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パン作りほど飽きのこない趣味はないけど、これほど他人におすすめできない趣味もないナァ

はじめまして。神戸・明石を拠点にフリーのグラフィックデザイナーをしているJeff designと申します。

これまで務めていた広告会社をやめて去年フリーになってから細々と、このコロナ禍の中なんとか身の回りの方々のおかげで順調に日々過ごさせていただいています。

と、野暮ったい話はこのくらいにして。

僕がパン作りに目覚めたのは4年ほど前、まだ広告会社に務めていた時に、仕事が忙しく人間関係や会社の方針などでストレスの捌け口を探していた時に、何かモーレツに凝ったことをしたいと思い立って、そうだ!パンでも作ったれ!と急にやったことないけれど、やってみたいことをしようと思ったことがきっかけでした。

なぜパンに興味があったかというと、大学卒業後ろくに就職もせずアルバイトしていたのがベーカリーレストランの厨房。朝から晩まで働く日々で、料理の仕込みなどをしていた中でレストランのとなりではいつも職人の社員さんがほとんど真夜中の早朝からバゲットや惣菜パン、食パンなどありとあらゆるパンを作っていたのを見ていたから。それに、厨房でもピザ生地の仕込みなどで小麦粉を触ることがあったので、作れないことはないなと思っていたからだった。それに、なぜかレンジはないのに安めのコンベクションオーブンだけはあった。

で、いざ作ってみると時間はかかるけれども案外たのしい。生地を叩きつけたりこねたりするのが気持ちいいし、出来たパンは不格好でも自分が作ったものだから愛着もあるし、美味しく感じる。家族にも案外好評だった。

しかし、その時は2ヶ月ほどで飽きた。ずっと作り続けるのも大変だし、仕事から帰ってきてパンを仕込んで焼こうとしたら、寝る時間が夜中の2時を過ぎてしまう。それにセールで100円で買えるヤマザキや敷島の食パンのありがたみが絶対勝ってしまっていたからだった。

その時はあんぱんを作るのが精一杯だった。

それから残った強力粉やイースト菌も、日が経つにつれ賞味期限を過ぎ、あっという間にカビが生えたりして捨てることになって、それからしばらく完全にパン作り自体に目をつむることにした。

それからまたパンを作ろうとしたのは、やはり仕事のイライラがどうしても解消できなくなってきたからだった。妻からは、「あんたがパン作り始めたら仕事辞めたいのサイン」とまで言われた。気づくと腐りはしない調理道具が残っていた。

その時は食パンが作れるようになっていた。このときもやはり、2ヶ月ほどで飽きてしまった。

次にパンを作ったのは、二人目の子どもがお腹にいる頃くらいだったと思う。特に仕事のイライラが募っている状況ではなかった。きっかけは、大丸神戸店の地下にあるPAULのコーンパンがとても美味しいと、妻が言っていたのが頭に残っていたこと。どうやったらこんな美味しいパンが作れるんだろう、から作れるようになりたいなに変わって、それまで敷居が高かったハードパンに挑戦してみたいと思った。

バゲットやハードパンは、とにかく環境から揃えるのが重要で、ただ粉の種類がちがうというだけでなく、パンマットからオーブンの調整(200℃以上は必要)、モルトエキスという一度の使用量が極端に少ない調味料など、わざわざいろいろと揃えなければいけないものがあまりに多かった。一度投資すれば、やめてしまったら金銭的なダメージも大きい。

そんな心配をよそに、気がつくとAmazonで調理器具を揃えている自分がいた。で、作ってみると今までコネコネしていたパン作りとは違って、作るたびに失敗する。生地がまとまらなくて、途中でも、うわこれ失敗決定やな、とすぐにわかることもあった。途中までが完璧でも焼いてみたら膨らまず失敗ということももちろんあった。しかしこれまた不思議なように作るたびに失敗するたびに上達していくのであった。

はじめてバゲットのクープが開いたときの感激はひとしおだった。デザインのソフトを使ってチラシを完成させたときや、広告デザインをクライアントに褒められたときと同じくらいの感動がそこにあった。その段階まで行くと、もう立派に趣味はパン作りですと言えるようになっていた。パン作りが日課に昇格したのは、それからだった。

その後、より面倒なクロワッサンなどの折込生地や変わった成形のものに挑戦したりと難しめのものも作ってみながら、食パンやロールパンなどは切れないように常に作り続けているが、作り続けることもまたパン作りの上達には欠かせないことだ。なんせ季節によって発酵具合や焼き時間が全然違うので感覚として持ち続けないとすぐ失敗してしまうことになる。

ただ、ここまで書き連ねてきたパン作りは、決して人に進められる趣味ではない。やっぱり面倒くさい工程が多いし、揃えなければいけない調理器具が多い。それにパンを叩きつける音はうるさいと言われるし、予熱したオーブンで部屋の空気が薄くなり苦しい。妻の料理中に、ちょっとオーブンに入れさせて、なんて言うとけちょんけちょんに叱られたりする。

それでも朝になって冷凍保存した食パンなど食べるとその風味や、かりっとふわっともちっとの絶妙な作りたての味わいを低コストでいつでも好きなように食べれるようになるという醍醐味が今は勝っているので、やめられなくなってたりもする。それに、子どもたちに美味しいって言われるとやっぱりこれも、じゃあまた・・・となる。

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