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大野山〜ハイキング〜

御殿場線の谷峨駅を下りると目の前には田畑しかない。「大野山⇒」の看板通りに進み、「吊り橋は人数制限があります。」の看板から「この吊り橋は5人以内で渡って下さい」までの一本道を歩いた。山々に囲まれた平地の風はこの時間帯はまだ気持ちよかった。

山の斜面に九十九折りに整備されたアスファルトの舗装された道をゆっくりと登った。住宅の横を通り抜けて他人と擦れ違う事もできない細い道に入る前にシカやクマから田畑のある地域を護るための獣用の柵があった。3箇所目の獣用の柵の手前でちょうど柵を開けようとしていた初老の男性がいた。
「こんにちは。その柵は開けたままにしておいて下さい。」と言った。
相手の老人は驚いて後ろを振り返った。幽霊にでも遭遇したような引きつった笑顔で軽く会釈して柵は開けたままにしておいてくれた。
ハイカーは柵を必ず閉めるのが規則なので柵はしっかりと閉めた。午前11時頃、気温も30℃を超えているだろう。最初の小休憩を取って水分を補給した。さっきの老人は先に頂上に向かって歩き始めていた。「頂上までの何処かで追いつくだろう」と考えていた。しかし、下山までその老人は見掛けなかった。かなり健脚で達者なご老人だったのだろう。
本格的な山道に入って634メートルに到達するとカワイイお出迎えをしてくれる。

スカイツリーと同じ高さらしい?ジグザグに九十九折りの山道を登っているのでいつもその実感はない。通称「スカイツリー・ラビット」を過ぎれば富士山が綺麗に見える頂上まではあと少しだ。しかし、富士山の手前にあるアン・ノウン(私が無知なだけでちゃんと名前はあります。)な山が雲の巨大な津波に呑み込まれようとしていた。

富士山が見えるのか不安だ。案の定、富士山は厚い雲の向こうだった。

真夏の気温30℃超えの頂上は閑散としていた。私を含めて片手の指だけで数えられる程度の人数しかいなかった。
頂上に到達する前の休憩小屋でしっかりと休んだので頂上はいつも通りに山頂の写真だけをけを撮った。

下山ルートの入口辺りにはクマの彫刻がある。

向かって右腕のあたりに損傷らしき傷がある。

その傷は名誉の負傷だよ。長い間、お世話になりました。
下山は無事に済んだ。安心感から「チョコ・ジャンボ・モナカ」を食べたくなった。山北駅で電車の時刻を確認した。一時間に一本しか電車はない。JRの社員はおらず町内会の有志が受付カウンターに入って切符の販売をしている超ロ―カル線なのに電車の到着までに約10分間しかなかった。それを逃したら一時間以上も後発の電車を待つことになる。疲れた足に鞭打ってコンビニに走った。「美味しいところは上半身、オイラはいつも踏みつけられ、無理矢理こき使われる。」足に口に無いからそんな文句はどこからも聞こえてこなかった。
時間がないのでコンビニのアイス・コ―ナーを焦りながら探してレジでお金を払った。コンビニを出たところで写メを撮った。その時に間違いに気付いた。

間違えて「バニラモナカ・ジャンボ」を手にとっていた。今更、コンビニに戻って「交換して下さい。」とは言えない。そもそもそも電車までの時間がない。諦めてひとかじりした「モナカ・ジャンボ」はチョコが含まれていないのにほんのりビターだった。美味しかったのがせめてもの救いだった。
4月の下旬以来の大野山。春夏秋冬、それぞれに違う景色と事件がある。だからこれからも大野山にトライするだろう。

#ハイキング
#エッセイ
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#休日のすごし方


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