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子供が、失敗するとパニックを起こします。どのようにサポートしたらいいでしょうか?

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1.ストレス耐性を高める:万全な準備、臨機応変な対応、不完全な自分を受け入れる

失敗や物事がうまくいかないときにパニックになったり、ストレスを感じるというのは、実行機能でいうと、ストレス耐性感情のコントロール反応の抑制と関わっていると思われます。典型的にはストレス耐性で、物事が予期した通りにならないときにストレスを感じます。人によって不安の感じやすさや、不確実さへの耐性は異なります。失敗でパニックを起こすということは、不確実さへの耐性が低めということが考えられます。失敗しないように徹底的に準備をするというのが、一般的な対策です。しかし、これだと「失敗するかもしれない」可能性がゼロにならないと不安はなくならないので、とても大変です。準備を万全にすると同時に、失敗したときにどう対応するかを考えておくといいと思います。

ただし、小学生ぐらいだと、失敗したときの対応といっても、うまくはいかないと思うので、周りの大人が慰めてあげることも重要でしょう。「悔しいよね。嫌だよね」、「失敗することがあってもいいんだよ。大丈夫だよ」と、声をかけてあげるといいのではないでしょうか。失敗したときこそ、不完全な自分(人間だれしも不完全ですね)を受け入れるチャンスだと思います。

2.感情のコントロールを高める:感情の観察、受容、代わりの感情の練習

感情のコントロールの問題だとすると、うまくいかないことがあったときに、「キー!」っとなってしまうわけですね。そうなりがちということ、うまくいかないことがあって嫌だという思いは受け入れてあげたうえで、「キー!」となる代わりにどうしたらいいのかを話し合ったり、教えてあげて、かつ、ハードルの低い状況から、それを練習してあげるといいと思います。例えば、箸で豆がうまくつかめないというような、ちょっとしたことから練習することができます。イライラしていたら、「落ち着いて」とか、「深呼吸」と、声をかけてあげるといいと思います。

3.反応の抑制を高める:条件づけ(失敗→深呼吸)、座禅(マインドフルネス)

反応の抑制の問題が関わっているとすると、頭ではわかっていても、いざとなったらそうできないということがあります。感情のコントロールと同じように、ちょっとしたことから、「うまくいかない」→「落ち着いて」と条件づけていくことは、反応の抑制の対策にもなります。反応の抑制全般の練習としては、瞑想や座禅が適しています。心理学では、マインドフルネスとして実践や研究が進んでいます。深呼吸をして、単にリラックスするだけではなく、その後もしばらく続けていきます。そうすると「嫌だな」、「早く終わりにしたいな」という思いがわいてきます。それをただ観察しつつ続けると、また心地よいリラックスした状態に戻ってきます。これを繰り返すことで、「嫌だ」→「パニック」、「嫌だ」→「反応、反射」という衝動的な反応が全体的に少なくなります。就寝時など、まずは大人が1~100まで数を数えてそれをただ聞いているというような練習から始めて、徐々に自分でできるようになるといいでしょう。

マインドフルネスを日常で取り入れるのが難しい場合は、にらめっこのような、反応を我慢する遊びを通して練習できるとよりやりやすいかもしれません。

子どものマインドフルネスの参考書籍:


4.失敗経験をさせた方がいい?

わざわざ失敗させる必要はないと思います。失敗をさせないことよりも、チャレンジさせない、チャレンジできないということの方が、子供の可能性を狭めることにつながるかもしれません。失敗経験をさせると失敗に慣れるかというとそうではありません。むしろ、失敗に慣れづらい人が、失敗を恐れるようになります。失敗経験ではなく、失敗しても大丈夫だったという経験が重要です。小さな挑戦をして、小さな失敗をする。別の言い方をすると、何かしようとしたけれど(小さな挑戦)、うまくいかずイライラする。そういう場面を大事に、優しく、丁寧に励まし、うまくいかなくても落ち着いて対処すれば大丈夫だという経験を繰り返していくことで、小さな挑戦が増え、大きな挑戦ができるようになると考えられます。

5.レジリエンスが低い?

よくレジリエンスを高めようといわれますが、レジリエンスが高いから失敗しても大丈夫なのではなく、失敗してもパニックを起こさない子が、レジリエンスが高いと評価されるということだと思います。レジリエンスを高めることを目標にするのではなく(漠然とした目標にしてもいいのですが…)、パニックを起こす1つ1つの場面で、どのように振舞えるようになるといいか、そのためには、どういったステップを踏んでいけばいいかというような、具体的な目標、課題を設定して、それを一つ一つクリアしていくという見通しが持てるといいのではないかと思います。

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