しコンセプトに。3つのOMO京都はそれぞれの建物が建つ地域の特徴と、そこに訪れる観光客の客層・興味・需要などを調べつくした結果、特色あるコンセプトを打ち出すことができたそうです。

意見交換会では、委員から視察で感銘をうけたポイントの共有を行った上で、さらにいろいろなお話をお聞きすることができました。
お客様の興味が、物質的ラグジュアリーから体験的ラグジュアリーに移行してきているというお言葉が印象的で、その需要を的確に掴み、効果的なソリューションを打ち出し続ける、だからこそ星野リゾート様のファンが増えていくのだと感じます。

意見交換会の様子

参加した委員の一部は宿泊体験もさせていただきましたが、ゲストルーム内には歯ブラシや室内着、飲料水などの用意はなく、ライブラリースペースに設置されたアメニティを必要な人が必要な分だけ持っていくスタイルでした。このようなところにも、星野リゾート様の環境への取り組みの姿勢が見えます。チェックイン/アウトのセルフ化もそうですが「ホテルとして(まだ)当たり前でないこと」についても、お客様からは賛同いただけることが多いとのことで、狙っている客層へ的確にアプローチしているということなのかもしれません。そのブランディング力とマーケティング力に心から驚きます。

一度体験すると、その上質な空間、心地よいサービスにすっかりファンになってしまう それがOMO7大阪の、星野リゾート様の最大の強みなのかもしれません。とても貴重な体験と、多くの学びを得ることができた視察でした。

今回の交流会を実現するにあたり、ご協力いただいた星野リゾートOMOブランドの皆様、本当にお世話になりました。

今回の交流会について、星野リゾート様からもご紹介頂いております。

JEITAデザイン委員会に関する問い合わせ

 一般社団法人 電子情報技術産業協会
 事業戦略本部 市場創生部 志村・飯生・飯沼・飯野
 デザイン委員会|JEITA

2022年度JEITAデザイン委員会参加企業は以下の通り(敬称略)

OKIプロサーブ、オムロンヘルスケア、キヤノン、コニカミノルタ、JVCケンウッド・デザイン、シャープ、セイコーエプソン、ソニーグループ、TOTO、東芝、ニコン、NEC、東芝テック、パイオニア、パナソニック、日立製作所、富士通、富士電機、富士フイルム、富士フイルムビジネスイノベーション、三菱電機、リコー、レノボ・ジャパン

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