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会社が消滅した。

「来月末をメドに会社を閉めることにしたんだよ。詳細はこれから詰めて、改めて説明するから。」と2020年の9月に上司から告げられました。

その頃はお客様からの受注も少なく、出勤は週2日で週休5日制状態でしたので会社の廃業も意外と冷静に受けとめられましたが上司の話にあった「~詳細はこれから詰める・・・」。これがくせ者でした。

創業47年の当時の我が社には会社の廃業に関する知識を持っている社員はモチロンいません。そして、上司達はスマホが登場して普及した頃には既に60代ですからネットは使えません。上司に代わってカタログで仕事で使う備品の注文をしていた私が廃業に伴って出てくる大量のゴミを処分してくれる業者を探しました。私も知識ゼロですからネットで色々と検索して、勤務時間の半分以上をネット検索していたと思います。

まず大量に出てきたのは機械関係のマニュアルや帳簿類等の紙類の処分。これは私がネットで調べて近所の処分場が持ち込みならば無料で処分してくれるそうなので2㌧トラックに取り敢えず積めるだげ積み込み持ち込みました。

そこの処分場では「段ボールはこっちで、書類と雑誌類はあっちのカゴへ入れといてよ。」と大きめの声で言われます。そして、別の会社の人達は「違うんだよ。そこじゃないよ。」と怒鳴られていました。これは工場アルアルなんですが機械の騒音が大きいのでつい大きな声でしゃべって怒鳴り声のようになってしまう。本人に自覚はないんですけど。

そして、私の元上司は「あそこの処分場にはあまり行きたくないから、次に行くときに全部の紙類を持って行こう!」

「え~。」と思いましたが私も同感だったので2㌧トラックに積み込めるだけ積み込みシートでカバーをして積み荷が落下しないようにしてなんとか紙類の処分は無事に済みました。

次の問題は一般的に産業廃棄物と呼ばれる金属、木材、ガラス、汚泥等の処理です。

その頃はいつも処理をお願いしていた業者も廃業していたので私がネットで探して業者のリストを作って上司に相談すると上司からは「よく分からんから会社から一番近い業者に頼んどいて。」

そりゃ私もよくわからない事だらけなので取り敢えず一番近い処理業者に処理をお願いして、私が業者との交渉を担当して、処理業者には「廃業するのでとにかく早く処理したいです」とお願いすると「手続きに約1ヶ月ところを裏技で3日で済ます方法はありますよ。」と言われましがなんか怖いのでお断りしました。忘れ掛けた頃に昔の勤め先の問題で色々と調べられたくありませんから。

全ての片付けがほぼ終わりかけた頃に取引先の専務が来社して、「お兄ちゃん(私のことです)、みんなで昼飯食べようよ。お金は社長から貰ってきてるから、そこでお宅の上司にお兄ちゃんから話してよ。」

何故か上司からではなく下っ端から上司に昼飯の誘いを上げさせる不思議な町工場の人間関係、そして、取引先の専務からは「定年退職した先代の営業部長は酔っぱらって真夜中に電話掛けてくるたとんでもないひとだったよ。」との打ち明け話を聞かしてもらいました。

定年退職した営業部長は昼飯をご馳走してくれた取引先の専務と仕事上の事で大喧嘩して、後に社長にまで上りつめる当時の工場長から取引先の出入り禁止の処分を受けかけたひとでした。

上司達の指導が良かった事が理由かもしれませんが廃業までの2ヶ月間はとても忙しくて、自分の将来の事やその他の暗い事はあまり考えませんでした。それは今でもとても不思議な経験ですが「孫子の兵法」の中にある悪い事の中にも良いことが必ずあるとの教えの通りなのかもしれません。

今年の春に前の職場近くの花見スポットに行ってみたときは随分と恵まれた環境で仕事していたなと思いました。

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      Eazy43 44歳

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